「売春婦か、性奴隷か」と問うなかれ(3)

「性奴隷」という言葉は、幅広い意味で使われている。
先日の記事、「売春婦か、性奴隷か」と問うなかれ(2)に関して、次のようなご意見を、いただいています。

何をもって性奴隷とするのか
性奴隷の定義は何か
性奴隷であるかないかを誰が決めるのかを説明してくれないことには
ただの言葉遊びでしかない

まず、"Sex Slave"(性奴隷)という言葉が、一般に世界でどのような意味で用いられているか、現状を確認してみましょう。例として、英語版のWikipediaの、"Sexual Slavery"の項目を確認してみたいと思います。

Sexual slavery is slavery for the purpose of sexual exploitation. Sexual slavery may involve single-owner sexual slavery; ritual slavery, sometimes associated with certain religious practices, such as trokosi in Ghana, Togo and Benin; slavery for primarily non-sexual purposes but where non-consensual sexual activity is common; or forced prostitution. Concubines were a traditional form of sexual slavery in many cultures, in which women spent their lives in sexual servitude. In some cultures, concubines and their children had distinct rights and legitimate social position.

性的奴隷とは、性的搾取を目的とした奴隷のことである。性的奴隷は、単独所有者による性的奴隷、ガーナ、トーゴ、ベナンにおける「トロコシ」のような、ある種の宗教的実践に関連づけられた儀式的奴隷、本来は非性的な目的のための奴隷であるが同意に基づかない性行為が一般的な奴隷、強制売春などを含む。多くの文化において、妾は、性的奴隷状態の伝統的形態であり、女性は性的な隷属状態の中でその生涯を過ごした。妾とその子どもに、個別の権利や、正系としての社会的地位が与えられた文化も存在する。

The Vienna Declaration and Programme of Action calls for an international response in order to attempt to eradicate sexual slavery on the basis that it is a human rights issue. The incidence of sexual slavery by country has been studied and tabulated by UNESCO, with the cooperation of various international agencies.

ウィーン宣言及び行動計画は、性的奴隷は人権問題であるという原則に立ち、性的奴隷を根絶するために、国際社会の応答を求めた。国ごとの性的奴隷の発生状況については、さまざまな国際機関の協力の下、ユネスコによって研究され、一覧化されている。

Definitions[edit]
The Rome Statute (1998) (that defines the crimes over which the International Criminal Court may have jurisdiction) encompass crimes against humanity (Article 7) which includes "enslavement" (Article 7.1.c) and "sexual enslavement" (Article 7.1.g) "when committed as part of a widespread or systematic attack directed against any civilian population". It also defines sexual enslavement as a war crime and a breach of the Geneva Conventions when committed during an international armed conflict (Article 8.b.xxii) and indirectly in an internal armed conflict under Article(8.c.ii), but the courts jurisdiction over war crimes is explicitly excluded from including crimes committed during "situations of internal disturbances and tensions, such as riots, isolated and sporadic acts of violence or other acts of a similar nature" (Article 8.d).[2]

「国際刑事裁判所ローマ規程」(1998年)は、国際司法裁判所の司法権が及ぶ犯罪を定義しているが、そこには「人道に対する犯罪」が含まれており、さらに、その中には、民間人に対する広範囲で組織的な加害行為の一部としてなされた場合の、「奴隷」(7条1.c)や「性的奴隷」(7条1.g)が含まれている。また、当規程は、国際的な軍事紛争(8条b.xxii)、また副次的には、8条c.iiの定める国内紛争の最中に行われた場合、性的奴隷を、戦争犯罪、もしくは、ジュネーブ条約違反として定義しているが、暴動、孤立した散発的な暴力行為、類似した他の行為のような、国内における騒乱や緊張の間に行われた同様の犯罪(8条d)は、国際司法裁判所の司法権の対象からは明確に除外されている。

(出典: Wikipedia(英語版) "Sexual Slavery" )

