「安倍さん」は我々を騙したか

騙したのは「保守」言論人である。
よく、「安倍さんには、すっかり騙されていたよ」とか、「三橋さんも、安倍さんに騙されていただけなんだよ」とか、「チャンネル桜の水島社長は、安倍さんに純情な乙女のように恋をしているだけだよ」と語る人たちがいます。

しかし、果たして本当に「安倍さん」は私たちを騙したでしょうか。

そんなことありません。

安倍晋三は、最初から包み隠さず、自分が新自由主義者であること、グローバリストであることを、私たちに正直に語っていました。

第一次安倍政権の総理就任時の記者会見では、小泉構造改革の継続を訴えていました。

まず初めに、はっきりと申し上げておきたいことは、5年間小泉総理が進めてまいりました構造改革を私もしっかりと引き継ぎ、この構造改革を行ってまいります。構造改革はしばらく休んだ方がいい、あるいは大きく修正をした方がいいという声もあります。私は、この構造改革をむしろ加速させ、そして補強していきたいと考えております。

(出典: 平成18年9月26日 安倍内閣総理大臣記者会見)

よく「安倍さん」が私たちを欺いた証拠として引用される「瑞穂の国の資本主義」という言葉ですが、2013年1月に出版された安倍の著作『新しい国へ 美しい国へ 完全版』の中で、「瑞穂の国の資本主義」という言葉が使われた章には、はっきりと、グローバリズムの目玉政策の一つである「道州制の推進」がうたわれていました。

「瑞穂の国の資本主義」

(前略)

私は長期的には、東京一極集中を解消して道州制を導入すべきだろうと考えています。日本を十ぐらいのブロックに分けて、そこに中央政府から人を移して、州政府のようなものをつくり、その下に基礎自治体が有るイメージです。そうすることで、いちいち中央を通さなくても、各州が独自の判断でスピーディに動くことができる。東京だけでなく、日本全体が活力を取り戻さない限り、日本の再生はありえないと私は考えています。

日本という国は古来、朝早く起きて、汗を流して田畑を耕し、水を分かち合いながら、秋になれば天皇家を中心に五穀豊穣を祈ってきた、「瑞穂の国」であります。

自立自助を基本とし、不幸にして誰かが病に倒れれば、村の人たちみんなでこれを助ける。これが日本古来の社会保障であり、日本人のDNAに組み込まれているものです。

私は瑞穂の国には、瑞穂の国にふさわしい資本主義があるのだろうと思っています。自由な競争と開かれた経済を重視しつつ、しかし、ウォール街から世間を席巻した、強欲を原動力とするような資本主義ではなく、道義を重んじ、真の豊かさを知る、瑞穂の国には、瑞穂の国にふさわしい市場主義の形があります。

安倍家のルーツは長門市、かつての油谷町です。そこには棚田があります。日本海に面していて、水を張っているときは、ひとつひとつの棚田に月が映り、遠くの漁火が映り、それは息をのむほど美しい。

棚田は労働生産性も低く、経済合理性からすればナンセンスかもしれません。しかしこの美しい棚田があってこそ、私の故郷なのです。そして、その田園風景があってこそ、麗しい日本ではないかと思います。

市場主義の中で、伝統、文化、地域が重んじられる、瑞穂の国にふさわしい経済の有り方を考えていきたいと思います。

(出典: 安倍晋三『新しい国へ 美しい国へ 完全版』)

「道州制の推進」は、上の本に書かれていただけでなく、安倍政権の公約に当初から掲げられていましたし、安倍晋三は、2013年3月には、TPP交渉参加を表明して「TPP交渉参加は国家百年の計である」と語りました。

今がラストチャンスです。この機会を逃すということは、すなわち、日本が世界のルールづくりから取り残されることにほかなりません。「TPPがアジア・太平洋の世紀の幕開けとなった」。後世の歴史家はそう評価するに違いありません。アジア太平洋の世紀。その中心に日本は存在しなければなりません。TPPへの交渉参加はまさに国家百年の計であると私は信じます。

(出典: 平成25年3月15日: 安倍内閣総理大臣記者会見)

安倍晋三は、2013年6月には、「国を開くこと」が、政治家になって以来一貫して持ち続けてきた哲学であり、参院選後には「ドリルの刃」となって、構造改革を断行することを宣言していました。

「ではいかにして、成長を図るのか。国を開くこと、日本の市場を、オープンにすることです。これは、政治家となって以来、私の中に流れる一貫した哲学でした。」

「そして選挙が終わったらどうするか。私はこれからの3年を、集中的な改革の期間と位置付け、持てる政治力を、投入します。固い、岩盤のような日本の規制を、私自身をドリルの刃(やいば)として、突き破ろうと思っています。」

(出典: 平成25年6月19日: 安倍晋三によるロンドンでの講演)

