愛国的中高年の再教育(1)
「冷戦脳」という名の老害。
先日も紹介した、「安倍さんは7月9日に在日を強制送還する」という事実無根のデマを流してきた、ある「バカウヨ」系アフィリエイトサイトで行われていたアンケートから伺えることは、「バカウヨ」や「安倍信者」たちが、主に、40代、50代、60代の中高年男性によって構成されているという事実でした。


【世界遺産】今回の日本政府の対応についてどう思う?
おそらく30代以下の元「ネトウヨ」たちは、安倍政権のおかしさにとっくに気付き、「ネトウヨ」からは足を洗い、安倍政権や自民党を批判する側に転じたのでしょう。
その一方で、なぜ、中高年の方たちが、今になっても、凝り固まった安倍信者や自民党支持者であることをやめられず、「安倍さんが在日の通名を廃止する」だの、「世界遺産の件は、安倍さんの知らないところで外務省が勝手にやった」だのといったデマを鵜呑みにしてしまうのか。
これには、ある理由が考えられます。
その理由とは、この世代の人々が、冷戦の時代の真っ只中に、青年期や壮年期などの、人格形成期を過ごしたことです。
特に、圧倒的な軍事力をもって「悪の帝国」ソ連と対峙した共和党のロナルド・レーガン大統領と、自民党の中曽根康弘首相が、互いを「ロン」「ヤス」と呼び合った、80年代の親密な日米関係が、戦後日本の一つの理想像として彼らの心に強く焼き付けられています。
当時の日本は、日米貿易摩擦によるジャパン・バッシングや、プラザ合意による円高に苦しめられるというネガティブな側面もありましたが、経済は概ね好調であり、バブル経済という繁栄と栄華の絶頂へと登りつめていく途上にありました。
天安門事件はいまだ起きてはおらず、日中関係は友好的なムードに包まれており、中国や韓国による「反日プロパガンダ」が日本人を悩ませることもなく、NHK特集の「シルクロード」は素直に中国の大地への憧れを日本人の中にかきたて、「反中・嫌韓」感情などが入り込む余地もないほど日本人は自信にあふれており、現在「バカウヨ」と化してしまった中高年のほとんどは、当時「おれたちひょうきん族」や「ベストテン」を見たり、松田聖子や田原俊彦やマイケル・ジャクソンの音楽をダビングしたカセットをウォークマンに入れて街を闊歩しながら、それぞれのやりかたで青春時代を謳歌していたはずです。
この80年代という幸福な時代の最後を締めくくったのが、1989年12月に開かれたマルタ会談であり、アメリカのジョージ・H・W・ブッシュ大統領(大ブッシュ)と、ソ連のミハイル・ゴルバチョフ共産党書記長は、ここに冷戦の終結を宣言したのでした。
日本人は、自由と民主主義という人類普遍の価値を掲げる、明るくかっこいいアメリカという「善の帝国」が、独裁と圧政と窮乏と停滞によって自国民を苦しめ、核戦争による人類の破滅という恐怖心を世界中の人々に与えてきた、ソ連という「悪の帝国」を打ち倒すのを、目の前でまざまざと見せつけられたのでした。
日本は、幸運にも、アメリカという「善の帝国」の陣営に属し、その庇護下に守られることによって、平和と経済的発展を享受し、核戦争や独裁体制の恐怖から免れることができた。
この成功体験が、冷戦時代に人格形成期を過ごした日本人の心に強烈な印象を残しました。
しかし、この冷戦終結を境に、日本の命運が大きく変化したことを、当時の日本人はまだ気づいていませんでした。
そして、冷戦終結から四半世紀が経った今でも、いまだに、あの時を境に、日本の立ち位置や、世界の状況が決定的に変化したことを理解できずにいる人々。
それが、いまだに安倍政権を支持する立場を改めることができずにいる、愛国的中高年の人々なのです。
つづきます。


【世界遺産】今回の日本政府の対応についてどう思う?
おそらく30代以下の元「ネトウヨ」たちは、安倍政権のおかしさにとっくに気付き、「ネトウヨ」からは足を洗い、安倍政権や自民党を批判する側に転じたのでしょう。
その一方で、なぜ、中高年の方たちが、今になっても、凝り固まった安倍信者や自民党支持者であることをやめられず、「安倍さんが在日の通名を廃止する」だの、「世界遺産の件は、安倍さんの知らないところで外務省が勝手にやった」だのといったデマを鵜呑みにしてしまうのか。
これには、ある理由が考えられます。
その理由とは、この世代の人々が、冷戦の時代の真っ只中に、青年期や壮年期などの、人格形成期を過ごしたことです。
特に、圧倒的な軍事力をもって「悪の帝国」ソ連と対峙した共和党のロナルド・レーガン大統領と、自民党の中曽根康弘首相が、互いを「ロン」「ヤス」と呼び合った、80年代の親密な日米関係が、戦後日本の一つの理想像として彼らの心に強く焼き付けられています。
当時の日本は、日米貿易摩擦によるジャパン・バッシングや、プラザ合意による円高に苦しめられるというネガティブな側面もありましたが、経済は概ね好調であり、バブル経済という繁栄と栄華の絶頂へと登りつめていく途上にありました。
天安門事件はいまだ起きてはおらず、日中関係は友好的なムードに包まれており、中国や韓国による「反日プロパガンダ」が日本人を悩ませることもなく、NHK特集の「シルクロード」は素直に中国の大地への憧れを日本人の中にかきたて、「反中・嫌韓」感情などが入り込む余地もないほど日本人は自信にあふれており、現在「バカウヨ」と化してしまった中高年のほとんどは、当時「おれたちひょうきん族」や「ベストテン」を見たり、松田聖子や田原俊彦やマイケル・ジャクソンの音楽をダビングしたカセットをウォークマンに入れて街を闊歩しながら、それぞれのやりかたで青春時代を謳歌していたはずです。
この80年代という幸福な時代の最後を締めくくったのが、1989年12月に開かれたマルタ会談であり、アメリカのジョージ・H・W・ブッシュ大統領(大ブッシュ)と、ソ連のミハイル・ゴルバチョフ共産党書記長は、ここに冷戦の終結を宣言したのでした。
日本人は、自由と民主主義という人類普遍の価値を掲げる、明るくかっこいいアメリカという「善の帝国」が、独裁と圧政と窮乏と停滞によって自国民を苦しめ、核戦争による人類の破滅という恐怖心を世界中の人々に与えてきた、ソ連という「悪の帝国」を打ち倒すのを、目の前でまざまざと見せつけられたのでした。
日本は、幸運にも、アメリカという「善の帝国」の陣営に属し、その庇護下に守られることによって、平和と経済的発展を享受し、核戦争や独裁体制の恐怖から免れることができた。
この成功体験が、冷戦時代に人格形成期を過ごした日本人の心に強烈な印象を残しました。
しかし、この冷戦終結を境に、日本の命運が大きく変化したことを、当時の日本人はまだ気づいていませんでした。
そして、冷戦終結から四半世紀が経った今でも、いまだに、あの時を境に、日本の立ち位置や、世界の状況が決定的に変化したことを理解できずにいる人々。
それが、いまだに安倍政権を支持する立場を改めることができずにいる、愛国的中高年の人々なのです。
つづきます。

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