TPPの既成事実化に勤しむ政府とマスコミ
そして、TPPの危険性に気づかないままの国民。
日々忙しく、最近のマスコミの報道を逐一チェックしているわけではありませんが、ときどき目や耳に入ってくる、NHK等による、TPPに関する報道の姿勢は、まったくひどいと思います。
TPP交渉が「大筋合意」(in-principle agreement)に達したことと、TPP協定が実際に発効することは、全く別の話です。
交渉に参加した12カ国が「大筋合意」の内容を各国に持ち帰り、それぞれの国民を説得し、議論を経て、議会の承認等の国内手続きを経た上で、TPPはようやく発効にこぎつけます。
合意から発効に至るプロセスは、前途多難であり、発効に至らない可能性も残しています。
具体的には、次のような条件でTPPは発効に至るそうです。
現在は、私たち日本国民が、「大筋合意」の内容について政府から十分な説明を受けて、受け入れるのか、受け入れないのかの議論を尽くす段階にあります。
にもかかわらず、NHKのニュースは、まるで、TPP協定がすでに決定された事項であるかのように報道しています。
たとえば、下は、TPPについて説明したNHKのサイトですが、
22日の夜9時のNHKのニュースも、上のサイトの説明と同様、
「70年とすることに決まりました」
「『非親告罪』が導入されることになりました」
という表現を用いて報じていました。
これでは視聴者は、TPP交渉の合意内容が、そのまま日本に適応される決定事項となったかのように勘違いしてしまいます。
実際には、日本がTPPに参加するかどうかさえ、まだ、決まってはいません。
それを、これから決定していくのは、私たち日本国民です。
それなのに、公共放送を標榜するNHKや、安保法制に関しては過剰なまでに政府に対する批判的な報道を繰り返した左派系のメディアですら、TPPの危険性については、国民に事実を伝える義務を果たそうとはしません。
そのようなマスコミの報道姿勢の結果、TPPに対する危機感はまったく国民の間に広がってはいません。
「関税がなくなって、食料品が安くなるのは助かるわね」
「農家の人たちは大変そうだけど、うちは農家じゃないから関係ないしね」
ぐらいにしか、ほとんどの国民は考えていないのでしょう。
一方、安倍政権は、安倍晋三が外遊に忙しいという理由にかこつけて、TPP交渉の合意内容について、国民に対する説明と十分な議論を尽くさなければならないこの段階にあって、しかも、第三次安倍改造内閣が発足した直後であるにもかかわらず、臨時国会を招集せず、所信表明も行わないという異常な姿勢をとりつづけています。
TPP交渉が「大筋合意」(in-principle agreement)に達したことと、TPP協定が実際に発効することは、全く別の話です。
交渉に参加した12カ国が「大筋合意」の内容を各国に持ち帰り、それぞれの国民を説得し、議論を経て、議会の承認等の国内手続きを経た上で、TPPはようやく発効にこぎつけます。
合意から発効に至るプロセスは、前途多難であり、発効に至らない可能性も残しています。
具体的には、次のような条件でTPPは発効に至るそうです。
TPP発効:GDP計85%超の6カ国承認が条件
【アトランタ横山三加子】などの効力が発生する協定発効の条件を決めた。全参加国が議会承認などの国内手続きを協定署名から2年以内に終えられない場合、国内総生産(GDP)の合計が85%以上を占める6カ国が手続きを終えれば発効できるとした。
域内のGDPで日米が占める比率は約8割に上り、日米の国内手続きが終わらない限り、発効できない仕組み。ただ、米国は来年秋に大統領選、日本は来年夏に参院選を控える。貿易自由化に対する政治的反発から国内手続きに手間取れば、巨大な自由貿易圏の誕生が遅れる可能性もある。
大筋合意を受けて、参加国は協定案を作成する。各国政府が協定案に署名し、その後に議会承認などの手続きに入る。米国では署名の90日前には議会に通知しなければならないため、署名は早くても年明けになる見込みだ。
だが、米国の通商政策に影響力が大きい米上院財政委員会のハッチ委員長(共和)が「今回の合意はひどく不十分なようだ」と指摘するなど米国で手続きが停滞する恐れがある。
(出典: 毎日新聞 2015年10月6日)
現在は、私たち日本国民が、「大筋合意」の内容について政府から十分な説明を受けて、受け入れるのか、受け入れないのかの議論を尽くす段階にあります。
にもかかわらず、NHKのニュースは、まるで、TPP協定がすでに決定された事項であるかのように報道しています。
たとえば、下は、TPPについて説明したNHKのサイトですが、
