「多元的保守」とは何か(4)

冬が来ても、夏の服を着続ける人のように。
冷戦とは、とりもなおさず、第二次世界大戦の戦勝国同士が、二手に分かれて争ったことを意味します。

その結果、逆コースと呼ばれた、1947年のアメリカの対日戦略の変更以降、戦勝国同士の争いの影に隠れた日本は、敗戦国としてではなく、あたかもアメリカの同盟国であるかのような厚遇に浴することができました。

中国共産党の台頭と、中国国民党の敗走により、中国を北東アジアの同盟国とすることができなくなったアメリカは、日本を、共産主義の防波堤となる、資本主義の豊かな盟友とする必要が生じたからです。

そのため、日本に対する、戦争責任や戦争犯罪の糾弾と、厳しい「改革」の要求は、それ以降、一旦は、鳴りをひそめるようになりました。

このアメリカによる厚遇と庇護の下で培われたのが、自民党を中心とする、日本の戦後の「保守」の立場であり、世界における、東西冷戦構造下の二項対立を反映するように、国内では、55年体制と呼ばれる、自民党と社会党の間の、二元的な対立構図が定着しました。

しかし、冷戦の終結により、1990年代以降、世界と日本を取り巻く状況は、一変しました。

冷戦が、戦勝国同士の争いであったならば、冷戦の終結とは、当然のことながら、戦勝国同士が争うことをやめたことを意味します。

戦勝国同士が争いをやめて和解したとき、日本に待ち受けていたのは、同盟国としての立場から、再び、敗戦国としての元々の立場に押し戻される運命でした。

90年代以降、あたかも、GHQによる占領統治の前半に行われていた強圧的な「改革」を再開するかのように、アメリカは、日本に対して、同盟国としてよりも、戦勝国としての強い姿勢で、再び「改革」の厳しい要求を突きつけるようになりました。

また、1978年8月の日中平和友好条約締結と、同年12月の中国の「改革開放」(市場経済への移行)以後、日本と、日本の経済支援・技術支援を必要とした中国は、友好的な蜜月の関係にありましたが、1989年の天安門事件と、冷戦の終結を経て、戦勝国としての立場を継承する中華人民共和国と、戦勝国のごとく振る舞う韓国のような国々を中心として、日本に対する歴史問題に関する執拗な糾弾も、再び、展開されるようになりました。

「歴史問題」と「構造改革」。

現在、私たちを苦しめている、この二つの問題は、冷戦終結に伴う、戦勝国によって再開された、敗戦国日本叩きの二側面として理解されるべきものです。

しかし、この世界史と日本史の大きな時代の区切りと変化を、全く自覚できない人々がいました。

日本人です。

冷戦時代、アメリカに同盟国として遇され、「高度経済成長」を遂げた「成功体験」の記憶が、彼らの心の中に深く焼き付けられていたからです。

続きます。
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No title

今回の更新は、今まで思ってた事を改めて問われたものでしたが、目からウロコでした。
確かに、日本は元々敗戦国扱いだったわけで、単に戦勝国の都合で冷戦時代、良い目を見させてもらっただけです。
冷戦が終わったのだから、日本人の側も当然覚醒しても良いのに、冷戦時代の成功体験を未だに忘れられないので二番煎じを狙っているのですね。

ところで【第二次安倍内閣】についてはどうお考えになりますか?
私が、特に注意を喚起しておきたいのは、厚生労働大臣に任命された塩崎恭久です。
塩崎と言えば「安倍晋三のお友達」ですが、
『ドンピシャの全共闘世代で、ゲバ棒振り回してた暴力学生上がり』
とも噂されます。

それを脇に置くとしても、塩崎はかつて『年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)』を 「改革せよ」と強く主張してきた人物です。
要するに、国民の老後を支えるべき年金資金を、リスクも顧みず、国内株式の買い入れに湯水のように浪費して目先の株価を吊り上げる……
そしてそれが安倍政権の経済政策が上手くいっている証拠の如く見せかける……
(それによって政権の支持率も吊り上げる)

サイテ~の政策です。
どうせ失敗して何兆円規模の損失が発生したとしても塩崎も安倍も自民党も、一切の責任を取らないでしょう。

こんなサイテーな政策をやりたくてやりたくて仕方がなかったような人物を、そのままズバリその担当大臣に据えたのが安倍晋三です。
つまり「塩崎一個人が勝手にほざいてること」ではなく、安倍晋三本人も塩崎の考えに同意しているのでしょう。

つまり、【年金資金による株価吊り上げ】という邪道の“禁じ手”を、安倍は本気でやろうとしているということが、この塩崎厚生労働大臣の人事で明らかなのですが。
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