Wikipediaの当該の記事は、「性的奴隷」に含まれる事例として、性的人身売買、児童に対する商業的な性的搾取、児童ポルノ、児童買春、強制売春、強制結婚、人道に対する罪、ヨーロッパの性産業における人身売買、ユーゴスラビア紛争での性暴力、花嫁の誘拐、戦争中のレイプ、朝鮮戦争における韓国軍慰安婦、第二次世界大戦中の日本軍の慰安婦、ドイツ軍の慰安婦、アラブの奴隷貿易、アフリカの因習、アメリカの奴隷制度など、さまざまな事例を挙げています。

このように、「性奴隷」という言葉は、決して日本軍の慰安婦制度に限定して用いられる言葉ではなく、非常に幅広い意味で用いられており、古今東西にこれまで発生した、またこれから発生することが予測されうる、あらゆる「性的な奴隷状態」を含意しています。

そこには、当然のことながら、世界の売春産業の現場で、一定の割合で含まれている人身売買の犠牲者も含まれていますから、「性奴隷」という言葉と、「売春婦」という言葉は、重なる部分をもっています。



「『性奴隷』という言葉が指示する具体的な対象範囲を誰が決めるのか」

という問題ですが、国連や、人権問題に関わるさまざまな国際機関、組織、人々の考え方が、この言葉の中に反映されてはいるのでしょう。

しかし、この言葉は、将来の「性的奴隷」の発生を抑止する意図をもって用いられている言葉ですから、確定した範囲は持たず、あらゆる将来の可能性をも含めているはずです。つまり、この言葉は曖昧な周辺をもち、固定した意味の範囲を、時間軸上の特定の時点において、誰も確定できないわけです。

ただ、はっきりと言い得ることは、「性産業における人身売買の被害者を、『性奴隷』という言葉の中に含めてはならない」ということを、私たち日本人が、世界の人たちに対して求めることはできないということではないかと思います。

私たちが、「性奴隷」という言葉の意味範囲から、「性産業における人身売買の被害者」を恣意的に除外することが許されないならば、



「性奴隷」が、「売春婦」も含みうる言葉なのだという前提に立って、慰安婦問題を世界の人たちに説明していかなくてはなりません。



「この動物は、猫である。だからペットではない。」というナンセンスな文に似た、



「慰安婦は、売春婦である。だから性奴隷ではない」

という論理では、世界の人たちを納得させることはできません。

「慰安婦は、売春婦か、性奴隷か」

という二項対立的な従来の問題設定によっては、慰安婦問題を適切に説明することはできません。

「日本軍の慰安婦制度は、性奴隷制度であった」

とする極論や誤解を修正するためには、まったく、別のアプローチが必要です。

なによりも、世界の人たちの誤解を解こうと願う人たちが、慰安婦問題の重層的、多面的な構造を正しく理解する必要があります。
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わだつみさん

田淵氏と杉浦氏のやりとりを拝見しましたが、田淵氏の主張にも、杉浦氏のたどりついた下の結論にも、WJFは賛成するわけではありません。

"田淵記者はRome Statuteに基づき慰安婦を性奴隷と呼んでいるとのこと。日本語解説記事がありましたのでリンクします。なるほど、「慰安婦は性奴隷ではない」という論理は英語では通用しないようです。"

日本軍が設けた慰安婦制度、すなわち、「管理売春」(organized prostitution)が合法か、非合法かは、国によっても文化によっても見方が異なり、国際司法裁判所の「ローマ規程」も、「管理売春=性奴隷」などと定めているわけではありません。

上の記事で、WJFは、「ローマ規程によって慰安婦制度は性奴隷と見なされている」などと述べたのではなく、「性奴隷」の概念に、通常人身売買の被害者が含まれる以上、「慰安婦は、売春婦か、性奴隷か」という二項対立的な問題設定は成り立たないと指摘したのみです。

慰安婦問題は、複雑であると改めて思います。
この機会に、さらに、わかりやすく問題点を整理しなおしたいと思います。

WSJプロジェクトとか背景とか

新たに「関連まとめ」なるものが出来ているようです。
http://togetter.com/li/719873

タブチ

こちらへのリンクが貼られておりましたので、情報提供まで。
http://togetter.com/li/718995

No title

>だめだめわんこさん

ありがとうございます。本来非性的な目的で行った「とろこし」や「ヨーロッパの性産業における人身売買」も性奴隷であるとするれば、性行為が科学的であれ自然的てきであれ女性を経済的に隷属状態にするのであれば、代理出産ビジネスも立派な性奴隷なのではないかと思います。

定義を決めるのはわれわれではありませんが、問題提議するのはいいのではないでしょうか?

