「慰安婦神話の脱神話化」について語りたいこと(3)
慰安婦論争史における、一つのブレークスルー。
『慰安婦神話の脱神話化』全編(日本語版)を公開しましたが、いつものことながら、修正箇所が出てきてしまいました。後ほど修正したものを公開します。
動画の入れ替えのために、上の動画にせっかくいただいた貴重なコメントが見られなくなるのがもったいないので、こちらに再掲させていただきます。
また下は、第三部英語版に、長年WJFプロジェクトを応援してくれている海外の友人が残してくれたコメントです。彼は、いつもWJFプロジェクトの動画の意図をするどく見抜いてくれます。
長い時間をかけて、慎重に、緻密に構築してきた「慰安婦動画の脱神話化」は、慰安婦論争史における、一つのブレークスルーとなりうる作品だと考えています。
しかしながら、この動画は、二つのグループの人たちに無視される可能性をもった動画でもあります。
一つの集団は、当然のことながら、慰安婦問題に無関心なリベラル(左派)の人たちです。
彼らは、韓国や中国の主張に反論し、日本の立場を弁明しようとする試みに対して「ネトウヨ」のレッテルを貼り、すべて唾棄しようとします。
彼らにとっては、「強制された慰安婦もいた」という事実を率直に認めたこの動画ですら厭わしいことでしょう。
もう一つの集団は、これまで熱心に慰安婦問題の弁明にとりくんできた保守(右派)の人たちです。
「慰安婦神話の脱神話化」のアプローチは、右派の人々がこれまで採用してきた弁明の手法とは大きく異なっているからです。
従来右派の人たちが採用してきた弁明のアプローチは、以下のような点を主張するものでした。
「20万人の女性が日本軍に強制連行された」とする韓国の主張が事実ではないのは言うまでもないことですし、また、韓国人の元慰安婦たちの証言が矛盾を含んでおり、嘘を述べている人々がいるのも事実です。
しかし、韓国人の元慰安婦の証言の矛盾を取り上げて「嘘」として否定することによって、私たちはあたかも「日本軍の慰安婦に自分の意思に反して慰安婦となった女性など存在しない」という極端な主張を世界に対して掲げることになってしまいます。
そして、この主張は明らかに歴史的な事実とは異なります。
「強制連行」の被害者ではありませんが、「就職詐欺」や「年季奉公」によって、自分の意思に反して慰安婦となった女性は存在しました。
また、占領地では、さまざまな複雑な状況下で、小規模で散発的なものですが、兵士による違反事例が皆無であったわけではありません。
韓国の主張を否定するあまり、実際にあったことまで全否定してしまうことや、元慰安婦たちを「嘘つき」と侮蔑し、人権的配慮に欠いているように世界の人たちからは見られてしまう態度が、日本の反論の信憑性と説得力を失わせています。
また第三部で引用したアメリカのニュースをご覧いただければお分かりの通り、売春婦も含めて「性奴隷」と見なしているアメリカ人に対して、「慰安婦たちは、売春婦だから性奴隷ではない」という主張はまったく理解されません。
「慰安婦神話の脱神話化」が画期的なのは、「自分の意思に反して慰安婦になった女性も、自発的に志願した女性も両方存在した」という当たり前な事実から出発して公平に論を組み立てている点です。
また、韓国人の元慰安婦たちを「強欲な嘘つきばばあ」などとなじる代わりに、人身売買の被害者として、同情の対象として一旦取り込んだ上で、それを「てこの支点」にして、韓国の主張を完膚無きまでに打ち破っている点です。
下に引用するのは、第一部を完成させた頃に書いた記事です。
「慰安婦神話の脱神話化」は、拡散さえしていただければ、必ず慰安婦問題に関する誤解を解くのに大きな効果を上げる動画です。
この動画は、世界のどんな人権家をも黙らせるロジックとレトリックを備えています。熱心な人権家であればあるほど、この動画を見れば、日本の慰安婦に関しては何も言えなくなってしまうのです。
この動画(第三部だけでもかまいません)を見て、日本を非難しつづけられる人は、一人もいないはずです。
韓国人元慰安婦に同情を示しているから、という理由でこの動画を敬遠する代わりに、ぜひ、この動画の持つ可能性を信頼していただき、各所で、積極的に活用していただきたいと思います。
動画の入れ替えのために、上の動画にせっかくいただいた貴重なコメントが見られなくなるのがもったいないので、こちらに再掲させていただきます。
全日本人に見てもらいたい動画。大学生以上は必須とも言える教育動画。
普通の動画より長いが、1時間のドラマやクイズ番組などを見る時間があれば、一生に一回でもこういう歴史知識を勉強すべき。
本当によい動画をありがとうございました。
Office Inada 様
長いが一見の価値あり。
広く知られ、考えるべきと個人的に考えるところであります。
鍵丸一二様
また下は、第三部英語版に、長年WJFプロジェクトを応援してくれている海外の友人が残してくれたコメントです。彼は、いつもWJFプロジェクトの動画の意図をするどく見抜いてくれます。
I would like to congragulate you on this conclusion finale to the tremendous and fruitfuil work of yours. I am sure your study shed a light to a lot of us on many areas regarding that part of history. This 3 part epic documentary is one of the few, if not the only objective study that treats about the confort women issue in English. What I like about your presentation is that you don't try to deny things, but contextualize them and give sense to the whole issue. It's an awakening, and a slap on the cheek for those who had been bombarded by the same mindless and biggoted propaganda for years. Your constructive work is both coherant and structured, and corroborates points that very few can argue against. The sources you provided throughout each part makes it even more ponctual and abondant in information. It must have taken a long time gathering and sorting this valuable material. Hopefully it can reach a broader audience. Good luck and looking forward to your upcoming works.
