伝統に背けば国を壊す

それでもいいと思つてゐる人たちと、私は口をきく気にもなれなくなつてゐるのである。
伝統は国を守る。

なぜか。

千何百年間も守り続けていく中で、私たちの国柄、土地柄、人柄に合致するように研ぎ澄まされたものが、伝統だからだ。

ならば、伝統にそむくことをすれば国を壊す。

他国に、我が国の兵士を差し出すようなことが、どう我が国の伝統に合致するのか。

独立国家であり続けてきた日本が、過去にそのようなことをしたことがあるのか。

一度もない。

過去に、大国に兵士を差し出すことを要求され、それに従わざるを得なかった国がある。

李氏朝鮮である。



1636年、後金は清と国号を変更し、朝鮮に対して清への服従と朝貢、及び明へ派遣する兵3万を要求してきた。この時の朝鮮は斥和論が伸張しており、この要求を拒むと、同年、清は太宗(ホンタイジ)自ら12万の兵力を率いて再度朝鮮に侵入した(丙子胡乱)。朝鮮側は南漢山城に籠城したものの、城内の食料は50日分ほどしかなく、その中で主戦派と主和派に別れての論戦が繰り広げられていた。しかし、江華島が攻め落とされたと言う報告が届くと45日で降伏し、清軍との間で和議が行われた。この和議の内容は清に服従すること、明との断交、朝鮮王子を人質として送ること、莫大な賠償金を支払うなど11項目に及ぶ屈辱的内容であり、三田渡で仁祖はホンタイジに対し三跪九叩頭の礼(三度跪き、九度頭を地にこすりつける)をし、清皇帝を公認する誓いをさせられる恥辱を味わった(大清皇帝功徳碑)。清に対する服属関係は日清戦争の下関条約が締結され、朝鮮が清王を中心とした冊封体制から離脱する1895年まで続くことになる。三田渡の屈辱により仁祖は逆に「反清親明」路線を強く出し、滅亡寸前の明へ一層事大していった。

(中略)

次代の孝宗の時代に入ると反清論はさらに高まり、北伐論(韓国語版)が持ち上がり、軍備の増強が進められた。しかし、征清の機会は訪れないまま北伐は沙汰止みに終わった。この時期、ロシア・ツァーリ国が満州北部の黒竜江まで勢力を広げており、清の要請に応じ、征伐のための援軍を派遣(1654年と1658年の羅禅征伐)している。

(出典: wikipedia 李氏朝鮮)

清が、李氏朝鮮に服従や朝貢や兵を要求したように、アメリカは、我が国に、我が国の憲法を無視してでも、日本人の兵士を差し出すように要求している。

それが安保法制の意味である。

我々が、慣習を捨て、過去に一度もしたことがないことを敢えてやろうとすれば、

それは、日本の伝統を壊し、国を破壊すること以外の何ものをも意味しない。

天皇陛下は、ご自分の個人的意見を語っておられるのではない。

日本の全歴史と全伝統を引き受けた存在としての、お考えを述べておられる。

その天皇陛下が、日本国憲法を重んじると述べておられる。

天皇陛下のご意志にそむき、安倍政権とそれを支持する輩は、逆賊の徒である。

地獄に落ちよ。

日米構造協議、年次改革要望書、日米経済調和対話、郵政民営化による国民の巨大資産の海外への開放、JAの巨大資産の海外への開放、消費税増税、ワシントン・コンセンサス、財政均衡主義・・・

我々の自由な意思で政治を行うことすらゆるさない、アメリカによる我が国への締め付けが、冷戦終結後に強化され、国民経済が疲弊していく中で、とうとう挙げ句の果てに、自然国家たる日本の終焉を意味するTPPへの参加を強要され、アメリカ軍の人員削減の穴埋めのために、憲法を無視しても、自衛隊員を差し出すことを要求されている。

それらの要求に、我々日本国民が、唯々諾々と従った時に、我々の祖国、日本はこれからどうなってしまうのか。

「いつまでもアメリカの属国でいいじゃないか」
「アメリカに組み込まれて日本なんかなくなっちまっていいじゃないか」
「中国の属国になるよりましだ」
「他にどうしようもないじゃないか」
「それでもいい」


などと言う人々がいるのであれば、あなたがたに言い得る言葉は一つしかない。

このまま行つたら「日本」はなくなつてしまうのではないかといふ感を日ましに深くする。日本はなくなつて、その代はりに、無機的な、からつぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであらう。それでもいいと思つてゐる人たちと、私は口をきく気にもなれなくなつてゐるのである。

(出典: 三島由紀夫「果たし得てゐない約束――私の中の二十五年」サンケイ新聞1970年7月7日)

参考記事:
「日本を、礼節の国にしたい」2014年5月18日
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