「なぜ、こんなことになったのか」(1)

真実の中に巧みに混ぜられる嘘。
テレビ、ラジオ、インターネット、出版で、我が国における反新自由主義、反グローバリズム、反TPPの代表的な論客として活躍しておられる三橋貴明氏が、TPP交渉の大筋合意を受けて、次のように述べておられます。

さて、これで我が国は「亡国への道」で大きく足を踏み出したわけですが、別に、

「だからもう、日本はおしまいだあ~っ!」

などという話にはなりません。と言いますか、日本が終わりだとして、どうするのですか? 我が国から逃亡しますか。そうしたければ、どうぞそうして下さい。

わたくしは嫌です。だから、日本に残り、これからも足掻き続けますし、そもそも「日本はおしまいだ~っ!」などとは思っていません。わたくしにしても、我が国の主人公の一人なのです。

先日、チャンネル桜の討論番組で、

「今後、考えるべきことは二つです。一つは、亡国をいかに防ぐか。二つ目は、亡国に至った後にどうするか」

と、発言しました。ここで言う亡国とは、国民が自らの主権に基づき、政治的な話を決定できなくなる、という意味になります。TPPを批准した時点で、日本国民は多くの主権を失います。国際協定は、国内法に優先するのです。

さらに、ISDやラチェットが含まれていた場合(含まれているでしょう)、「未来永劫、戻せない」という話になってしまうわけでございます。

とりあえず、具体的にやるべきことは二つ。

一つ目は、TPPの中身について「正しく理解」」し、様々な国民に知らせていくことです。特に、国会議員に。

「国会議員にレクチャーしても無駄だよ・・・」

と、思われた方が多いかも知れませんが、我が国は議会制民主主義国家なのです。国政を変える資格を持つのは、国民の主権の束を背負う国会議員しかいません。

二つ目は、TPPにより様々な影響が日本国民に生じたとき、

「なぜ、こんなことになったのか」

について、やはり「正しく理解」し、周知することです。TPPの影響は、批准直後から生じるわけではありません。何年も、十何年もかけ、少しずつTPPに合わせて法律が変えられていき、我が国は「今と違う日本」にいつの間にか姿を変えていることになります。いかなる「今と違う日本」なのか。わかりやすい例を出せば、現在のアメリカ型社会であり、あるいは「顔のない独裁者 」の世界です。

(出典: 三橋貴明ブログ「主人公」2015年10月6日)

三橋貴明氏の的確な指摘に、心から同意します。

「なぜ、こんなことになったのか」

私たちは「正しく理解」する必要があります。

「なぜ、こんなことになったのか」

安倍政権発足以降の、当ブログの記事の多くは、この問題の考察に捧げられてきました。ですから、将来、今より多くの人々が、

「なぜ、こんなことになったのか」

と、戸惑いを抱く事態に至ったとき、当ブログは、一つの有益な参考資料になるはずです。

今から二年前の、2013年10月に、下のように記した通りです。

未来の歴史の教科書に、今の時代は次のように記述されるかもしれません。

"21世紀初頭、日本の長い歴史に幕を閉じる役割を担った安倍晋三という政治家を、日本人がこぞって救世主のように神格化し、崇拝するという奇怪な社会現象が発生した。「安倍さんを信じよう」が流行り言葉となり、この政治家に対する批判は一切封じられ、批判者には「反日」の烙印が押された。日本の国家解体は迅速に進められていったが、このような危機的な状況下でも、日本人は、安倍晋三の真意は他にあると信じ続けた。終末を自ら招いた日本人の姿は、あたかも集団で海に身を投じるレミングのようであった。"