No title

>おさんさん

「代理出産がOKなら慰安婦もOKのはず」と考えてらっしゃるようですが、

両者には何の関係もありません。

代理出産は性奴隷の定義に当てはまりません。

その定義を決めるのは我々ではありません。

代理出産ビジネスは性奴隷ではないのか?

お久しぶりです。最近、代理出産ビジネスを依頼した女性の生んだ子供がダウン症だったため子供の引き取り拒否といういたましい事件がおこりました。代理出産ビジネスが倫理に反せず、日本の集団売春所の関与がなぜ倫理違反なのかよくわかりません。教えていただけませんか?

安倍ちゃんは

「連合国」に都合の良い価値観に異を唱えていかないといけないのに、安倍ちゃんは非常任理事国にしてもらいたくてODAを配り歩いてるみたいですね。

だめだめわんこさん

グローバルな価値観に同化されるのでもなく、グローバルな価値観を拒絶するのでもなく、乗り越えていく。

慰安婦問題を通して、そのことに挑戦してみたいと思います。

ぽんさん

慰安婦問題は、「特ア」による「反日プロパガンダ」が表面的には目につきやすいですが、その根底にあるのは、やはり、欧米によって作られた国連(連合国・戦勝国)的なグローバルな価値観との対立ではないでしょうか。

慰安婦問題の「普遍化」と、「偽善」の告発は、

『慰安婦神話の脱神話化』第3部:実際に何が起きるべきか

の主要なテーマとなる予定です。

でもそれ、プロパガンダですよね?

>となると、慰安婦問題の争点は、強制連行があったなかったということではもはやなく、組織的な売春そのものを性奴隷制度とみなす、価値観との対決になります。


これは強制性があったかどうか怪しいことがはっきりしてから生じてきた話で、当初の議論からすり替えられた結果ですね。
確かに軍隊の売春婦帯同の是非を問われたら、当時いくら売春が合法だったと言えども、現在の価値観で判断されれば日本に勝ち目は無い。

しかし、それならば朝鮮戦争時の慰安婦はどうだったのか?
朝鮮戦争で洋公主と呼ばれた慰安婦は、まさに強制連行で売春婦にさせられたものも少なくなく、自殺者も出ています。米軍の婦女暴行事件が多発した結果の、韓国政府が始めた慰安婦制度であり、その悲惨さは証言だけではなく当時の新聞記事等の裏付けもあるので確かです。因に慰安達は韓国軍兵士も相手にしていました。

そして、朝鮮戦争が休戦した後も、韓国政府は外貨獲得の為につい最近まで米軍相手の売春制度を続けていました。

さて、韓国やアメリカに日本を批判する資格はあるのだろうか?
自らの行いの非を認めず、語らず、耳までふさいで日本を批判する行為は、プロパガンダで無くして一体何なのか?

我々が訴えるべき事は、「所謂、慰安婦問題は悪質なプロパガンではないのですか?」という問いかけです。相手が否定してくれば、「アメリカ軍や韓国軍の下半身は清廉潔白だったのですか?」と返答します。朝鮮戦争時の慰安婦はドラム缶に入れられたり、毛布にくるまれ連れ去られたりして、強制性の売春がかなりあった様ですから立派な性奴隷です。慰安婦が性病にかかればモンキーハウスと呼ばれる施設に隔離され強い薬で治療され、管理売春は徹底していました。

これだけ説明しても、相手が日本のみを批判するのならば、その人物は女性の人権などはどうでもよくて、ただ単に日本を非難するプロパガンダが目的なのだという事がはっきりします。その時は、相手の欺瞞性、偽善性、非道徳性を問いただすべきでしょう。保守は国連の場でこういうことをやるべきなのです。左翼の連中はずっと前から、NGO等の組織を国連の人権委員会に送り込んで日本批判をやってきているのです。その結果が今なのです。