とてつもなく巨大で、実り多い作品の完結編の完成にお祝いを述べさせていただきます。あなたの研究が多くの地域に暮らす我々の多くに光をなげかけることと確信しています。叙事詩的なドキュメンタリーとなっているこの第三部は、唯一とはいわないまでも、数少ない、慰安婦問題を英語で扱った客観的な研究となっています。あなたのプレゼンテーションについて私が好きな点は、あなたが事実を否定しようとせずに、それらを全体の文脈のなかに位置づけ、意味を与えようとしている点です。この動画は、何年間も同じ思慮の浅い偏見にみちたプロパダンダを浴びせられてきた人々の頬を叩き、彼らを目覚めさせることでしょう。あなたの建設的な作品は、首尾一貫しており、構造がしっかりしており、ほとんどの人が反論できない事実に裏付けを与えています。それぞれの部で、あなたが提示している情報ソースは、この動画を、正確で、情報が豊富なものにしています。価値ある素材を集め、配置するのに、長い時間を要したことでしょう。この作品が、多くの人の目にとまることを願っています。幸運を、そして、あなたの今後の作品に期待しています。
長い時間をかけて、慎重に、緻密に構築してきた「慰安婦動画の脱神話化」は、慰安婦論争史における、一つのブレークスルーとなりうる作品だと考えています。
しかしながら、この動画は、二つのグループの人たちに無視される可能性をもった動画でもあります。
一つの集団は、当然のことながら、慰安婦問題に無関心なリベラル(左派)の人たちです。
彼らは、韓国や中国の主張に反論し、日本の立場を弁明しようとする試みに対して「ネトウヨ」のレッテルを貼り、すべて唾棄しようとします。
彼らにとっては、「強制された慰安婦もいた」という事実を率直に認めたこの動画ですら厭わしいことでしょう。
もう一つの集団は、これまで熱心に慰安婦問題の弁明にとりくんできた保守(右派)の人たちです。
「慰安婦神話の脱神話化」のアプローチは、右派の人々がこれまで採用してきた弁明の手法とは大きく異なっているからです。
従来右派の人たちが採用してきた弁明のアプローチは、以下のような点を主張するものでした。
・韓国人の元慰安婦たちは、日本を貶めている強欲な嘘つきである。
・「強制された」という主張は大方矛盾を含んでおり、すべて疑わしい。
・つまり、日本軍の慰安婦に強制された慰安婦など存在しない。
・慰安婦は、高給取りの売春婦であった。
・慰安婦は売春婦なので、性奴隷ではない。
「20万人の女性が日本軍に強制連行された」とする韓国の主張が事実ではないのは言うまでもないことですし、また、韓国人の元慰安婦たちの証言が矛盾を含んでおり、嘘を述べている人々がいるのも事実です。
しかし、韓国人の元慰安婦の証言の矛盾を取り上げて「嘘」として否定することによって、私たちはあたかも「日本軍の慰安婦に自分の意思に反して慰安婦となった女性など存在しない」という極端な主張を世界に対して掲げることになってしまいます。
そして、この主張は明らかに歴史的な事実とは異なります。
「強制連行」の被害者ではありませんが、「就職詐欺」や「年季奉公」によって、自分の意思に反して慰安婦となった女性は存在しました。
また、占領地では、さまざまな複雑な状況下で、小規模で散発的なものですが、兵士による違反事例が皆無であったわけではありません。
韓国の主張を否定するあまり、実際にあったことまで全否定してしまうことや、元慰安婦たちを「嘘つき」と侮蔑し、人権的配慮に欠いているように世界の人たちからは見られてしまう態度が、日本の反論の信憑性と説得力を失わせています。
また第三部で引用したアメリカのニュースをご覧いただければお分かりの通り、売春婦も含めて「性奴隷」と見なしているアメリカ人に対して、「慰安婦たちは、売春婦だから性奴隷ではない」という主張はまったく理解されません。
「慰安婦神話の脱神話化」が画期的なのは、「自分の意思に反して慰安婦になった女性も、自発的に志願した女性も両方存在した」という当たり前な事実から出発して公平に論を組み立てている点です。
また、韓国人の元慰安婦たちを「強欲な嘘つきばばあ」などとなじる代わりに、人身売買の被害者として、同情の対象として一旦取り込んだ上で、それを「てこの支点」にして、韓国の主張を完膚無きまでに打ち破っている点です。
下に引用するのは、第一部を完成させた頃に書いた記事です。