なぜ人々はこぞって、安倍晋三というグローバリストを「愛国政治家」であると誤解したのでしょうか。

なぜ人々はこぞって、安倍晋三という、間違いなく日本の歴史に名を刻むであろう超弩級の国家破壊者を、「救国政治家」であると誤認したのでしょうか。

なぜこのようなマンガのような出来事が現実に起きてしまったのか。

そのカラクリを、WJFプロジェクトは、これまでも様々な角度から考察し説明してきました。

もしかすると当ブログは、日本の、いや世界の歴史に刻まれるであろうこの奇怪な社会現象を、その渦中の外側から、リアルタイムで観察し、分析し、網羅的に記述した一つの貴重な歴史資料として後世の歴史家に参照されることになるかもしれません。

なぜ日本人は騙されたのか。

この問題は、今後、歴史学者によっても、社会学者によっても、心理学者によっても、幅広く研究されていくことと思いますが、WJFプロジェクトはこれからも引き続き、この問題を深く掘り下げていきたいと考えています。

また、この問題を考察することによって、私たち日本人の中のどこに病根があったのか、日本人はどうやってその病根を根治していくべきなのか、日本人はこれからどういうあり方を深めていくべきなのか、日本人はどういう方向に向かって進んでいくべきなのか、日本人はどうやってこの国を救っていくべきなのかという、かなり本質的な問題もあわせて論じていきたいと思います。

騙されたと自覚されている方たちには、反省の一つの材料にしていただければと思います。

そもそも、安倍晋三が新自由主義者であり、構造改革推進論者であり、グローバリストであるという事実は、

「カラスは黒い」

というぐらい明々白々の事実でした。

この単純な事実を認識するのには、何の高度な専門知識も不必要でした。

なにしろ、安倍晋三自身が自分の口で以前から一貫してそう語っていましたし、安倍自民党が昨年の衆院選に際して掲げた選挙公約の中に道州制という究極のグローバル化政策が始めからはっきりと掲げられていました。ですから、安倍政権が向かう方向を誤解する余地は最初からまったくなかったはずです。

にもかかわらず、なぜ、このグローバリストの政権を、人々がそろいもそろって「安倍救国政権」と誤解するなどという不思議な現象が起きたのでしょうか。

しかも、その誤解が、なぜ10ヶ月も払拭されなかったのでしょうか。

この問題を改めて考察し、多角的に論じていきたいと思います。

今回は、一つの問題を提起するにとどめておきたいと思いますが、みなさんは、黒いカラスを人々がそろって「白い」とみなすという不思議な現象が起きるのには、どんな条件が必要であるとお考えになりますか?

通常、黒いカラスは、誰の目にも黒く見えるものです。

しかし、黒いものを指差して、人々がそろって「白い」と言い始めるときには、何か通常とは異なる、異常な条件下に人々が置かれていることを意味しています。

どのような異常な条件がそろえば、そのような現象が発生するのでしょうか。

みなさんもぜひ考えてみてください。

(出典: WJFプロジェクト「なぜ人々は騙されたのか(1)」2013年10月16日)

安倍晋三という「黒いカラス(グローバリスト)」を指差して「白い(愛国者)」と人々が信じ込む「異常な条件」を作り出すことに加担してきた言論人の一人である三橋貴明氏は、始めに引用した文章の中で、性懲りも無く、ある深刻なミスリードを行っています。

そして、そのミスリードを行っているのは、例によって、三橋貴明氏一人ではありません。

みなさんは、それが何かお気づきですか。

正解は次回発表します。

(つづく)
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お詫び

無門関氏

詳細情報助かります。ちと前回の主張は思い込みだったため、外務省や内閣府などで公開されている一次情報を確認していきたいと思います。確かに政府広報の内容把握を怠ってはなりませんね。橋下現大阪府知事の統合リゾート型施設や英語特区みたいな政策も、在日米国商工会議所が公開している資料を読んだときにその危険性が一目瞭然でした。これらの計画もTPPと並び、日本固有の社会構造を破壊するための新自由主義の一環であると諸兄方には理解いただけるはずです。

