歩々清風起
鎌倉にて
円覚寺のような禅寺で見るべきものは、建物や庭ばかりではない。
境内の奥まったところ、国宝舎利殿の対面に、1370年創建の如意庵という塔頭がある。
以前は非公開の場所だったが、昨年9月より「安寧」という茶寮が開かれている。
禅の気風は、そこで働く人々の立ち居振る舞いにもみなぎっている。
すがすがしさのなかに、温もりが感じられるのだ。

お茶をいただいていると、一人の雲水さんが現れて、他のお客さんたちと話を始められた。
その声に、私ははっとさせられた。
竹を割ったような澄み切った声。
私たちのような凡夫が、日常の中で話すと、どこか本心をごまかした濁った声が出てくるものだが、その方からは、すとんと、その人と一体になった声が響いていた。
長谷寺で、十一面観音菩薩に手を合わせる。
対象としての観音菩薩に慈悲を乞うためではない。
一人の観音菩薩となるためである。
境内の奥まったところ、国宝舎利殿の対面に、1370年創建の如意庵という塔頭がある。
以前は非公開の場所だったが、昨年9月より「安寧」という茶寮が開かれている。
禅の気風は、そこで働く人々の立ち居振る舞いにもみなぎっている。
すがすがしさのなかに、温もりが感じられるのだ。

お茶をいただいていると、一人の雲水さんが現れて、他のお客さんたちと話を始められた。
その声に、私ははっとさせられた。
竹を割ったような澄み切った声。
私たちのような凡夫が、日常の中で話すと、どこか本心をごまかした濁った声が出てくるものだが、その方からは、すとんと、その人と一体になった声が響いていた。
長谷寺で、十一面観音菩薩に手を合わせる。
対象としての観音菩薩に慈悲を乞うためではない。
一人の観音菩薩となるためである。

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