声を出して反論するのです。
「でもそれ、プロパガンダですよね?」と。

関係で恐縮ですが、原発事故関連のブログでちょっと面白いものを見つけたのでご紹介。
これって可能性としてどうなんでしょうかね。


>それで、“こいつら”は一体何が目的で、(汚染水処理の現場について)ここまで杜撰な環境設定を計るのかというと、もちろん事務所からの指示に他ならない。つまり、“御主人様”の目的は、意図的に杜撰な状況を維持セッティングさせ、とにかくミス失敗を量産させることにあると見てとれる。

つまり、それによって分かりやすい話、《お前ら(日本)のだらしなさのお陰で地球はここまで汚された!海洋はここまで汚染された!〇〇〇兆払え!お前らには任せられない、福島は、近隣8都県は(あるいは日本は)国際的な機関の管理下に置かねばダメだ!!》← というふうに話をもっていくためである。…

http://asvaghosa.blog.fc2.com/blog-entry-47.html?sp


>4号機の燃料棒は原発テロ前から抜かれてる

http://asvaghosa.blog.fc2.com/blog-entry-50.html?sp

だめだめわんこさん

さきほどの話にもどりますが、やはり、わんこさんのおっしゃる通り、捕鯨問題に似て、

「グローバルな価値観VSローカルな文化」

の対決という要素も、慰安婦問題の中に含まれているのでしょう。

ヨーロッパでは、個人の売春は合法でも、組織的売春や売春宿の経営は、人身売買の温床として違法とされている。

組織的売春=性奴隷制度だとみなされてしまうと、どう抗弁しても、日本の慰安婦制度は、性奴隷制度という扱いになってしまう。

となると、慰安婦問題の争点は、強制連行があったなかったということではもはやなく、組織的な売春そのものを性奴隷制度とみなす、価値観との対決になります。

この文脈では、文化帝国主義に対する告発という姿勢をとりながら、「組織的売春は性奴隷制度なのか」を果敢に問うことになります。

この切り口は、第3部で、取りいれなくてはならないと思いました。

mk30さん

河野談話は、武器としても使えるというご指摘ははっとさせられました。
河野談話は、「日本は謝罪していない」という韓国の嘘に対する雄弁な反証だと思います。

極論に対する反論は、既に第2部まででなされていますので、

「慰安婦神話の脱神話化」第3部] 実際に何が起きるべきなのか

のテーマは、慰安婦問題の「普遍化」と「偽善」です。河野談話も取り上げます。

>次の動画の完成が楽しみです。がんばってください。

ありがとうございます。シリーズ完結編ですので、見る方に、すっきりした気持ちになってもらえるような動画に仕上げたいです。

コメレスありがとうございます。

なるほど、極論に対する反論を、
「慰安婦神話の脱神話化」第3部 実際に何が起きるべきだったのか
の中で展開していくつもりですね。わかりました。
次の動画の完成が楽しみです。がんばってください。

mk30さん

「制度」という側面と、「運用」という側面が、混同されてしまっており、

慰安婦問題に関する誤解はここから発生しています。

制度の運用上、結果として起きた問題が、制度設計の段階であらかじめ意図されていたかのようにみなされています。

だめだめわんこさん

>「慰安婦は、売春婦だから、性奴隷ではない」

>がまちがった論証だとすると、日本は

>「慰安婦は、売春婦だが、性奴隷ではない」

>と証明しなければならない。


「全ての慰安婦は性奴隷だ」という全称命題をくずすのに、

「全ての慰安婦は自発的な売春婦だ」という全称命題を掲げる必要はありません。

わんこさんは、下の動画はご覧になりましたか?

『慰安婦神話の脱神話化』第2部:実際に何が起きなかったのか
https://www.youtube.com/watch?v=CW-srDfFJNc

極論をどう修正するのか?

日本軍の慰安婦制度は、性奴隷制度である。

上の極論は3月の志位委員長の談話後の質疑応答にも出てきました。
今、この極論に対する反論としては、
「河野談話に性奴隷という文言がない以上、慰安婦を性奴隷と表現するのは
河野談話に対する冒涜である。」しか浮かびませんが、いかがでしょうか?