統合型リゾートが日本経済の活性化に寄与するための枠組みの構築
http://www.accj.or.jp/images/141027_Establish_Necessary_IR.pdf
ポジションペーパー: 「One Kansai」 コンセプトに基づく関西地域の通商、投資、観光の促進を目指して
http://www.accj.or.jp/images/1317_One_Kansai_Position_Paper.pdf
ACCJ関係者と橋下氏会談の様子
http://www.jupiter-sales.sakura.ne.jp/news/2008_11_28.html

民主党なんか自民党と同じです

共産党、社民党に入れるしかありません

No title

>侍JP様

全く同感です。すでに進行しています。


>出娑張り原人様

「TPPは多国間協定のため署名済の状況下では国会決議程度でどうにもなりません。」

この部分、私には理解できかねます。

以下に理由を述べます。

1)ここでの「署名」とは「政府の署名」を意味すると考えてよろしいでしょうか?

もし、そうであるなら、まだ、どこも署名していません。
最終合意書すらできていません。

2)TPP 発効まで今後のスケジュールをよくご覧ください。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151006/k10010260961000.html

TPP=環太平洋パートナーシップ協定交渉が大筋合意を受けて、参加12か国は、今後、協定案の内容が法的に矛盾していないか、詳細にチェックして最終案を取りまとめる作業を行います。

TPPの協定が発効するためには、各国政府が協定に署名し、その後、各国の議会で批准される必要があります。
アメリカの場合は、政府が協定に署名する90日、3か月前までに議会に協定内容を通知することが法律で定められているため、オバマ大統領が署名するのは少なくとも来年の1月以降となり、議会での審議に入るのに一定の時間がかかります。
日本も政府による署名のあと、国会で協定内容を審議し、批准する手続きをとることになります。また、合わせてTPPに関連する国内法の改正手続きも並行して進めることになります。
協定を発効する条件としては、すべての参加国が署名後2年以内に議会での批准手続きを終えるか、2年以内に参加国すべてが手続きを終了できなかった場合、TPP全体のGDP=国内総生産の85%以上を占める、少なくとも6か国が批准手続きを終えると協定は発効することができるようになります。

以上ですが、

政府署名の後に議会審議に入ります。この審議において議会が不服であれば、当然、批准
拒否できます。

本文後半を読めばわかるように、批准拒否の国が出てきた場合の発行条件も既定してあります。

また、脱退の規定もあります。下記は大筋合意書のサマリーですが、
最後の30章には脱退の方法についても言及しています。
具体的方法は今後詰めるのでしょう、ただ、脱退の方法という語が記述されているだけですが。

http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2015/10/151005_tpp_Summary.pdf


おわかりいただけたでしょうか?

まだ、何も決まっていないのです。

また、「国会決議程度」で拒否できるのです。


No title

知らない人が多いのではないでしょうか。

ブログランキングが上位を見てみると、安倍内閣に肯定的な人が多いです。

また2チャンネルまとめサイトは安倍内閣推しが多いです。

特にブログランキングトップの人たちの中には、TPP反対派、慎重派もいますが・・・。

安倍内閣支持者の人たちのアクセス数が半端ない数字。
1週間で100万アクセスの人が多いですからね。

この牙城を崩すのは厳しいです。

昨年の衆院選は自民党に票を入れなくて正解でしたね。
私もそうしましたけど。

来年の参院選はどうしようかな。
政界再編とやらがまだ進んでませんし、それまで考えるようにしましょう。

今のところ、「民主党」や「日本共産党」に入れざるを得ないです。

国内法と一次産業壊滅の危機

三橋殿ですか、チョンネル錯乱ご用達の他専門家よりもさらに抜け目のない偽装のやり方ですね。後戻りできない段階に到達してからやっと正論めいたことを吐く、だから見抜き辛い。

1点目の問題として、TPPは多国間協定のため署名済の状況下では国会決議程度でどうにもなりません。参加した以上、規制緩和のため国内法の改悪がさらに進むでしょうな。

2点目の問題として、アメリカ支配者層や日本の国会議員をスケープゴートにしている点ではないでしょうか?彼らは親玉の指令なくしては動きませんし、唯の捨て駒にしか過ぎません。親玉つまりは世界金融・多国籍企業・ヘッジファンドを構成する国際投資家が本体。

