オリンピック開催と引き換えに日本が失うもの
グローバルな祭典の裏で完遂される日本のグローバル化。
2020年の夏期オリンピックの東京開催がIOCによって決定されました。
一定の経済効果が期待できるでしょうし、日本政府は、福島の汚染水漏れに対して実効性のある対策をとらなくてはならなくなるでしょう。
しかし、安倍政権が押し進める日本のグローバル化政策に懸念を抱く私たちにとっては、きわめて不利な状況になったといわざるをえません。
グローバル化に反対する私たちの声は、グローバルな祭典に浮かれる人々の喧騒にかき消されていくでしょう。
まず、オリンピック開催内閣として、安倍政権は長期政権化していきます。
安倍政権は、オリンピックの準備と並行して、従来から掲げているTPP、RCEP、道州制、国家戦略特区などのグローバル化政策を着々と実行に移していきます。経団連がオリンピック開催の年と同じ、2020年をTPPとRCEPを統合するFTAAP完成の年として目標を設定しているのは何かの偶然なのでしょうか。

安倍晋三は、参院選の終わった直後の7月26日に、シンガポールで講演を行い、日本をシンガポール以上のグローバル国家にするという主旨の発言を行っています。
シンガポールという国は、76%の中華系、14%のマレー系、8%のインド系、その他の少数民族の人々によって構成される多民族国家であり2011年の貿易依存度は323.44%に達していますが、安倍晋三はそれ以上の日本のグローバル化を目指すと言うのです。
言うまでもなく、オリンピックはグローバルなスポーツの祭典です。
「グローバルな祭典の準備」と並行して、TPPやRCEPなどのグローバル化政策が実行されれば、オリンピックがカムフラージュとなり、グローバル化が、オリンピックのための時限的な措置なのか、恒久的な措置なのか国民の目からは判別が付きにくくなります。
街が外国人だらけになろうとも「オリンピックのためだ」と言われれば、国民は違和感を感じないでしょう。外国語の標識だらけになっても、「オリンピックのためだ」と言われれば、国民は納得するでしょう。英語教育の強化や実質的な英語公用語化が進められても、「オリンピックを成功させるためだ」と言われれば、国民は疑問を抱かないでしょう。「国家戦略特区」の名の下でどんな規制緩和や構造改革が押し進められようとも「オリンピックのためだ」と言われれば、国民は我慢して受け入れるでしょう。
これまでは、尖閣諸島をめぐる中国の脅威や、日米同盟の強化が、グローバル化推進のための口実として利用されてきましたが、これからはオリンピックが、国民の目を欺くグローバル化推進の口実として利用されていきます。
またオリンピックの経済効果と引き換えに、政府は遅くとも再来年の4月には消費税増税に踏み切ります。消費税は、下請けの国内中小企業には不利であり、上澄みをすする輸出企業には有利な税制です。消費税増税の口実は、「消費税増税を決断できなければ海外投資家は失望する」というものですが、外国人投資家をがっかりさせないために貧しい国民に負担を負わせながら、同時に企業減税や投資減税が行われます。グローバルな勢力に利益をもたらすために、日本人に犠牲を強いるのが消費税増税です。
グローバルな勢力が目論むように、2020年までに、TPPやRCEP、それらを統合するFTAAPが完成していれば、2020年の東京オリンピックは、日本人が自分の手で、国民国家としての日本の終焉を祝う式典になります。
オリンピックは、グローバル化の痛みを一時的に和らげる麻酔薬の役割を果たすでしょう。
しかし、7年後、オリンピックというグローバルなお祭り騒ぎが終わったとき、私たち国民が目にするのは、恒久的にグローバル化が完遂された惨憺たる日本の姿です。
世界の人々を招いて、日本という国民国家の葬式を日本人にあげさせる、それが、2020年のオリンピックの東京開催の意義となります。
一定の経済効果が期待できるでしょうし、日本政府は、福島の汚染水漏れに対して実効性のある対策をとらなくてはならなくなるでしょう。
しかし、安倍政権が押し進める日本のグローバル化政策に懸念を抱く私たちにとっては、きわめて不利な状況になったといわざるをえません。
グローバル化に反対する私たちの声は、グローバルな祭典に浮かれる人々の喧騒にかき消されていくでしょう。
まず、オリンピック開催内閣として、安倍政権は長期政権化していきます。
