ついに「対話と協議」の俎上に乗せられた尖閣問題

売国せんとや生まれけむ。
1971年に、中華人民共和国、中華民国の両国が尖閣諸島の領有権を主張し始めて以来、尖閣諸島は日本固有の領土であり、尖閣諸島に関して領土問題は存在しないというのが日本政府の一貫した立場でしたが、安倍政権は、今月10-11日にAPECが開催される北京で日中首脳会談を開く条件として中国が提示した要求を呑む形で「日中関係の改善に向けた話し合いについて」という合意文書をまとめ、日中間に尖閣諸島問題に関する「異なる見解」が存在し、「対話と協議を通じて」解決されるべきことを、日本政府が歴史上初めて公式に認めました。

日中両政府:尖閣などで「異なる見解」と認識-徐々に対話再開 (1)

11月7日(ブルームバーグ):政府は7日、尖閣諸島など東シナ海の海域で緊張状態が生じていることについて「異なる見解」を有していると認識した上で、政治・外交・安保対話を徐々に再開することで中国側と一致した、と文書で公表した。焦点の日中首脳会談開催については言及していないが、NHKニュースは日中首脳会談が来週行われる見通しと報じた。

文書は日中関係の改善に向け、中国政府とのこれまでの協議で意見が一致した項目を列挙。戦略的互恵関係の発展や、危機管理メカニズムの構築による東シナ海での不測の事態の発生回避などで一致したという。歴史認識に関しては、「歴史を直視し、未来に向かうという精神」に従って、「政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた」としている。

2012年9月に民主党の野田佳彦政権が尖閣諸島の魚釣島などを国有化したことをきっかけに日中関係は悪化。同年12月に第2次安倍晋三政権が発足して以降も正式な首脳会談は実現していない。日本政府は中国がホスト国となり、来週に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた習近平国家主席との首脳会談実現を働き掛けてきた。

安倍首相は7日夜、BSフジの番組に出演し、APECでの日中首脳会談開催に向けた「最終的な調整」を進めていることを明らかにした。文書で共通認識を確認したことで「扉が開くための環境整備」ができた、とも語った。政府は6日から7日にかけ、谷内正太郎国家安全保障局長を中国に派遣。谷内氏は滞在中、中国政府要人と会談していた。

外務省によると、12年の統計で、日本にとって中国は最大の貿易相手国で、中国にとって日本は最大の投資国。

(出典: ブルームバーグ 2014年11月7日)

「日中関係の改善に向けた話し合い」と題された合意文書の文面は次のとおりです。

日中関係の改善に向けた話合い

日中関係の改善に向け,これまで両国政府間で静かな話し合いを続けてきたが,今般,以下の諸点につき意見の一致をみた。

1 双方は,日中間の四つの基本文書の諸原則と精神を遵守し,日中の戦略的互恵関係を引き続き発展させていくことを確認した。

2 双方は,歴史を直視し,未来に向かうという精神に従い,両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた。

3 双方は,尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し,対話と協議を通じて,情勢の悪化を防ぐとともに,危機管理メカニズムを構築し,不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた。

4 双方は,様々な多国間・二国間のチャンネルを活用して,政治・外交・安保対話を徐々に再開し,政治的相互信頼関係の構築に努めることにつき意見の一致をみた。

Regarding Discussions toward Improving Japan-China Relations

Toward the improvement of the Japan-China relations, quiet discussions have been held between the Governments of Japan and China. Both sides have come to share views on the following points:

1. Both sides confirmed that they would observe the principles and spirit of the four basic documents between Japan and China and that they would continue to develop a mutually beneficial relationship based on common strategic interests.

2. Both sides shared some recognition that, following the spirit of squarely facing history and advancing toward the future, they would overcome political difficulties that affect their bilateral relations.

3. Both sides recognized that they had different views as to the emergence of tense situations in recent years in the waters of the East China Sea, including those around the Senkaku Islands, and shared the view that, through dialogue and consultation, they would prevent the deterioration of the situation, establish a crisis management mechanism and avert the rise of unforeseen circumstances.

4. Both sides shared the view that, by utilizing various multilateral and bilateral channels, they would gradually resume dialogue in political, diplomatic and security fields and make an effort to build a political relationship of mutual trust.

