「多元的保守」とは何か(1)

ポスト冷戦時代に要請される、新しい「保守」の理念。
冷戦という、世界が二つの陣営に分かれて争った二極的な対立構造の中で、アメリカの支援の下、日本を資本主義・自由主義陣営につなぎ止め、かつ組み込むという使命を担わされて結党されたのが自民党という政党でした。

そして、自民党を中心とする立場が、日本では従来「保守」という名で呼ばれ、共産主義や社会主義や左翼を敵と見なし、アメリカや資本主義や自由主義に傾斜する姿勢こそが、「保守」らしい所作であると見なされてきました。

つまり、日本のこれまでの「保守」とは、

「資本主義・自由主義・右翼」 VS 「共産主義・社会主義・左翼」

という戦後の冷戦構造を前提とした「保守」であり、この冷戦構造なしには意味をなさない「保守」でもありました。

しかし、1989年のソ連崩壊によって冷戦が終結した時、世界が直面したのは、各国の主権や、社会や文化の固有性すらも蝕むような横暴なやり方で世界の一元化を目論む、グローバリズムと呼ばれる、暴君と化した資本主義・自由主義の問題でした。

1990年代以降の日本では、「日米構造協議」「年次改革要望書」等によるアメリカの圧力の下、構造改革が重ねられ、私たち日本人は「グローバル・スタンダード」に対して「国を開く」ことを強要されてきました。

「資本主義・自由主義・右翼」 VS 「共産主義・社会主義・左翼」

という冷戦時代の対立構造に代わって、ポスト冷戦時代に新しく浮上したのは、

「グローバリズム(資本主義・自由主義原理による世界の一元化) VS 多極的な世界」

という、世界の新しい対立構造でした。

この、新しい対立構造の中で、自民党を中心とする日本の従来の「保守」は、資本主義や自由主義にひたすら傾斜するという、冷戦時代に条件反射的に刷り込まれたその習性のゆえに、グローバリズムに対峙するどころか、その進展に積極的に加担し、「保守」を名乗りながら、己の国を破壊してしまうという皮肉な現象を現前させるようになりました。

冷戦時代には、共産主義の脅威から日本を守ったかもしれないかつての「保守」は、ポスト冷戦時代という世界史の新しいステージにおいては、すっかり有害無益な存在に成り果てていた。

その事が、現在の安倍政権下で、ますます明らかになりつつあります。

「一極 VS 多極」

冷戦後の世界に降り掛かったこの新しい戦いの図式の中で、私たち日本人は、全く新しい「保守」の理念を必要としています。その理念を、私は「多元的保守」と名付け、冷戦構造の中で形作られた従来の古い保守を「二元的保守」と呼び、これに対置させたいと思います。
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It's the economy,stupid!

大変興味深い主張だと思います。グローバリズムへの対抗はすなわち経済問題に直結します。三橋貴明氏が今もなおblog読者に支持を受けていることもチャンネル桜が今もネットで影響力があるのもマクロ経済を重視しているからではないでしょうか?政治の世界では、自民党に対抗しうる勢力である共産党などは今もって冷戦構造の経営者vs労働者の枠組みにどっぷり漬かり抜け出せないでいます。
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