なぜ慰安婦騒動は収束しないのか(1)

対立を煽る人々の存在。
なぜ、慰安婦問題をめぐる騒動は、年々悪化こそすれ、絶対に収束しないのか。

慰安婦騒動が拡大していくパターンを、次のようにまとめることができます。

1. 二項対立を煽る
2. 大衆を巻き込む
3. カルト宗教が絡む(統一教会や幸福の科学など)
4. 構造改革に誘導する

このシリーズでは、上の四項目を、あらためて丁寧に検証してみたいと思います。

このシリーズを、二つの文章の引用からはじめます。

一つ目は、2007年3月の週刊文春の記事の引用です。

まずは、下の記事を虚心坦懐にお読みください。

「従軍慰安婦」を米紙に "広報した" 安倍政権宣伝マン」

従軍慰安婦問題で安倍首相への批判が世界に広がっている。ニューヨーク・タイムズが社説(三月六日付)で「アベは謝罪すべきだ」と非難し、八日には一面で「Sex Slaves(性の奴隷)」と刺激的な見出しで慰安婦の証言を掲載。全米のマスコミから世界に飛び火し、外務省が火消しに追われている。

それにしてもなぜ今従軍慰安婦が米マスコミで大きく取り上げられるのか。実は火付け役がいる。安倍首相の広報担当補佐官、世耕弘成氏だ。

世耕氏が訪米したのは二月十九日。米下院で提案されている「従軍慰安婦に関する対日謝罪決議案」について、「安倍首相の真意を説明に行く」と官邸関係者に大見得を切って出発した。しかし、「世耕氏の行動はピントはずれ。下院は祝日のため1週間休会で、議員たちは地元に戻っていた。それを知っていて、世耕氏は訪米したのです。結局、ファーストクラスでの訪米で官費を二百万円以上浪費しながら、一人の議員にも会えなかった」(官邸関係者)

何とか会えたのが、国務省のスティーブンス次官補代理。ヒル次官補の部下だ。「こんな下のランクの役人にわざわざ会いに来る国会議員なんていません。しかも、スティーブンス氏は慰安婦問題自体を知らなかった。それで、逆に『大変な問題だ』と思われてしまうのです」(同前)

さらに世耕氏の行動は裏目に出る。彼は騒ぎの発端となったニューヨーク・タイムズをはじめ三大TVネットワークなど大手マスコミをまわったのだ。在米記者の話。

「慰安婦問題は下院で何度も提案されている人権問題のひとつにすぎず、誰も関心がなかった。それをわざわざ首相補佐官が各マスコミをまわるものだから、寝た子を起こしたのです。そもそも法的拘束力のない決議案なので放っておけばよかったんです」

帰国後、世耕氏は安倍首相に「トータルで六十人に会いました」と報告。しかし、説得すべき議員には一人も会わなかったことはひた隠し。最近は記者たちに、「訪米中、慰安婦の問題は一切話してない」とウソをついている。

官邸記者が嘆く。
「補佐官を五人も起用したものの、みんな仕事がない。だからこんな事態が起きる」
「広報のプロ」を自任する世耕氏の真価が問われる。

(出典: 「週刊文春」2007年3月22日号)

上の記事に登場する、自民党の参議院議員の世耕弘成氏は、ボストン大学コミュニケーション学部大学院で学んだ経験のある広報の専門家です。自民党のメディア戦略を担当し、自民党ネットサポーターズクラブ(自民党のネット工作組織)の基盤を作った人物です。

世論形成のためのノウハウを知り尽くし、実際に、自民党を熱烈に支持する「ネトサポ」や「ネトウヨ」という大衆層を作り出すという大きな実績を上げてきたこの人物が、アメリカの大手マスコミや政府関係者に、わざわざ慰安婦問題を宣伝して回っていたというのです。