(出典: 外務省 日中関係の改善に向けた話合い 2014年11月7日)

安倍信者は、相変わらず、安倍さんは「異なる見解」があることを認めただけで、領土問題があることを認めたわけではないと主張していますが、本当でしょうか。

たとえば、隣人がある日突然、「おたくの駐車場に止まっている車は私のものだ」と主張し始めたとします。

最初は相手にしなかったものの、隣人があまりにしつこいので、

「わかりました。この車の所有権に関して異なる見解が存在するため、対話と協議を通して解決すべきであることを認めます」と言ってしまえば、その車の所有権は「対話と協議を通じて」解決されるまでは保留されてしまい、その日から車が運転できなくなってしまいます。

そうしている間に、隣人が「この車は俺のだから」と言い張って、我が物顔で運転しはじめれば、その車は相手に奪われてしまいます。その時、どんなに騒いでも、相手は「異なる見解」が存在することを親切に認めてくれたりはしないでしょう。

領土問題に関しても同じであり、必要なのは、1971年に突然尖閣諸島の領有権を主張しはじめた中国の言い分など意に介することなく、粛々と実効支配を強化することであったはずであり、安倍政権の当初の公約も、尖閣諸島に公務員を常駐させることだったはずですが、公約と真逆に、尖閣諸島問題を「対話と協議」の俎上に乗せるというのは一体全体どういうことなのでしょうか。

隣国が「対馬は韓国のものだ」とか「沖縄は中国のものだ」とかと言い出すたびに、日本政府が「異なる見解」が存在することを認めて「対話と協議を通して」情勢の悪化を防ごうとしていては、日本の領土はどんどん削り取られていってしまいます。

「尖閣諸島の危機が高まっている→尖閣諸島を守るためには日米関係を強化しなければならない→そのためにはTPPなどのアメリカの構造改革の要求も飲まなければならない」

というのが、チャンネル桜などのインチキ「保守」論客たちの主張だったはずですが、安倍政権は、TPPはおろか、TPPを我慢して受け入れなければならない前提であったはずの尖閣諸島すらも売り飛ばしてしまいました。

米中のはざま、安倍売国政権の下にあって、結局、日本人には何も残らずスッテンテンということです。



参考記事: WJFプロジェクト「「愛国者」の二つの意味」(2013年1月31日)

増えていくのは国民の負担。失っていくのは、領土であり、外国人の増加に伴う伝統や文化であり、日本の農業であり、安定した賃金や雇用や生活の安全。

安倍晋三は何も守らない。

ひたすら壊すだけ。

ひたすら手放すだけ。

ひたすら売り渡すだけ。
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No title

http://www.jisedai.jp/news/20141122.html

次世代の党が政策集を発表しました。
できれば、これについて管理人様の厳しい批判をお願いしたいのですが。

まず真っ先に気がついたのは「TPP」や「移民問題」について触れていない点ですね。
外国人参政権には反対してますが。
そして「アベノミクス」を全体的に評価しており、「軌道修正」という形を取っている事ですね。
つまり、このブログで散々管理人様が指摘されてきました通り、『保守を騙すための、ダブルバインド』政党なのでしょう。

私がさらに問題だと思ったのは、「首相公選制」の明記と「地方分権」です。
さすがに地方分権政党の「維新」から分かれただけの事はあります。
この期に及んで「地方分権」を主張するとは。

そう言えば、管理人様の話では、安倍晋三もまた地方分権(道州制)を主張していたのでしたっけ?
その意味でも、この次世代の党は『保守騙し』のニセ保守政党である可能性が高いですね。

あと、個人的にですが、首相公選制を主張している人間は、信用できないならず者と見ています。
小沢一郎もそうでしたし、大川隆法もそうでした。
首相公選制を唱える連中は、議会制民主主義を破壊したくてしたくてたまらない、独裁者願望のある者と思っております。

どうか管理人様に、次世代の政策を批判してくださると幸いです。

匿名さんへ

日米安保の保証対象から、竹島が外されていることはご存知ですか?

でも尖閣にはやたらとこだわる姿勢を見せる安倍自民と米。

おかしいですね、日本の領土を守るなら竹島も守らないといけないのですが。

つまり尖閣問題は、対中問題として、日米の関係を強化して、
TPPという、日本始まって以来の日本破壊政策に
つなげるための「道具」にされてるんだと私は捉えています。

そうなりますと、「日本が壊されるか」、「尖閣を諦めてでも日本を守るか」、
どちらかを選ばないといけません。

もちろん尖閣も日本の領土ですから大事ですが、それより大事なのはこの日本という国です。

No title

記事と関係ないので申し訳ないのですが、佳子さまがICUへ行くことについてどう思いますか?
私自身ICUの学生ですが、ICUはものすごく左寄りな大学と周りに言われます。 個人的な感覚からすると、平和のために建学されたという趣旨を貫くために中立性を保とうとする結果、日本国憲法の授業を外人さんにやらせたりということになっているだけで、別に歪んだことを教えようとしているようには思えませんが。

安倍・三橋信者

尖閣に役人を駐在させることもせず公約破りばかりの反日エセ右翼安倍壺三。愛国で釣って売国、日本解体まっしぐら❗️安倍の変わりに誰が居ると抜かすゴキブリ安倍信者には呆れるわwww その安倍を表面だけ軽く批判して、原発再稼動すればアベノミクスで日本は復活するなどとネトウヨ騙しの三橋貴明。
在日特権をネタにした聞いた事もない市議会議員のブログがランキング1位になったりして、胡散臭いことこのうえない。こんな状態で解散総選挙があったとしても、前回同様に安倍が大株主のムサシを悪用した不正選挙が行なわれる可能性が大や!
ド厚かましい三橋大先生の次作は「道州制亡国論」か❓wwwwwww

匿名さん

国全体を失うことと、一つの島を失うことと、どっちが甚大な問題がお分かりになりませんか?

