グローバリズムと神道(18)

神道(すなわち日本)が孕むダイナミズム。
「グローバリズムと神道」と題した本シリーズは、以前記した下のような問題意識に基づいています。

戦後の日本に現れ、今も多くの日本人の意識を支配している、「右翼VS左翼」の二項対立は、明治維新から戦前・戦中にかけての、大日本帝国憲法下の旧体制(「明治体制」とここでは呼ばせていただきます)をどう評価するのかという問いにおいて、最も明瞭な形で顕在化します。

言うまでもなく、安倍、田母神、チャンネル桜等の「右翼」は、「明治体制」を賛美し、理想化します。「右翼」は、「明治体制」に日本の本来あるべき理想像を求め、日本国憲法によって日本の姿がゆがめられた「戦後体制」から脱却し、「明治体制」に回帰しようとします。

一方、「左翼」は、「明治体制」を嫌悪し、否定します。「左翼」は、「明治体制」を、国民に十全な基本的人権が認められかった暗黒時代、前近代的なファシズムや軍国主義の時代として唾棄します。

では、「多元的保守」は、「明治体制」をどう評価するか。

(出典: WJFプロジェクト「『多元的保守』とは何か(6)」2014年9月20日 )

「右翼」は、「明治体制」を理想化し、全肯定しようとする。

一方「左翼」は、「明治体制」を過度に批判し、これを全否定しようとする。そして、神道が、国家神道として再編されて「明治体制」を生んだ責任があるがゆえに、神道や天皇制を唾棄しようとする。

このように、「明治体制」を全肯定することの中にも、全否定することの中にも、日本人としての本来のあり方にふさわしい道は存在しないのですが、なぜそのような単純で一面的な姿勢が日本人の間に広がっているかといえば、神道が祀る八百万の神々には、国家に秩序や統一をもたらそうとする「天津神」と、人々の土着の暮らしに根ざす「国津神」という、志向性の異なる神々の集団があり、この両者は、互いを受容しあい、つねに並び立つ関係に立ちながらも、同時に、のっぴきならない相克の関係も内部に孕んでいること。

この二群の神々の(もしくはこれらの神々が象徴する二つの力の)、相克と和合が、日本史をダイナミックに前進させてきた推進力なのであって、そのことを知らずに、例えば、中央集権的な一元的体制を築こうとする指向性をもつ「天津神」のみが、神道の神様であると誤解すれば、神道や天皇制や「明治体制」を唾棄するか、全肯定するか、二つに一つしかなくなってしまいます。

八百万の神々には、ダイナミックな関係性を孕んだ「天津神」と「国津神」の二群の神々がおわしますということは、神道は、神道それ自身を克服していく力を内部に孕んでいるということなのですが、平板な誤解を人々に与えている原因は神道の側にもあり、現在の神社本庁はあまりに無邪気に、明治体制を美化し、一元的な「天神体制」を理想化しているようにも見えます。

アマテラスのご威光が崇められるのと同時に、黄泉に降ったオオクニヌシの封印された思いや、「根」や「底」から湧き上がる国津神たちの躍動的な力も語られなくてはなりません。

「天津神」と「国津神」、両者があってこその「八百万の神々」なのであり、神道なのであり、つまりは日本なのだと思います。

これは、「右翼」と「左翼」が、互いを尊重しあい、認め合ってこその日本なのだ、という主張とパラレルです。

以前、下のように書かせていただいたのも、まさにこれと同じ意味です。

「右翼」による賛美や、「左翼」による嫌悪という、典型的な姿勢とは異なり、「多元的保守」は「明治体制」を肯定も否定もしません。「明治体制」を理想化もせず、同時に、日本の歴史から排除も切断もしません。縄文時代から現代に至る、日本人の歴史的歩みの総体の中に、「明治体制」を相対化すると同時に、包摂しようとします。

(出典: WJFプロジェクト「『多元的保守』とは何か(6)」2014年9月20日 )

「縄文時代から現代に至る、日本人の歴史的歩みの総体」

これを司り、形作ってきたのは、「天津神」、「国津神」、いずれか一方の神々なのではなく、この両者のダイナミックな関係性、つまりは「八百万神等」、つまりは特定のあれやこれではなく、世界に満ち満ちてある全てです。

このダイナミズムを、本シリーズは明らかにしていきたいと願っています。

(つづく)
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