交渉の結果、日本を含む各国がアメリカに合わせる形で、映画や音楽などの著作権の保護期間を少なくとも70年とすることに決まりました。
著作権侵害があった場合に原則、作者などの告訴がなくても起訴できるようにする「非親告罪」が導入されることになりました。
(出典: NHK News Web 今さら聞けないTPP 基本がわかる12のカード 知的財産の主な合意内容)
22日の夜9時のNHKのニュースも、上のサイトの説明と同様、
「70年とすることに決まりました」
「『非親告罪』が導入されることになりました」
という表現を用いて報じていました。
これでは視聴者は、TPP交渉の合意内容が、そのまま日本に適応される決定事項となったかのように勘違いしてしまいます。
実際には、日本がTPPに参加するかどうかさえ、まだ、決まってはいません。
それを、これから決定していくのは、私たち日本国民です。
それなのに、公共放送を標榜するNHKや、安保法制に関しては過剰なまでに政府に対する批判的な報道を繰り返した左派系のメディアですら、TPPの危険性については、国民に事実を伝える義務を果たそうとはしません。
そのようなマスコミの報道姿勢の結果、TPPに対する危機感はまったく国民の間に広がってはいません。
内閣支持41%に上昇 TPP賛成58%
朝日新聞社が17、18日に行った全国世論調査(電話)によると、安倍内閣の支持率は41%(9月19、20日実施の全国緊急世論調査35%)と上昇した。不支持率は40%(同45%)だった。
安倍内閣の支持率が40%を超えたのは、45%だった今年5月の全国世論調査以来。男女別では、男性の支持率は47%(同43%)。女性の支持率は35%(同28%)に上がった。
9月に成立した安全保障関連法について賛否を聞くと、「賛成」は36%(同30%)に上昇。「反対」は49%(同51%)だった。
日本やアメリカなど12カ国の間で今月、大筋合意した環太平洋経済連携協定(TPP)への参加については、「賛成」は58%で、「反対」の21%を上回った。質問文が異なるため単純に比較できないが、2014年4月の全国世論調査で参加について聞いた際は、「賛成」52%、「反対」25%だった。
(出典: 朝日新聞 2015年10月20日)
「関税がなくなって、食料品が安くなるのは助かるわね」
「農家の人たちは大変そうだけど、うちは農家じゃないから関係ないしね」
ぐらいにしか、ほとんどの国民は考えていないのでしょう。
一方、安倍政権は、安倍晋三が外遊に忙しいという理由にかこつけて、TPP交渉の合意内容について、国民に対する説明と十分な議論を尽くさなければならないこの段階にあって、しかも、第三次安倍改造内閣が発足した直後であるにもかかわらず、臨時国会を招集せず、所信表明も行わないという異常な姿勢をとりつづけています。
野党5党:臨時国会要求で一致 TPPや新閣僚の質疑
民主、維新、共産、社民、生活の野党5党は19日、国会内で幹事長、国対委員長らが会談し、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の大筋合意や内閣改造に伴う新任閣僚の所信などに関する質疑を行うため、政府・与党に臨時国会の開会を要求することで一致した。野党は20日に与党に申し入れる方針だが、応じない場合は憲法53条の規定も使って早期開会を要求し、攻勢を強める構えだ。
会談には、野党5党と参院会派無所属クラブの代表が出席。民主の枝野幸男幹事長は会談後、安全保障関連法や米軍普天間飛行場移設、原発再稼働などの審議も求める考えを示し、「政府・与党が積極的に開くのが当然だ」と強調。来年の通常国会前に任期が満了する国会同意人事があることを指摘し、「政府の怠慢で空席になるのは問題だ」とも述べた。
その後、与野党は20日に幹事長会談を開くことで合意したが、与党は野党側の要求には応じない見通しだ。その場合は、野党は21日にも、衆参いずれかの議員の4分の1以上の要求で政府が臨時国会召集を決定しなければならないとの憲法53条の規定に基づく要求を行う方針だ。
維新の今井雅人幹事長は19日、与党側の姿勢について「これだけ閣僚が代わって所信表明をやらないことはあり得ない。国会軽視と言わざるを得ない」と批判。共産の山下芳生書記局長も「自分たちが通したい安保関連法では過去最大の会期延長を強行しながら、問題が累積している時は逃げるのはあまりにご都合主義だ」と断じた。
(出典: 毎日新聞 2015年10月19日)
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