TPPによって国家主権そのものを放棄することと、尖閣を比べたら、TPPのほうがはるかに大きな問題であるから、尖閣を守るためには日米関係を強化しなくてはならない。そのためにはTPPに参加しなくてはならないという論法はおかしいと言ったのです。

実際には安倍は、TPPもやった、尖閣も放り捨てた。
アベノミクスと消費税増税で日本経済を壊した。

結局、何にも守らなかった。

No title

くれてやれというのなら、TPPをくれてやるよりは、尖閣諸島という東シナ海の無用の無人島をくれてやった方がはるかにましです。

尖閣諸島を失っても、私たちが受け継いできた、この「場所」はただちには損なわれないからです。


以前こんなこと言っていましたが・・。

No title

消費税増税に関して続報です。
http://military38.com/archives/41249959.html

「GDPの変動を見て」ウンヌンなどというのは、
『先に増税すると言ってしまうと選挙で勝てないから』
言い逃れしているに過ぎないことは8%の時点で分かり切った話です。
散々三橋貴明とかを使って騙されてきたというのに、信者はこの期に及んで一体どうして政府の説明を信用できるのでしょうかね?

No title

http://military38.com/archives/41234477.html
政府は今更こんな言い訳をしていますね。
「日本政府は嘘つき」としか世界では受け取られないと思いますが。
こんな安倍政権を狂ったように賛美できる信者の群れの書き込みが酷すぎますね。


ついでに、消費税増税の問題で早期解散の流れも出てきたらしいです。
http://military38.com/archives/41236636.html
にしても、この期に及んでも『自民党に入れとけば増税されない』と信じ込んでいる人が居るのですから驚きというかあきれますね。

安倍暴投、特大ブーメラン炸裂
 「革マル」JR総連は自民党・中曽根内閣が設立に関与
 機関紙自由新報で活躍する故・松崎明氏(笑)
http://danshi.gundari.info/abechon-bumeran-clean-hit.html

その関係上JR総連は実質自民党の支持組織の一つで、公明党候補に支援表明したりしてるわけで。

革マル派とズブズブというのは自民党自身のことで、中曽根内閣の目玉だった国鉄民営化は革マル派の協力がなかったら実現し得なかったことなんですが、安倍チョン的にはそのへんどうなのですかというね。

JR総連が公明党を推薦
 国会でのヨイショ発言の見返り 小泉内閣の先兵化を許すな

なるほどなるほど
どうりで国内で反日活動家を製造してる訳か。

着々と沈んでいる日本

2005年、小泉首相時代には中国の呉儀副首相が経団連と会食だけして、小泉首相との会談をドタキャン帰国なんて事がありました。
当時の職場が経団連のすぐ側でした。
機動隊の車が何台も来て、大手町一帯が騒然としていたのを覚えています。
会談すれば靖国に触れない訳にはいかないので、関係悪化を避ける為の政治的判断でしょうが、ドタキャンとは荒っぽくて失礼な国だ!と当時は腹が立ったものです。
もう9年も経つのですね。
現在は、尖閣をまな板の上に差し出して、日本から出向いて行かないと会って頂けなくなりました。
事実から目を逸らしてはいけませんが、更に10年後は考えたくないです。

No title

流石にまだ安倍首相と麻生氏を愛国者と考えている人は
従来の保守派市民の中にさえいないと考えます。
自民党のネット担当とサポーター組が必死に喧伝してるだけでしょうね。
唐突に首位が入れ替わるようなブログランキングもそうですし
昨今の保守界隈の言論は何もかもが作為的でありあからさまであり
もうバレるのを承知で開き直ってやってるようにしか見えません。

それだけに不気味です。

各所で上がっている選挙システムに対する疑義の指摘は御存知の事だと思いますが、
もしそれが真実だとするともはや国民の投票結果などは
実は何の影響もなくなっているという事になります。
そうなるととにかくメディア主導による見せ掛けの世論と社会的雰囲気を
作ってしまえばいい事になる。
国民それぞれに対して「安倍政権に反対してるのは実はお前だけ」と言えてしまう訳です。
日本社会がそこまで病膏肓に入っていない事を祈るばかりです。
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