愛国者が「安保法制」に賛成してはならない理由
「安保法制」の本当の危険性。
「国」と「国」が全面的に争った20世紀とは異なり、21世紀は、「国」が「国」によって、たやすく侵略されたり支配されたりする時代ではありません。
小さな領土の侵犯や侵略はありえますが、ひとつの「国」が丸ごと、他の特定の「国」によってすっぽりと軍事的な支配下に置かれるということは、あまり考えられません。
右派の日本人は、「日本はチベットのように中国に侵略される」と中国を大変怖がっていますが、実は、中国の一般大衆は、日本人が中国を恐れる以上に、日本を恐れています。
それは、「反日教育」や「反日プロパガンダ」や、四六時中、中国のテレビで放送されている「抗日ドラマ」のおかげで、ふだんは礼儀正しくおとなしい日本人が、いざ戦争になると、いかに残虐になり、数日のうちに何十万人もの人間をいともかんたんに大虐殺しうるかを、中国人が執拗に刷り込まれているためです。
仮に日本と中国が全面戦争になれば、中国の各地で、恐怖に駆られた大衆が、パニックを引き起こすことでしょう。
そのパニックに乗じて、中国国内に内乱が起きるかもしれません。
中国の政治指導者たちが、国内の政情を不安定にする、そのようなリスクを犯すことはなかなか考えられません。
21世紀の日本にとってより危険なのは、「国」が「国ならざるもの」によって、侵略され、併呑され、支配されることではないかと思います。
中東で起きているISISも、彼らは「イスラム国」を自称していますが、その実態は「国」ではなく、人工的に作られた「国ならざるもの」です。
今、日本をすっぽり呑み込もうとしているのも、特定の「国」というよりは、TPPや安保法制のような、「国ならざるもの」です。
「国ならざるもの」への参画を強要されることによって、また「国ならざるもの」が「国」の上位に立つことによって、「国」が否定され、解体され、併呑され、支配されていく。
それが、21世紀の日本が直面する問題です。
20世紀的な「国」と「国」との争いや脅威を強調することによって、世界の大衆を、「国ならざるもの」の中へと囲い込み、追い立てていくということが、21世紀の今日、起きています。
「安保法制」も、それが危険なのは、左派の人々が心配するように、日本が戦争に巻き込まれる危険性もさることながら、「国ならざるもの」に日本が組み込まれていくことが孕む危険性です。
このことの意味を理解するために、アメリカ海軍が主催し、世界中の海軍がハワイの真珠湾に結集する、リムパック・環太平洋合同演習を見てみましょう。
二年に一度開催されるこの世界最大の海洋合同演習は、最近では、昨年2014年の6月26日から8月1日にかけて開催されました。
日本の自衛隊からは、護衛艦いせと、護衛艦きりしまの二隻の艦船が参加しました。


2012年からアメリカ政府によって招聘を受け続けてきた中国海軍は、昨年初めてリムパックに参加し、駆逐艦海口、フリゲート艦岳陽、補給艦千島湖、病院船岱山島の四隻の艦船が参加しました。




日本からは二隻、中国からは四隻。
アメリカに次いで二番目に多くの艦船が参加したのは中国であり、この点を見ても、アメリカにとっての現在の中国の位置付けがお分かりになると思います。
南シナ海における中国の挑発行為や米政府機関へのハッキングなどの「悪事」のゆえに、一部の上院議員から、中国を参加させるべきではないという声も上がっていますが、オバマ政権は、2016年のリムパックにも中国を招待しています。(出典1、出典2)
この最近のリムパックからも明らかなように、
アメリカも中国も参加するグローバルな防衛体制に「日本も」参加する。
これが「安保法制」や「集団的自衛権」の本当の姿です。
つまり、中国軍から尖閣諸島を守るというような、特定の「国」による特定の「国」への侵略を防ぐという、20世紀型の紛争の処置もさることながら、アメリカも中国も一体化していく「ワン・ワールド」体制(=グローバリズム)の一員として日本が参画していくこと。これが「安保法制」がもつ、隠されたもう一つの重要な側面なのです。
この場合、「集団的自衛権」は、単に特定の「国」の領土を守るために使用されるのではなく、「ワン・ワールド」体制の構築と維持のために使用されます。
「保守・愛国」を標榜する人たちなら、なぜ、これが危険なのか簡単に理解できるはずです。
日本が「ワン・ワールド」に組み込まれていくことによって、天皇を中心とした日本の伝統的な国の単位、「国体」が破壊されるからです。
つまり、「愛国者」なら、「安保法制」など安易に賛成してはならないのです。