いろいろと工夫した点があります。
その一つは「てこの原理」を応用したこと。
重いものをてこで動かすときには、ある固定された動かない支点に棒をあてがうことによって動かします。
これは人の思い込みを打破し、ものの見方を動かすときにもそうではないかと思います。
「うごかない支点」。つまり双方が議論の余地なく正しいこととして同意できる一点を設けておく。
上の動画では「かわいそうなおばあさんの悲劇を繰り返さないように全力を尽くそう」という点を支点に用いています。この点に反論できる人はいないからです。(ここでおばあさんたちの悲劇と呼んでいるのはもちろん日本兵に拉致されたというような作り話ではなく、業者に騙されたり、貧しい両親に売られたという悲劇のことです。)
常日頃、慰安婦活動家と同一視されて私たちの批判や侮蔑の対象となりがちな韓国の慰安婦のおばあさんたちを、あえて活動家から引き離して別に扱う。そのことによって、慰安婦神話を信じ込み、慰安婦に同情的な人々との間に共通の動かない「支点」を手に入れることができます。
動画の隠れた究極の目的は当然のことながら「日本の名誉回復」ですが、表向きはその意図は一切出さないでいます。なぜならば「日本の名誉回復」は日本人相互であれば共有できる「動かない支点」になりますが、日本人と外国人との間ではこれを共通の支点として使うことはできません。(親日的な外国人なら別かもしれませんが。)ですから、何か別に「動かない支点」を意図的に設ける必要があります。
聖書の言葉を引用するのも、外国人(西洋人)にとっては、いかに世俗化したとはいえ「動かない点」だからです。
考えてみれば、慰安婦活動家たちも「動かない支点」を巧みに利用しています。「女性の人権はまもられなければならない」。このようなテーゼを掲げられて否定できる人はいないでしょう。
「女性の人権はまもられなければならない」
↓
「日本は重大な女性の人権侵害を犯した」
↓
「したがって日本は糾弾されなくてはならない」
と論理を展開されればこの論理を否定できる人はなかなかいないでしょう。
私たちが外国人に慰安婦問題を説明するときも同じ方法をつかわなければならないと思います。議論の出発点となる「動かない支点」を提示する。相手との間で共有できる「否定しえない点」を持つことによって、それを土台にして話を進めることができる。「日本人の自己弁護なら聞きたくないが、そういうことならば話を聞こうじゃないか」という開かれた姿勢を相手から引き出すことも可能かもしれません。
あとは、この支点に棒をあてがうことで重たい石を割と簡単に動かすことができるようになります。
「慰安婦のおばあさんたちの悲劇を繰り返してはならない」
↓
「慰安婦のおばあさんたちは日本軍ではなく人身売買の被害者である」
↓
「それを日本のせいにして偽りを語ることで、悲劇の本当の原因がうやむやにされる」
↓
「おばあさんたちの悲劇をふせぐことができなくなる」
↓
「本当の事実を知り、悲劇の原因を正しく知ることが不可欠である」
↓
「慰安婦活動家たちは偽善者である」
というように主張を展開し、「動かない支点」を中心に相手のものの見方を180度変えてしまうことも可能になります。
この共通の「支点」を設けることなしに、どんなに証拠を並べても馬の耳に念仏です。「支点」さえあれば、ただの棒切れが大きな岩を動かす力をもつが、「支点」がなければ棒切れは棒切れでしかないのと同じように。
(出典: WJFプロジェクト「てこの原理」2012年11月18日)
「慰安婦神話の脱神話化」は、拡散さえしていただければ、必ず慰安婦問題に関する誤解を解くのに大きな効果を上げる動画です。
この動画は、世界のどんな人権家をも黙らせるロジックとレトリックを備えています。熱心な人権家であればあるほど、この動画を見れば、日本の慰安婦に関しては何も言えなくなってしまうのです。
この動画(第三部だけでもかまいません)を見て、日本を非難しつづけられる人は、一人もいないはずです。
韓国人元慰安婦に同情を示しているから、という理由でこの動画を敬遠する代わりに、ぜひ、この動画の持つ可能性を信頼していただき、各所で、積極的に活用していただきたいと思います。

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