世耕弘成氏は、早稲田大学在学中は、原理研究会(統一教会の学生組織)に属していたと言われ、統一教会と深い関係をもつ政治家としても知られています。

もう一つの文章を引用します。

「慰安婦問題の 真実を広報する日本国民運動」を主催する、狛江市議の三宅眞氏(政治評論家の三宅久之氏の子息)がFacebookに載せている文章からの引用です。

三宅氏は、「"SCOTTSBORO GIRLS"チャレンジを応援~慰安婦問題の常識を覆すため世界へ発信」というプロジェクトを展開し、谷山雄二朗の慰安婦ドキュメンタリー映画、「スコッツボローガールズ」の宣伝活動に携わっています。

正確に申し上げますと、目的は、この映画が全米で広まることではなく、二つの議論(ソウルVS東京)があるということ、もしくはソウルの意向だけでなく、TOKYOの意向も存在するんだと気付いてもらうことです。一番影響力が強く民主主義好きなアメリカ人の議論の遡上に早期に乗せていくために、ネット上でバズ効果の高いこうしたモッキング(嘲る)手法のコミュニケーションが有効だと判断したということです。現在、肌感では100メートル競走で80メートルのハンデがあるのがアメリカでの性奴隷問題です。ハンデがなければ、もっとカジュアルすぎない手法も検討の余地は当然ありますが、谷山君の言う「公正無私なアプローチ」を促すための議論のテーマを用意するということが目的です。簡単に言うと、今や、そんな普通のコミュニケーションしているような呑気な対応は遅すぎ、これしかありません、というのが私の考え方です。

(出典: 三宅眞 Facebook 2015年5月28日)

上の文章で、三宅眞氏は、「スコッツボローガールズ」という映画の目的は、日本人と韓国人を含めた世界の人々の誤解を解き、対立を解消し、ある共通の理解の場所に導くことではなく、「ソウルVS東京」(韓国VS日本)という、二項対立的な主張の並置が目的だと率直に認めています。

今後、詳しく説明していきますが、慰安婦問題は、領土問題と異なり、日本と韓国、どちらが正しいという問題ではありません。「日本VS韓国」などといった二項対立の枠組みで慰安婦問題を論じる限り、永遠にこの騒動は収束しません。

それはあたかも、緑色の木々の若葉が、白か黒か、どちらなのかと論じることと等しいからです。

慰安婦問題には、例えるならば、消防士の格好をして、火事の現場にかけつけて、あたかも、火事を消すふりをしながら、炎の中に、水ではなく油を撒いている人たちが存在します。

そして、慰安婦騒動に心を痛めているたくさんの日本人が、水ではなく油がまかれていることに気づかずに、偽物の消防士を熱心に応援してしまっています。

彼らを応援すればするほど、慰安婦騒動は悪化します。

そして、慰安婦騒動が悪化すればするほど、偽物の消防士を応援しようとする日本人の数は増えていきます。

この先に待ち受けているのは、日本の国際社会での評判がどんどん貶められていくことだけでなく、「構造改革」による日本の国家解体です。

「日本VS韓国」の二項対立に煽られて、慰安婦問題のような歴史問題に関心をもつようになる人たちは、必ずと言っていいほど、「構造改革」には関心を持たないように、いや、それどころか、「構造改革」を実行する政権や政党を熱烈に支持するように誘導されてしまうためです。

慰安婦騒動を他の目的のために利用しようとしている人々、はじめから慰安婦騒動を解決する気などない人々が、慰安婦騒動が悪化するようなやり方で大衆を煽って騒動を広げ、多くの大衆がこの騒動に巻き込まれていけば、慰安婦騒動などいつまでも収束するはずがありません。

このことに気づいていただきたく、このシリーズでは、慰安婦騒動を悪化させている下の4つの項目を、丁寧に論じていきたいと思います。

1. 二項対立を煽る
2. 大衆を巻き込む
3. カルト宗教が絡む(統一教会や幸福の科学など)
4. 構造改革に誘導する
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