参考記事:
恐ろしい二つの地図(2013年8月27日)
FTAAPに言及しはじめた安倍晋三(2013年10月08日)
小さな領土の侵犯や侵略はありえますが、ひとつの「国」が丸ごと、他の特定の「国」によってすっぽりと軍事的な支配下に置かれるということは、あまり考えられません。
右派の日本人は、「日本はチベットのように中国に侵略される」と中国を大変怖がっていますが、実は、中国の一般大衆は、日本人が中国を恐れる以上に、日本を恐れています。
それは、「反日教育」や「反日プロパガンダ」や、四六時中、中国のテレビで放送されている「抗日ドラマ」のおかげで、ふだんは礼儀正しくおとなしい日本人が、いざ戦争になると、いかに残虐になり、数日のうちに何十万人もの人間をいともかんたんに大虐殺しうるかを、中国人が執拗に刷り込まれているためです。
仮に日本と中国が全面戦争になれば、中国の各地で、恐怖に駆られた大衆が、パニックを引き起こすことでしょう。
そのパニックに乗じて、中国国内に内乱が起きるかもしれません。
中国の政治指導者たちが、国内の政情を不安定にする、そのようなリスクを犯すことはなかなか考えられません。
21世紀の日本にとってより危険なのは、「国」が「国ならざるもの」によって、侵略され、併呑され、支配されることではないかと思います。
中東で起きているISISも、彼らは「イスラム国」を自称していますが、その実態は「国」ではなく、人工的に作られた「国ならざるもの」です。
今、日本をすっぽり呑み込もうとしているのも、特定の「国」というよりは、TPPや安保法制のような、「国ならざるもの」です。
「国ならざるもの」への参画を強要されることによって、また「国ならざるもの」が「国」の上位に立つことによって、「国」が否定され、解体され、併呑され、支配されていく。
それが、21世紀の日本が直面する問題です。
20世紀的な「国」と「国」との争いや脅威を強調することによって、世界の大衆を、「国ならざるもの」の中へと囲い込み、追い立てていくということが、21世紀の今日、起きています。
「安保法制」も、それが危険なのは、左派の人々が心配するように、日本が戦争に巻き込まれる危険性もさることながら、「国ならざるもの」に日本が組み込まれていくことが孕む危険性です。
このことの意味を理解するために、アメリカ海軍が主催し、世界中の海軍がハワイの真珠湾に結集する、リムパック・環太平洋合同演習を見てみましょう。
二年に一度開催されるこの世界最大の海洋合同演習は、最近では、昨年2014年の6月26日から8月1日にかけて開催されました。
日本の自衛隊からは、護衛艦いせと、護衛艦きりしまの二隻の艦船が参加しました。


2012年からアメリカ政府によって招聘を受け続けてきた中国海軍は、昨年初めてリムパックに参加し、駆逐艦海口、フリゲート艦岳陽、補給艦千島湖、病院船岱山島の四隻の艦船が参加しました。




日本からは二隻、中国からは四隻。
アメリカに次いで二番目に多くの艦船が参加したのは中国であり、この点を見ても、アメリカにとっての現在の中国の位置付けがお分かりになると思います。
南シナ海における中国の挑発行為や米政府機関へのハッキングなどの「悪事」のゆえに、一部の上院議員から、中国を参加させるべきではないという声も上がっていますが、オバマ政権は、2016年のリムパックにも中国を招待しています。(出典1、出典2)
この最近のリムパックからも明らかなように、
アメリカも中国も参加するグローバルな防衛体制に「日本も」参加する。
これが「安保法制」や「集団的自衛権」の本当の姿です。
つまり、中国軍から尖閣諸島を守るというような、特定の「国」による特定の「国」への侵略を防ぐという、20世紀型の紛争の処置もさることながら、アメリカも中国も一体化していく「ワン・ワールド」体制(=グローバリズム)の一員として日本が参画していくこと。これが「安保法制」がもつ、隠されたもう一つの重要な側面なのです。
この場合、「集団的自衛権」は、単に特定の「国」の領土を守るために使用されるのではなく、「ワン・ワールド」体制の構築と維持のために使用されます。
「保守・愛国」を標榜する人たちなら、なぜ、これが危険なのか簡単に理解できるはずです。
日本が「ワン・ワールド」に組み込まれていくことによって、天皇を中心とした日本の伝統的な国の単位、「国体」が破壊されるからです。
つまり、「愛国者」なら、「安保法制」など安易に賛成してはならないのです。

参考記事:
恐ろしい二つの地図(2013年8月27日)
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