「八紘一宇」の自己矛盾
「家族のように」と言いながら、国民の分裂をよしとする。
「八紘一宇」という言葉は、「豊葦原中国」(とよあしはらのなかつくに)と呼ばれた日本の国内に限定して、「掩八紘而為宇」(天の下を掩って一つの家にする)、つまり、
「国を一つの家族のようにまとめる」
という、日本書紀本来の意味に従って用いるならば、何の問題もない、すばらしい理念であると思います。
しかし、戦前に行われたように、この理念が、日本の国の枠を超えて世界規模に拡大されて、
「天皇の下に全世界の人々が家族のようにまとまらなければならない、天皇が世界を統一しなければならない、人類は皆天皇の下に兄弟のように睦み合うべきである」
というように、グローバル思想や帝国主義や近代的ヒューマニズムと結びつくとき、日本書紀の本来の意味からは、大きくそれることになってしまいます。
厳密には、日本書紀には「掩八紘而為宇」という言葉はあっても「八紘一宇」という言葉は存在せず、この言葉は、あくまで戦前に人工的に作られ、グローバル思想や帝国主義を表現するために使われた言葉ですから、国の枠組みを死守しようとするナショナリストであれば、むしろ、「八紘一宇」というグローバル思想は、唾棄しなくてはならないはずのものです。
また、「八紘一宇」を、日本書紀に従って、国内に限定した理念であると捉えるとしても、この言葉を好んでふりかざす人たちは大きな自己矛盾を犯しています。
なぜなら、彼らは「八紘一宇」という言葉を嫌う人々を左翼だと言って叩き、時には人間以下の存在であるかのように嘲笑し、国民を一つの家族のようにはみなしていないからです。
このように、国民を右翼、左翼に二分したがる戦後日本人の姿は、日本書紀よりも、むしろ朝鮮の人々に似ています。
中華体制に所属した朝鮮では、人々は、良民と賎民に二分されました。
前王朝の遺民や、征服された豪族の子孫などは、賎民と扱われ卑しまれたそうです。
これは天神(支配者の神々)も地祇(被支配者の神々)も等しく崇敬され、天神と地祇は和合するべきであるとした、日本書紀の精神とは正逆のものです。
「掩八紘而為宇」(国を一つの家のようにする)という考え方も、この日本書紀の姿勢と軌を同じくするものです。
右翼の人たちが「八紘一宇」という理念を好むならば、左翼叩きをやめて、兄弟のように仲良く睦み合うべきです。
「国を一つの家族のようにまとめる」
という、日本書紀本来の意味に従って用いるならば、何の問題もない、すばらしい理念であると思います。
しかし、戦前に行われたように、この理念が、日本の国の枠を超えて世界規模に拡大されて、
「天皇の下に全世界の人々が家族のようにまとまらなければならない、天皇が世界を統一しなければならない、人類は皆天皇の下に兄弟のように睦み合うべきである」
というように、グローバル思想や帝国主義や近代的ヒューマニズムと結びつくとき、日本書紀の本来の意味からは、大きくそれることになってしまいます。
厳密には、日本書紀には「掩八紘而為宇」という言葉はあっても「八紘一宇」という言葉は存在せず、この言葉は、あくまで戦前に人工的に作られ、グローバル思想や帝国主義を表現するために使われた言葉ですから、国の枠組みを死守しようとするナショナリストであれば、むしろ、「八紘一宇」というグローバル思想は、唾棄しなくてはならないはずのものです。
また、「八紘一宇」を、日本書紀に従って、国内に限定した理念であると捉えるとしても、この言葉を好んでふりかざす人たちは大きな自己矛盾を犯しています。
なぜなら、彼らは「八紘一宇」という言葉を嫌う人々を左翼だと言って叩き、時には人間以下の存在であるかのように嘲笑し、国民を一つの家族のようにはみなしていないからです。
このように、国民を右翼、左翼に二分したがる戦後日本人の姿は、日本書紀よりも、むしろ朝鮮の人々に似ています。
中華体制に所属した朝鮮では、人々は、良民と賎民に二分されました。

(画像出典: WJFプロジェクトの動画「危機に瀕する日本第2巻」より)
前王朝の遺民や、征服された豪族の子孫などは、賎民と扱われ卑しまれたそうです。
これは天神(支配者の神々)も地祇(被支配者の神々)も等しく崇敬され、天神と地祇は和合するべきであるとした、日本書紀の精神とは正逆のものです。
「掩八紘而為宇」(国を一つの家のようにする)という考え方も、この日本書紀の姿勢と軌を同じくするものです。
右翼の人たちが「八紘一宇」という理念を好むならば、左翼叩きをやめて、兄弟のように仲良く睦み合うべきです。

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