安倍晋三本人が、自分が新自由主義者であり、グローバリストであることを包み隠さず明らかにしていたにも関わらず、「安倍さんは構造改革チックなことは語っていない」とか「安倍さんに新自由主義者のレッテルをはるのは反日左翼だ」とまで断言をして、安倍が新自由主義者である事実をごまかしたり隠蔽したりしながら、「泥の中をかき分けるように安倍さんや自民党を支持し続けよ」と呼びかけていたのは、安倍晋三本人ではなく、三橋貴明や、チャンネル桜の水島総など、安倍晋三周辺の「インチキな仕立て屋」たちでした。

安倍晋三は、あくまでも「新自由主義政策を実行する役割」を担っていたにすぎず、「安倍さんは新自由主義者ではない、純粋な愛国者である」という嘘偽りを喧伝して、安倍への支持を煽る役割は、安倍周辺の「保守」言論人たちにゆだねられていたということになります。

安倍本人が包み隠さず真実を語っていたのに、「三橋さんは騙されていたのだ」「水島さんは恋に落ちていたのだ」などという理屈はまったく成り立たないのです。

彼らは騙されていたのではなく、「安倍さんはネオリベではない」と言って、人々を騙したのです。

「インチキな仕立て屋」たちの「大活躍」の結果、日本は大きな経済破綻に向けて転落しようとしています。

これら「インチキな仕立て屋」たちの責任を問うどころか、あべこべに、これらの言論人を「反安倍」「反消費税増税」「反グローバリズム」「反TPP」「反構造改革」の旗手であるかのように持ち上げて、すがることぐらい転倒したバカバカしい話はありません。
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No title

安倍が書いた文章を読むと、実に言葉選びが上手いという印象を受けます。
この能力も、この男を詐欺師たらしめる要素なのでしょう。
読めば読むほど、安倍の下劣さと卑劣さが目について、腹が立つことこの上ない。
天網恢恢疎にして漏らさず。
この言葉を信じて、活動するのみ。

No title

「企業の金儲けのためならば国民国家を解体せよ」ってのが道州制と移民導入の発想ですからね
これが文字通りの「売国政策」なのは疑いようがありません
「国民国家解体」を目指すものがどうして「売国」にならないのか
私には不思議です

ますたにさん

中央政府の権限(のある部分)を州政府に移譲し、各州が中央政府を媒介せずにダイレクトに世界に結ばれていく道州制は、新自由主義の目玉政策です。多国籍企業側からすれば、日本が47都道府県に細かく区分けされ、中央政府の設ける規制に従わなければならない日本の行政制度そのものが「非関税障壁」に見えるはずです。この「非関税障壁」が道州制によって取り除かれ、ダイレクトに日本の地方にアクセスできるのですから、これが供給側(サプライサイド)の利益に適った、グローバリストたちが望む政策でないはずがありません。日本人側からすれば、各地方が資本の論理によって合理化されていきます。無駄なものは廃止され取り除かれていきます。しかしムダや余剰こそが経済的、文化的な豊かさをもたらしていることを考えれば、道州制は、地方に豊かさや活性化や多様性をもたらすよりは、経済的、文化的な疲弊や画一化もたらすことになるでしょう。おそろしいのは今のペースで移民が増えていった場合です。独立性をもつようになった州政府に、将来外国人が関与するようになれば、その影響はこれまでの都道府県制における外国人参政権の比ではありません。

道州制に関しては下の記事も参照なさってください。
http://wondrousjapanforever.blog.fc2.com/blog-entry-320.html
http://wondrousjapanforever.blog.fc2.com/blog-entry-322.html

汚職と暴行、安倍内閣

防衛相の関連政治団体 江渡氏個人に3年で1,850万円
http://hunter-investigate.jp/news/2014/10/-50150222324.html

更なる不正も発覚
江渡防衛相の自民支部 献金実態を偽装
http://hunter-investigate.jp/news/2014/10/post-575.html

女性に暴行「深く反省」=衆院委で陳謝―大塚国交政務官
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141015-00000074-jij-soci

No title

水島総と三橋貴明
この両名の罪を問う声は未だない
だが、少しづつだが、疑問を抱く者が増えている
これこそが希望である

いつか、この両名の罪が白昼の下にさらされる時は必ず来る
その時をずっと待ち続けるのみ

No title

道州制=グローバリズムという直結にはもう少し説明を要すると思います。
道州制=グローバリストに利用されやすい脆弱性があり
程度かと思います。

現在の東京一極集中も、地方から見れば東京グローバリズムと近似です。
地方の特色を活かすローカリズムは道州制か、何らかのものが必要です。


私はアンチグローバリズムですが、道州制に対しては賛成です。
もちろん、道州制がもつ脆弱性に修正パッチをあてないで
導入しようとする輩には反対ですが。
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