愛国的中高年の再教育(2)

対米隷属は、対中隷属につながる道。
どんなにひどい売国の証拠を見せられても、どんなにひどい国家破壊的な政策を見せつけられても、安倍晋三を頑なに支持し続ける愛国的中高年の人々。

(愛国心をもつ中高年のすべてが安倍信者というわけではなく、冷戦時代に青春時代を送った40代以上の人々に、重症な「冷戦脳」を抱えてしまう人たちが多いという意味です。)

『forced to work(働くことを強制された)』という文言を声明に入れて世界遺産を登録するように指示したのが安倍晋三本人であることが明らかになっても(出典)、

安倍政権が、外国人労働者受け入れの大規模な規制緩和を行っても(出典)、

安倍晋三が副幹事長を務め、自民党の議員が大半を占める日韓議員連盟が、外国人地方参政権の実現に努力することを表明しても(出典)、

安倍晋三の下関事務所の建物が、在日のパチンコ企業の所有であっても(出典)、

何が起きても、何と言われても、彼らの安倍支持は揺るぎません。

なぜ、彼らは、このような頑迷な安倍信者となってしまうのでしょうか。

その理由は、80年代の終わり、彼らの青春時代に、アメリカというかっこいい正義の味方が、ソ連という「悪の帝国」を、さっそうと打ち倒したのを、自分の目で目撃した経験と無関係ではないはずです。

あの時、アメリカがソ連を打ち倒してくれたように、今度は、アメリカが中国という「悪の帝国」を打ち倒してくれることを、中高年の安倍信者は期待しています。

そして、彼らが安倍政権を熱烈に支持することによって、そのことが可能になると信じているのです。

だから彼らはTPPに反対しません。

TPPは中国包囲網だと信じているからです。

彼らは安保法制にも大賛成です。

アメリカの要求通りに、憲法解釈をゆがめてでも集団的自衛権の行使を容認して、アメリカ軍と自衛隊が協力すれば、中国の脅威を退けることができると信じているからです。

しかし、実際には、彼らの期待はかないません。

なぜならば、

冷戦時代の米ソ関係と、現在の米中関係は、全く異なっている

からです。

冷戦時代の米ソ関係と、現在の米中関係が、どのように異なっているか。

中国現代史の専門家である横浜市立大学名誉教授の矢吹晋氏が、アメリカの経済史の専門家ニール・ファーガソンが、2008年に初めて提唱した、「チャイメリカ」(Chimerica、「チャイナ」と「アメリカ」をつなげた造語)という概念を使って、現在の米中関係を次のように説明しています。

このチャイメリカは、かつての米ソ冷戦体制と似て非なるものである。すなわち米ソ冷戦体制下では、米ソが二つの陣営に分かれて対峙し、陣営間の貿易等経済関係は、極度に制約を受けていた。しかし、今日のグローバル経済下のチャイメリカ構造においては、米中貿易はきわめて活発であるばかりでなく、低賃金と安い人民元レート用いて、いわば飢餓輸出にも似た政策によって大量に貯め込んだ米ドルの過半部分が米国債等の買いつけに当てられている。こうして米中関係は、一方ではかつての米ソ関係のように軍事的対立を含みながら、他方経済では、「過剰消費の米国経済」を「過剰貯蓄の中国経済」が支える相互補完関係がこれまでになく深まっている。これがチャイメリカ構造の核心である。

(出典: 矢吹晋著『チャイメリカ―米中結託と日本の進路』)

(矢吹晋氏が上と同じ趣旨のお話をされている下の動画も参考になさってください。)
冷戦時代、アメリカとソ連は、ほぼ断絶し対峙しあっていました。

米ソ間の貿易は、多い時でも両国の総貿易額の1%を超えることはなく(出典)、政治的亡命などの例外を除いて両国間の出入国は禁じられていました。

一方、アメリカと中国は、相互に断絶し対立する関係にあるどころか、1978年12月に鄧小平が「改革開放」を宣言して市場経済に移行し、1979年1月に米中の国交が回復して以来、両国は緊密な経済関係を発展させてきました。



あれから35年が経過し、中国は日本を抜いて世界第二位の経済大国となり、現在、米中間の総貿易額は、日米間の総貿易額の3倍、アメリカ全体の総貿易額の15%、カナダに次ぐ2番目に大きな貿易相手国の地位を占めるに至っています。(出典)

今年2月に、日本が6年半ぶりに中国を抜くまで、アメリカ国債の世界最大の保有国は中国でした。(出典)

中国からアメリカへの人間の流入も進み、2010年時点での中国系アメリカ人の数は、約380万人。アメリカの全人口の1.2%を占めています。(出典)

この数は、今後ますます増加していくことでしょう。



アメリカの大学に入学する中国人の数も急増しています。アメリカの大学を卒業する中国人の若者たちは、将来、米中関係の一層の親密化に貢献していくことでしょう。



アメリカの国勢調査局の推計では、2043年に白人系アメリカ人の比率は過半数を割り、2060年には非白人系アメリカ人が57%に到達すると予想されています。(出典)

中国系や韓国系を中心としたアジア系アメリカ人の比率が、今後どんどん増していくのです。

愛国的中高年が、中国を恐れ、中国から逃れようとして、アメリカだと思って傾斜する国は、かつての冷戦時代のアメリカではなく、中国との融合が進んだアメリカ、今後ますます中国化していくアメリカ、「チャイメリカ」です。

「グローバリズム」という潮流の中心にあるのは、世界的な視野で見れば、アメリカと中国という二つの巨大なグローバル国家が、融合していく現象です。

従って、安倍政権が行っているように、TPPや安保法制を通して、アメリカに国を売り、アメリカの一部として日本を組み込むことは、必然的に、中国に対しても国を売り、中国の一部として日本が組み込まれていくことにもつながっていきます。

対米隷属は、対中隷属へと、まっすぐにつながっています。

実際に、安倍政権の外国人労働者受け入れ緩和政策を通して、中国人等の居留地が、国内に生まれようとしているではありませんか。

参考記事:
全国に中国人や韓国人の居留地ができる(2015年07月17日)


以上の理由により、安倍政権を支持することは、中国から逃れる手段、中国から日本を守る手段には、なり得ないのです。

さて、いまだに安倍晋三を支持する、愛国的中高年のみなさんは、上の話をお分かりになったでしょうか。

おそらく、お分かりにはならないでしょう。

従来のものの見方を180度変えるには、若々しくて柔軟な心が必要だからです。



参考記事:
「愛国者」の二つの意味(2013年1月31日)
FTAAPに言及しはじめた安倍晋三(2013年10月8日)
恐ろしい二つの地図(2013年8月27日)
「親米」という名の「反日」(2013年10月17日)
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