安倍政権は、オリンピックの準備と並行して、従来から掲げているTPP、RCEP、道州制、国家戦略特区などのグローバル化政策を着々と実行に移していきます。経団連がオリンピック開催の年と同じ、2020年をTPPとRCEPを統合するFTAAP完成の年として目標を設定しているのは何かの偶然なのでしょうか。

(画像出典: 経団連「アジア太平洋地域における経済統合の推進を求める」)
安倍晋三は、参院選の終わった直後の7月26日に、シンガポールで講演を行い、日本をシンガポール以上のグローバル国家にするという主旨の発言を行っています。
シンガポールという国は、76%の中華系、14%のマレー系、8%のインド系、その他の少数民族の人々によって構成される多民族国家であり2011年の貿易依存度は323.44%に達していますが、安倍晋三はそれ以上の日本のグローバル化を目指すと言うのです。
「必要なのは、規制の大胆な改革です。TPP交渉のような、外部からの触媒です。国境を越え、経済圏をまたいだ、ダイナミックな、「競争」と「協調」による、新しい付加価値の創造です。
(中略)
もはや岩盤のように固まった規制を打ち破るには、強力なドリルと、強い刃(は)が必要です。自分はその、『ドリルの刃』になるんだと、私は先に、ロンドンで言いました。
もう一度、同じことを言います。電力や農業、医療分野で規制の改革を進め、新たなサービス、新しい産業を興し、日本経済の活力を、そこから引き出します。
規制改革のショーケースとなる特区も、総理大臣である私自身が進み具合を監督する『国家戦略特区』として、強い政治力を用いて、進めます。
(中略)
世界一、ビジネス・フレンドリーな国にしたいと、私たちは言い続けています。この点、シンガポールに追いつき、できれば追い越したい。真剣に、そう思っています。」
言うまでもなく、オリンピックはグローバルなスポーツの祭典です。
「グローバルな祭典の準備」と並行して、TPPやRCEPなどのグローバル化政策が実行されれば、オリンピックがカムフラージュとなり、グローバル化が、オリンピックのための時限的な措置なのか、恒久的な措置なのか国民の目からは判別が付きにくくなります。
街が外国人だらけになろうとも「オリンピックのためだ」と言われれば、国民は違和感を感じないでしょう。外国語の標識だらけになっても、「オリンピックのためだ」と言われれば、国民は納得するでしょう。英語教育の強化や実質的な英語公用語化が進められても、「オリンピックを成功させるためだ」と言われれば、国民は疑問を抱かないでしょう。「国家戦略特区」の名の下でどんな規制緩和や構造改革が押し進められようとも「オリンピックのためだ」と言われれば、国民は我慢して受け入れるでしょう。
これまでは、尖閣諸島をめぐる中国の脅威や、日米同盟の強化が、グローバル化推進のための口実として利用されてきましたが、これからはオリンピックが、国民の目を欺くグローバル化推進の口実として利用されていきます。
またオリンピックの経済効果と引き換えに、政府は遅くとも再来年の4月には消費税増税に踏み切ります。消費税は、下請けの国内中小企業には不利であり、上澄みをすする輸出企業には有利な税制です。消費税増税の口実は、「消費税増税を決断できなければ海外投資家は失望する」というものですが、外国人投資家をがっかりさせないために貧しい国民に負担を負わせながら、同時に企業減税や投資減税が行われます。グローバルな勢力に利益をもたらすために、日本人に犠牲を強いるのが消費税増税です。
グローバルな勢力が目論むように、2020年までに、TPPやRCEP、それらを統合するFTAAPが完成していれば、2020年の東京オリンピックは、日本人が自分の手で、国民国家としての日本の終焉を祝う式典になります。
オリンピックは、グローバル化の痛みを一時的に和らげる麻酔薬の役割を果たすでしょう。
しかし、7年後、オリンピックというグローバルなお祭り騒ぎが終わったとき、私たち国民が目にするのは、恒久的にグローバル化が完遂された惨憺たる日本の姿です。
世界の人々を招いて、日本という国民国家の葬式を日本人にあげさせる、それが、2020年のオリンピックの東京開催の意義となります。
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