ついに「対話と協議」の俎上に乗せられた尖閣問題
売国せんとや生まれけむ。
1971年に、中華人民共和国、中華民国の両国が尖閣諸島の領有権を主張し始めて以来、尖閣諸島は日本固有の領土であり、尖閣諸島に関して領土問題は存在しないというのが日本政府の一貫した立場でしたが、安倍政権は、今月10-11日にAPECが開催される北京で日中首脳会談を開く条件として中国が提示した要求を呑む形で「日中関係の改善に向けた話し合いについて」という合意文書をまとめ、日中間に尖閣諸島問題に関する「異なる見解」が存在し、「対話と協議を通じて」解決されるべきことを、日本政府が歴史上初めて公式に認めました。
「日中関係の改善に向けた話し合い」と題された合意文書の文面は次のとおりです。
安倍信者は、相変わらず、安倍さんは「異なる見解」があることを認めただけで、領土問題があることを認めたわけではないと主張していますが、本当でしょうか。
たとえば、隣人がある日突然、「おたくの駐車場に止まっている車は私のものだ」と主張し始めたとします。
最初は相手にしなかったものの、隣人があまりにしつこいので、
「わかりました。この車の所有権に関して異なる見解が存在するため、対話と協議を通して解決すべきであることを認めます」と言ってしまえば、その車の所有権は「対話と協議を通じて」解決されるまでは保留されてしまい、その日から車が運転できなくなってしまいます。
そうしている間に、隣人が「この車は俺のだから」と言い張って、我が物顔で運転しはじめれば、その車は相手に奪われてしまいます。その時、どんなに騒いでも、相手は「異なる見解」が存在することを親切に認めてくれたりはしないでしょう。
領土問題に関しても同じであり、必要なのは、1971年に突然尖閣諸島の領有権を主張しはじめた中国の言い分など意に介することなく、粛々と実効支配を強化することであったはずであり、安倍政権の当初の公約も、尖閣諸島に公務員を常駐させることだったはずですが、公約と真逆に、尖閣諸島問題を「対話と協議」の俎上に乗せるというのは一体全体どういうことなのでしょうか。
隣国が「対馬は韓国のものだ」とか「沖縄は中国のものだ」とかと言い出すたびに、日本政府が「異なる見解」が存在することを認めて「対話と協議を通して」情勢の悪化を防ごうとしていては、日本の領土はどんどん削り取られていってしまいます。
「尖閣諸島の危機が高まっている→尖閣諸島を守るためには日米関係を強化しなければならない→そのためにはTPPなどのアメリカの構造改革の要求も飲まなければならない」
というのが、チャンネル桜などのインチキ「保守」論客たちの主張だったはずですが、安倍政権は、TPPはおろか、TPPを我慢して受け入れなければならない前提であったはずの尖閣諸島すらも売り飛ばしてしまいました。
米中のはざま、安倍売国政権の下にあって、結局、日本人には何も残らずスッテンテンということです。

参考記事: WJFプロジェクト「「愛国者」の二つの意味」(2013年1月31日)
増えていくのは国民の負担。失っていくのは、領土であり、外国人の増加に伴う伝統や文化であり、日本の農業であり、安定した賃金や雇用や生活の安全。
安倍晋三は何も守らない。
ひたすら壊すだけ。
ひたすら手放すだけ。
ひたすら売り渡すだけ。
日中両政府:尖閣などで「異なる見解」と認識-徐々に対話再開 (1)
11月7日(ブルームバーグ):政府は7日、尖閣諸島など東シナ海の海域で緊張状態が生じていることについて「異なる見解」を有していると認識した上で、政治・外交・安保対話を徐々に再開することで中国側と一致した、と文書で公表した。焦点の日中首脳会談開催については言及していないが、NHKニュースは日中首脳会談が来週行われる見通しと報じた。
文書は日中関係の改善に向け、中国政府とのこれまでの協議で意見が一致した項目を列挙。戦略的互恵関係の発展や、危機管理メカニズムの構築による東シナ海での不測の事態の発生回避などで一致したという。歴史認識に関しては、「歴史を直視し、未来に向かうという精神」に従って、「政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた」としている。
2012年9月に民主党の野田佳彦政権が尖閣諸島の魚釣島などを国有化したことをきっかけに日中関係は悪化。同年12月に第2次安倍晋三政権が発足して以降も正式な首脳会談は実現していない。日本政府は中国がホスト国となり、来週に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた習近平国家主席との首脳会談実現を働き掛けてきた。
安倍首相は7日夜、BSフジの番組に出演し、APECでの日中首脳会談開催に向けた「最終的な調整」を進めていることを明らかにした。文書で共通認識を確認したことで「扉が開くための環境整備」ができた、とも語った。政府は6日から7日にかけ、谷内正太郎国家安全保障局長を中国に派遣。谷内氏は滞在中、中国政府要人と会談していた。
外務省によると、12年の統計で、日本にとって中国は最大の貿易相手国で、中国にとって日本は最大の投資国。
(出典: ブルームバーグ 2014年11月7日)
「日中関係の改善に向けた話し合い」と題された合意文書の文面は次のとおりです。
日中関係の改善に向けた話合い
日中関係の改善に向け,これまで両国政府間で静かな話し合いを続けてきたが,今般,以下の諸点につき意見の一致をみた。
1 双方は,日中間の四つの基本文書の諸原則と精神を遵守し,日中の戦略的互恵関係を引き続き発展させていくことを確認した。
2 双方は,歴史を直視し,未来に向かうという精神に従い,両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた。
3 双方は,尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し,対話と協議を通じて,情勢の悪化を防ぐとともに,危機管理メカニズムを構築し,不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた。