そんなことはない

>・・・これでは日本の慰安所制度は当てはまってしまうのではないか?
>反論するには、この定義に当てはまっていないことを立証するしかないが、それは不可能ではないか?


そんなことはありません。

確かに、「性奴隷」に関わらず、「奴隷」一般に関する、日本と世界の認識のギャップは、奴隷制度をもたなかった日本と、奴隷制度を抱えていた、それ以外の国々との認識のギャップから生じている面が多分にあります。奴隷制度を近年までもっていたアメリカ、朝鮮や、中国など、世界の大半の国々が、彼らの奴隷制に関する共通認識を、奴隷制度を1000年前に既に廃止していた日本に押し付けている。つまり、奴隷制に関して、最も反省しなくてはならない国々の人々が、奴隷制から離れて久しい日本人を糾弾しているという皮肉な面があります。

しかし、そんな彼らにしても、売春業の中に、「性奴隷」と呼ばざるをえないケースが発生していると言っているに過ぎず、売春業の全てが、性奴隷制度だと述べているわけではありません。その証拠に、ヨーロッパでは、売春は現在も、合法とされています。

売春婦⊂性奴隷(全ての売春婦は性奴隷)

とは、見なされてはいない以上、本来であれば、

慰安婦⊂性奴隷(全ての慰安婦は性奴隷)

とは、みなされないはずです。

ではなぜ、

慰安婦⊂性奴隷(全ての慰安婦は性奴隷)

というような、一般化が行われてしまっているかといえば、「性奴隷」の定義のせいではなく、やはり日本の慰安婦制度が誤解されているためだと考えざるをえません。

その誤解は二段階で生じます。

A. 慰安婦の中の「性奴隷」とよばざるをえない事例を一般化する
B. 「性奴隷」と呼ばざるをえない事例が政府の意志で発生していたとする。


Bに関しては、マクドゥーガル報告書には「奴隷状態」は次のようなものとかかれており、政府の意図によるかよらないかは二次的な問題だと思われがちですが、

"The crime of slavery does not require government involvement or State action, and constitutes an international crime whether committed by State actors or private individuals. Further, while slavery requires the treatment of a person as chattel, the fact that a person was not bought, sold or traded does not in any way defeat a claim of slavery."

「奴隷状態」という犯罪は政府の関与または国家の行為がなくても成立し、国家の行為者によるものであろうと民間の個人によるものであろうと、国際犯罪に相当する。さらに、「奴隷状態」とは人を所有物として扱うことを指すが、その人が金銭で売買ないしは人身取引されていないという事実をもって無効となることは決してない。"

「慰安婦問題の真の争点」という下の記事で述べたように、
http://wondrousjapanforever.blog.fc2.com/blog-entry-311.html

「慰安婦には、自分の意思に基づいて志願した女性と、自分の意志に反して強制された女性の二種類が混在していた」という事実は、慰安婦問題において極めて重要な点です。

二つの正逆な女性の集団が混在していたとしたら、それは、次の二つの可能性しか考えられないからです。

1. 慰安婦は、原則的に強制された女性から構成されるように制度設計されていたが、自分の意志によって志願した女性が偶発的に含まれていた

2. 慰安婦は、原則的に自分の意志によって志願した女性から構成されるように制度設計されていたが、強制された女性が偶発的に含まれていたのか。


この二つは正反対の出来事ですから、この二つのどちらが事実だったのを説く事が、慰安婦問題の真の争点でなくてはならない。その際に、「政府の意図」は、無視し得ないファクターです。

「慰安婦の中には、自分の意志に反して慰安婦となった女性もいた」

という事実と、

「全ての慰安婦は強制された女性であり、しかもその強制は政府の意志によってなされた」

という世界に広がる誤解の間の距離は、極めて大きいのです。

No title

http://d.hatena.ne.jp/dj19/20130604/p1

日本も締約国である国際刑事裁判所データベース及び解説に載せてある「性的奴隷の定義」の要旨

•「奴隷化すること」という用語については、従来から用いられてきた意味に限定されない。
•人を「奴隷化すること」とは、人に対して所有権に伴ういずれか又はすべての権限を行使することをいい、人 ー特に女性及び児童ー の取引(人身売買)の過程でそのような権限を行使することを含む。
•人を性的奴隷状態におくことは、奴隷化することの一形態であり、本人の自己決定権、移動の自由および本人の性的活動に関する事柄に対する決定権の制限を特徴とする。
•性的奴隷という犯罪は、継続的に性行為を強要されることであり、最終的に強制的な性的活動に至る強制労働も含まれる。
•性的奴隷状態とは、強制売春の形態のすべてではないにしても、その大部分を占める。


