三橋貴明は知っていた

知っていたのに、とぼけ続けた。
消費税増税の決定が発表された約一ヶ月半後の2013年11月13日、三橋貴明が企画・監修を行い、三橋貴明の現在のパートナーと言われるさかき漣が執筆した、『顔のない独裁者』という小説が出版されました。



三橋貴明の盟友、中野剛志が、次のような書評を寄せています。

さかき漣さんの最新作『顔のない独裁者:「自由革命」「新自由主義」との戦い』は、挿絵がないのに、なぜか視覚に訴えかけてきます。

やけにヴィジュアル感があり、まるで、映画やTVドラマを見たあとに原作を読んでいるような錯覚に陥るのです。

なぜでしょうか。

それは、この小説に描かれた世界が、今の日本、デフォルメされた現実の日本を描いた「パラレル・ワールド」だからです。

いや、もっと正確には、パラレルではなく、リアル・ワールドとクロスしているのです。

物語は、日本を大エイジア連邦の一部にしてしまった民主博愛党(つまり、あの人たちね)が、ナショナリズムに目覚めた日本国民によって打倒され、新党自由日本の駒ケ根覚人が首相になるところから始まります。

ところが、この駒ケ根首相(つまり、あの人ね)、道州制、電力自由化、公共事業コンセッション方式、自由賃金制度、自由農地制度、PU(Pacific Union)加盟など、新自由主義的な構造改革を次々と断行するのです。

(出典: 三橋貴明の「新」日本経済新聞「【東田剛】デフォルメされた現実の日本」2013年11月13日)

東アジア共同体の実現を推進していた民主党政権が倒れた後に、「愛国・保守」の救世主のごとく誕生した安倍自民党政権が、実は「救国政権」でもなんでもなく、TPPや道州制や、数々の新自由主義的な構造改革などを遂行していく過激なグローバリスト政権であったという現実の日本を、物語の世界に正確に写し取った作品です。

この小説を企画・監修した三橋貴明は、おそくとも、この小説が出版された2013年11月13日までには、構造改革を遂行するグローバリスト政権としての安倍政権の本質を、正確に見抜いていたことになります。

小説を企画し、執筆し、校正し、出版するに至るまで、一定の期間が必要ですから、2013年11月13日より、さらに遡ること、どんなに遅くとも数ヶ月前、普通に考えれば1年以上前ぐらいには、三橋貴明は、安倍政権の本質を見抜いていたことになります。

安倍政権が発足したのが、2012年12月26日ですから、三橋貴明が、安倍政権の発足前から安倍政権の本質を知っていた可能性も十分に考えられます。

ちなみに、チャンネル桜の水島総は、安倍がTPP交渉参加の意思をもつことを、安倍政権発足前から把握していましたから、水島総と親しい関係にある三橋貴明がそのことを知らなかったはずがありません。水島と三橋がしばしば同じメッセージ(「泥の中をかきわける」「正気の歌」など)をチャンネル桜の番組と三橋ブログで並行して発していることや、現在の田母神にまつわる諍いからもわかるように彼らは緊密に情報を共有しています。

(参照記事: WJFプロジェクト「チャンネル桜は知っていた」2013年3月14日)

しかし、三橋貴明は、一体、2013年10月1日の消費税増税発表の時点まで、どんな言論を展開していたのか。

2012年9月21日、三橋貴明は、安倍晋三の自民党総裁選への出馬を涙を流して喜んでいました。

本当に嬉しいのは、わたくしたち日本国民の方です。経済政策や安全保障について「正しく理解している」方が立ち上がった。本来は、日本国民はこれを「自分たちのために」喜ばなければならないと思うわけです。

(出典: 三橋貴明ブログ「こんな嬉しいことはありません」2012年9月21日)

2012年10月25日、三橋貴明は、安倍晋三や自民党は増税やTPP推進であると述べる人々は、反日・左翼だと決めつけていました。

それにも関わらず、ネットなどでは安倍総裁や自民党が「増税」「TPP推進」と決めつけた書き込みをする人が後を絶ちません。ここまでしつこいと、一部の大手メディア同様に「自民党はTPPと増税推進だ」という既成事実化を図っているか、もしくは自民党の支持率を押し下げるためにやっているとしか思えないわけです。(あるいは双方かも知れませんが)(中略) 実際、左翼というか「反日」な人たちの粘り強さは、まさに驚異的です。そういう意味で、ネットで繰り返し「自民党は増税推進」「自民党はTPP推進」というデマゴーグが語られるのも、当然なのかも知れません。やっているのが「彼ら」ならば。

(出典: 三橋貴明ブログ「正しいことを繰り返し語ろう」2012年10月25日)

2012年11月6日、安倍晋三は構造改革チックなことは一言も語っていない、構造改革をやりたがっているのは、安倍晋三本人ではなく、安倍以外の周りの人々だと断言し、

一応、書いておきますが、安倍総裁は経済政策について、

「消費税増税前のデフレ脱却」
「インフレ目標3%と日銀とのアコード」
「子供たちの安全や生命を守り、地域経済の成長のための公共投資拡大」
「スーパーコンピューター京や資源エネルギーなどへの投資拡大」

と、構造改革チックなことは一言も語っていません。それにも関わらず、いやだからこそ、「安倍総裁は構造改革路線へと舵を切れるのか。いや、切るべき」と、既成事実化を図ろうとする動きが出てきているわけです。すなわち、自民党に再び「構造改革党」になって欲しいわけですね。この動きは、何としても止めなければなりません。

(出典: 三橋貴明ブログ「続 構造改革党」2012年11月6日)