No title

なぜ、こんなことになったのか

前回の衆議院選挙で国民の多数がTPP反対の共産党や生活の党などに入れなかったから

無知な国民と問題を周知しないマスコミや
危険性を知りながら自民党を支持する三橋のような売国奴などが引き起こした悲劇

これは戦争法案も消費税増税も同じ

No title

TPP後の社会はどのような社会になるのか?を論じるのも面白いと思います。
それによってどう生きるかも決まってくるので。
WJFさんに具体的に予想してもらったら面白い読み物になりそうです。
まぁおそらく政治的に不平・不満を言ったりせずに、「使える人間」に徹することが一番でしょうね。

No title

三橋さんのミスリードと申しますか、
自民党員であること自体がもうおかしいと思います。
そんなのでまともが言論活動できないでしょうに。
人は恐怖の前では思考停止状態に陥ります。
三橋さんの場合は民主党がそれでありそのために、
新自由主義の巣窟である経済界・米国の操り傀儡状態の自民党に対して無防備で無垢な赤子のようになってしまいます。
第一次安倍政権でしたことしよとしたことに①定率減税廃止に対して法人税引下げ②道州制③ホワイトカラーエグセプション④消費税引き上げ⑤富裕層の減税、などがあります。
第二次安倍政権でこれだけの毒素を入れる先発予告をしていて、無邪気に警戒もなしにミルクを飲むのも民主という恐れから思考停止状態に陥るからだと思います。
北朝鮮怖さにイラク戦争に加担した連中や、中国怖さに今回の安保法制改正に賛成してる連中らもまったく同じです。
米国は日露戦争以降オレンジ計画で日本封じ込め戦略を首尾一貫貫き、米中協調路線もその一貫だということを認めたくないんですよね。
思考停止してる人間が焦燥の中、次にすることは思考再開・再起動。
しかしそこにまともな判断力も知性の欠片などなく、安易に安心できるものにすがりつきます。
毒が入ってようがそんなの気にもしません。
恐怖でパニックになった人間に何を言っても無駄です。
民主(左翼)という恐怖がある限り永遠に続きます。

戦争に向かうのか

革命によって「自由化された」ウクライナ。
この革命は、過激な「右翼」が主導しました。
そして今、IMFの指導によって構造改革が進められています。
年金がカットされたり公共物の民営化が進みます。
人々は西側に入ることで豊かになるとの幻想を今も抱いています。
しかし、日本に来ているウクライナの留学生に話を聞くと、
革命後、暮らし向きは悪くなっているそうです。
貧富の差が広がり、人々の不満は鬱積し、ロシア語を話す人に対し、
激しい憎悪の目を向ける。同じスラブ民族なのですが。
そして、その暮らし向きが悪くなった原因は、国内東部で行われている
親ロシア派との内戦であると言います。

戦争は、物事の本質をそらすための道具にもなると思います。
国内の不満をそらすために外に敵を作るのは、中国や韓国が、国内の不満を
かわすために日本を敵にする国内向けのプロパガンダが例にあげられます。

日本も近い将来、そうなるのでしょうか。
国内の不満をかわすために、他国と戦争を行うようになるのでしょうか。

「国内の暮らし向きが良くならないのは、○○国のせいだ。」
と国民を思わせるために戦争を仕掛けることになるのか。

日本人は馬鹿じゃない。
そうならないことを祈りたいし、私も具体的に動きたいと思います。
WJFさんの論考をもとにどうすればよいか、考えたいと思います。

No title

「少しずつTPPに合わせて法律が変えられていき、我が国は「今と違う日本」にいつの間にか姿を変えていることになります。」

三橋氏の文章を読んでいて違和感があったのはこの部分です。

すでに安倍自民はTPPに合わせて国内法をことごとく改悪しています。
これから変わるのではなく、もうTPPに合わせて変わっているのです。
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