1998年、国連の人権小委員会で採択されたマクドゥーガル報告書の「性的奴隷の定義」の要旨

第2章 犯罪の定義

第2節 奴隷制(性的奴隷状態を含む)
•奴隷制の定義は1926年の奴隷条約において明記され、その定義は「奴隷状態とは、所有権を伴う権力の一部もしくは全部が一個人に対して行使されている状況もしくは状態である」、レイプなどの性暴力の形態による性的接触も含む。
•「性的(sexual)」という用語はこの報告書では奴隷制の一形態を説明する形容詞として使われており、別個の犯罪を示すものではない。あらゆる意味で、またあらゆる状況で、性的奴隷制は奴隷制である。性的奴隷制には、女性や少女が「結婚」を強要されるケースや、最終的には拘束する側から強かんなど性行為を強要される家事労働その他の強制労働も含まれる。
•奴隷制という犯罪は政府の関与または国家の行為がなくても成立し、国家の行為者によるものであろうと民間の個人によるものであろうと、国際犯罪に相当する。さらに、奴隷制とは人を所有物として扱うことを指すが、その人が金銭で売買ないしは人身取引されていないという事実をもって無効となることは決してない。
•奴隷制の定義には、自己決定権、移動の自由、自己の性活動に関する事柄の決定権の制限などの概念も内在している。個人的には被害を受ける相当の危険を犯して奴隷状態から逃げることができたとしても、それだけで、奴隷制ではないと解釈してはならない。
•奴隷制にはまた、すべてではないとしても大半の形態の強制売春も含まれる。「強制売春」とは一般に、他人に支配されて性的行為を強要される状態を意味する。
•原則として、武力紛争下では、強制売春と呼びうる実態はたいていの場合、性的奴隷制に相当する。

まとめ

前借金という名の人身売買により身体を拘束され、自分のことを自由に決定する権利および移動の自由などが一部あるいは全部制限され、隷属状態で所有物として扱われる状態を奴隷状態と言います。人身売買の事実がなかった場合でも、最終的に慰安所のような拘禁施設で継続的に性行為を強要(強制売春)される状態ならば性奴隷状態と言います。

さらに「最終的に強制的な性的活動に至る強制労働も含まれる。」とありますが、1996年に、国際労働機関(ILO)の条約勧告適用専門家委員会は、慰安所での女性たちの状態が1930年の「強制労働条約 第29号」(日本政府は1932年に批准)に違反していると認定しています。


・・・これでは日本の慰安所制度は当てはまってしまうのではないか?

反論するには、この定義に当てはまっていないことを立証するしかないが、それは不可能ではないか?

つまり今まで日本国内で行われてきた、軍による強制連行の有無とか、高賃金の支払いとかは、この定義には全く関係がない。

この定義そのものに問題があるとするか、もしくは形式的にはこの定義には当てはまるが、限りなく違法性は無い(違法性阻却事由がある)ことを立証するか。

アジア的性売買慣行からすれば、我々の常識的には高賃金(それも現在価値で一ヶ月で数千万円相当の破格の高賃金)が支払われていれば、奴隷状態とはいえない(正確には高賃金は、(左翼的な意味における)奴隷状態の代償、バーター)とは言えるが。

思うに、この定義には、売春や性的な事柄を絶対悪とする、西洋キリスト教的価値観(文化的偏見)が反映されているように思われる。

つまりアジア的には、売春というのは絶対悪ではないのである。


そういうイデオロギッシュ、原理主義的、フェミニズム的、な連中だと仮定して、どう対抗するか。

定義が偏狭である以上、ちゃぶ台をひっくり返して、現実に合った、アジア独自の定義を制定するか。
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