2013年2月26日、民主党のおかげで日本にとって最も理想の政権が生まれたと、小説『顔のない独裁者』で数ヶ月後に示すことになる認識とは真逆の考えを述べ、

とはいえ、よくよく考えてみると、安倍政権の誕生に対する最大の貢献者は、日本国を底なし沼に叩き落とした民主党政権です。民主党政権があれほどまでに無能を示してくれたおかげで、現在の日本にとって最も理想の政権が誕生したわけでございます。自民党政権にはなったかもしれませんが、安倍政権はあり得ませんでした。

(出典: 三橋貴明ブログ「泥の沼をかき分けて進む」2013年2月26日)

2013年3月13日、TPP交渉参加表明の二日前にも、三橋貴明は、TPPに関する報道はマスコミの飛ばしだと言い張り、

散々に「交渉参加表明!」の見出しの記事を書いて、実は「政府関係者」と称する自民党推進派のミスリードだったり、経済産業省の飛ばしだったりを繰り返してきたわけですが、いい加減に日本の新聞やテレビも「学習」した方が良いのでは。

(出典: 三橋貴明ブログ「TPP交渉参加『表明』」問題」2013年3月13日)

2013年3月16日、TPP交渉参加表明の翌日には、安倍政権は民主党と比較にならないほどまともだと、再び、わずか8ヶ月後に上梓することになる小説『顔のない独裁者』と真逆の考えを述べ、

民主党政権の頃は、まともなことを何一つやろうとしませんでしたので、ひたすら批判していればよかったわけです。当時とは比較にならないほどまともな政権が誕生したわけですが、それにしても100%同意する必要はないというか、そんなことはできるはずがないのです。

(出典: 三橋貴明ブログ「長い、厳しい戦いが始まった」2013年3月16日)

2013年6月9日、アベノミクス第三の矢「成長戦略」の内容が発表されて、安倍政権の構造改革路線は誰の目にも明らかになっていたにも関わらず、三橋貴明は、泥の中をかきわけるように安倍政権を支持しつづけよと読者に呼びかけ、

泥の沼をかき分けるのが面倒になった人たちは、例えば安倍政権の経済政策に構造改革的、新自由主義的な政策の匂いを感じた途端に、「安倍は売国奴だ!もう日本はダメだ!」と、全てを投げ出します。あるいは、「安倍ではダメだ! 日本を抜本的に改革するためには独裁者が必要だ!」などと、分けの分からないことを言い出すわけです。

(出典: 三橋貴明ブログ「泥の沼をかき分けて進め(前編)」2013年6月9日)

三橋貴明がようやく安倍政権批判に転じたのは、消費税増税の決定が発表された2013年10月1日以降のことであり、しかも、「安倍政権いきなり変わりましたよね」と事実をねじまげることによってでした。

三橋「いきなり変わりましたよね。9月末ぐらいからちょっとおかしいなあと思ってたんですよ。もともと竹中さんを産業競争力会議に入れた時点であやしかったんだけど、あの頃から加速してきましたね。何考えてるんですかと。」

(出典: 文化放送『おはよう寺ちゃん活動中』2013年10月23日放送)

安倍政権の本質をずっと以前から知っていたにも関わらず、ひたすらとぼけ続け、「超大国日本が復活する」と言いながら、実際には国が壊れる方向へと読者を間違った方向にミスリードし続けていた奇怪な姿が浮き彫りになります。

構造改革は、必ず、巧みな広報戦略による、大衆心理操作と抱き合わせで断行されます。

参考記事: WJFプロジェクト「構造改革と大衆心理操作は表裏一体である」(2014年9月12日)

三橋貴明が、言論人としての務めを正しく果たし、その影響力を正しく行使して、2013年7月の参院選の前に、読者に対して警告を発していれば、日本は、現在のような惨状に見舞われずに済んだかもしれないのですが、三橋貴明は、決して、そのようには行動しませんでした。
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No title

2012年10月25日、三橋貴明は、安倍晋三や自民党は増税やTPP推進であると述べる人々は、反日・左翼だと決めつけていました。」

↑これ許せませんね。

この人のように、安倍を批判する者は左翼、反日だと決めつける言論人がいたことで、
どれだけあのころ安倍政権を批判していた人たちがその決めつけの犠牲になってきたことか。

No title

駒ケ根首相が、高麗金首相だったら大変なことになります。

Well said

下の指摘のとおりです。三橋貴明ほど世の中馬鹿にしきった言論人は他にいません。

"しかしこの上なく人をバカにしていると思うのは、この新たな独裁社会の建設に強力に邁進しているのが新自由主義者の権化、安部晋三であり、そしてその安部氏への支持を全力で煽り、保守派の一群を氏への支持へとかたむけるのに尽力したのが、この本を企画、監修した三橋貴明氏だということだ。

自分が多くの愛国者たちの支持を取りつけ、まさに新たな独裁社会建設へと邁進している安部晋三に協力しながら、何食わぬ顔をしてそれの出現を危惧してみせているのである。まるで<オオカミが来るぞ>と村人の不安を煽っている男が、実はそのオオカミをけしかけているのと同じようのものではないか。

完全な二重基準であり、これほど人をバカにした話はないだろう。

これにより、本来二枚舌の評論家として信用失墜となるべきこの人は、こういった本を出すことにより、愛国者としての信用と影響力を保持しつづけ、そしてその影響力でもってこの新たな独裁社会の建設に協力しつづける、ということになる。"

No title

http://ameblo.jp/gk-chesta/entry-11724476974.html

わかっている人はわかっている。
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