4 双方は,様々な多国間・二国間のチャンネルを活用して,政治・外交・安保対話を徐々に再開し,政治的相互信頼関係の構築に努めることにつき意見の一致をみた。
Regarding Discussions toward Improving Japan-China Relations
Toward the improvement of the Japan-China relations, quiet discussions have been held between the Governments of Japan and China. Both sides have come to share views on the following points:
1. Both sides confirmed that they would observe the principles and spirit of the four basic documents between Japan and China and that they would continue to develop a mutually beneficial relationship based on common strategic interests.
2. Both sides shared some recognition that, following the spirit of squarely facing history and advancing toward the future, they would overcome political difficulties that affect their bilateral relations.
3. Both sides recognized that they had different views as to the emergence of tense situations in recent years in the waters of the East China Sea, including those around the Senkaku Islands, and shared the view that, through dialogue and consultation, they would prevent the deterioration of the situation, establish a crisis management mechanism and avert the rise of unforeseen circumstances.
4. Both sides shared the view that, by utilizing various multilateral and bilateral channels, they would gradually resume dialogue in political, diplomatic and security fields and make an effort to build a political relationship of mutual trust.
(出典: 外務省 日中関係の改善に向けた話合い 2014年11月7日)
安倍信者は、相変わらず、安倍さんは「異なる見解」があることを認めただけで、領土問題があることを認めたわけではないと主張していますが、本当でしょうか。
たとえば、隣人がある日突然、「おたくの駐車場に止まっている車は私のものだ」と主張し始めたとします。
最初は相手にしなかったものの、隣人があまりにしつこいので、
「わかりました。この車の所有権に関して異なる見解が存在するため、対話と協議を通して解決すべきであることを認めます」と言ってしまえば、その車の所有権は「対話と協議を通じて」解決されるまでは保留されてしまい、その日から車が運転できなくなってしまいます。
そうしている間に、隣人が「この車は俺のだから」と言い張って、我が物顔で運転しはじめれば、その車は相手に奪われてしまいます。その時、どんなに騒いでも、相手は「異なる見解」が存在することを親切に認めてくれたりはしないでしょう。
領土問題に関しても同じであり、必要なのは、1971年に突然尖閣諸島の領有権を主張しはじめた中国の言い分など意に介することなく、粛々と実効支配を強化することであったはずであり、安倍政権の当初の公約も、尖閣諸島に公務員を常駐させることだったはずですが、公約と真逆に、尖閣諸島問題を「対話と協議」の俎上に乗せるというのは一体全体どういうことなのでしょうか。
隣国が「対馬は韓国のものだ」とか「沖縄は中国のものだ」とかと言い出すたびに、日本政府が「異なる見解」が存在することを認めて「対話と協議を通して」情勢の悪化を防ごうとしていては、日本の領土はどんどん削り取られていってしまいます。
「尖閣諸島の危機が高まっている→尖閣諸島を守るためには日米関係を強化しなければならない→そのためにはTPPなどのアメリカの構造改革の要求も飲まなければならない」
というのが、チャンネル桜などのインチキ「保守」論客たちの主張だったはずですが、安倍政権は、TPPはおろか、TPPを我慢して受け入れなければならない前提であったはずの尖閣諸島すらも売り飛ばしてしまいました。
米中のはざま、安倍売国政権の下にあって、結局、日本人には何も残らずスッテンテンということです。

参考記事: WJFプロジェクト「「愛国者」の二つの意味」(2013年1月31日)
増えていくのは国民の負担。失っていくのは、領土であり、外国人の増加に伴う伝統や文化であり、日本の農業であり、安定した賃金や雇用や生活の安全。
安倍晋三は何も守らない。
ひたすら壊すだけ。
ひたすら手放すだけ。
ひたすら売り渡すだけ。
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