「売春婦か、性奴隷か」と問うなかれ(2)

理解されない論理では、理解されない。
昨日の記事、「売春婦か、性奴隷か」と問うなかれ。内容が分かりにくいという方もいらっしゃるようなので、もう少し、わかりやすい例をあげて、追加の説明をさせていただきます。

「猫」という言葉と、「犬」という言葉には、重なる部分はありません。
「猫」であるのと同時に、「犬」でもある動物は存在しないからです。



このとき、

「この動物は、猫なので、犬ではない」
「この動物は、犬なので、猫ではない」


という説明は、論理的に成り立ちます。

しかし、「猫」という言葉と、「ペット」という言葉はどうでしょうか?

この二つの言葉には、重なる部分があります。
誰かに「ペット」として飼われている「猫」は存在するからです。



このとき、

「この動物は、猫なので、ペットではない」
「この動物は、ペットなので、猫ではない」

と言う説明は、論理的に成り立ちません。

「この動物は猫である」と言っている誰かに向かって、他の誰かが、「何を言うんだ。この動物は明らかにペットである。だから猫ではありえない。」と言ったらおかしいですよね。

慰安婦問題も同じであり、

「売春婦」という言葉と、「性奴隷」という言葉が、重なる部分を持たないならば、



「慰安婦は、売春婦なので、性奴隷ではない」

と言う説明は、論理的に成り立ちます。

しかし、世界の人々が、「性奴隷」という言葉を、「売春婦」と重なる部分をもつ言葉として用いているときに、



「慰安婦は、売春婦なので、性奴隷ではない」

と言うことは、

「この動物は、ペットなので、猫ではない」

と言うのと同じぐらい、ナンセンスな説明と受け取られてしまいます。

そして、実際に、世界の人権家たちが「性奴隷」という言葉を使うとき、彼らは、性産業における人身売買の被害者を指してこの言葉を用いるケースが多い。

つまり、「売春婦」と「性奴隷」という二つの言葉は、重なる部分をもっています。

ならば、

「慰安婦は、売春婦か、性奴隷か」

という立論のやり方は、世界の人たちに、慰安婦問題を説明する上で、まったく不適切であるということになります。

落ち着いて考えれば、どなたでもお分かりになる簡単な話なのですが、このような単純な論理が、プロの言論人たちによってすらも、きちんと整理されていないまま、「慰安婦は、売春婦なので、性奴隷ではない」とか、「韓国人の元慰安婦は、強欲な嘘つきだ」といった乱暴な主張が一人歩きをして、世界の人々の慰安婦問題の理解を促進するどころか、逆に、妨げてしまっているのが現状です。

若葉の色は、白か、黒か。

こう問われたら、ある人は言うかもしれません。

「若葉の色は、白ではない。したがって黒だ」と。

また他の人々は言うかもしれません。

「若葉の色は、黒ではない。したがって白だ」と。

正しい答えは、若葉の色は、白でもなければ、黒でもありません。

若葉の色に限らず、この世界のありとあらゆる物事は、あれかこれかという、二元的な問いを超えた場所に存在しています。

若葉の色は、無限に多様な色彩の中の一つであり、

お米の味は、無限に多様な味わいの中の一つであり、

慰安婦一人一人の物語は、無限に多様な人間の生き様の中の一つであり、

日本という国は、歴史の中に生起し、これから生起しうる無限に多様な国々の中の一つです。

しかし、現在、私たちの国には、物事を「あれかこれか」という二項対立で捉えようとする人々にあふれかえっているように見えます。

(WJFプロジェクト: 「ものごとは二元性を超えた場所にある」 2014年6月6日)

下の動画、「慰安婦神話の脱神話化 第2部: 実際に何が起きなかったのか」は、従来の論法とは異なる論理展開によって、「慰安婦は性奴隷である」という慰安婦神話の切り崩しを図った動画です。

ぜひ、ごらんになってください。



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ぽんさん

>動画の要約を箇条書き等でテキスト化して欲しいですね。

内容をインスタントに一覧できるWebページを作り、冗長になりがちな動画の弱点を補いたいと考えています。

>それか、3〜5分程度のショートバージョンを作るべきです。短ければ短い程いい。

3〜5分で慰安婦問題を説明するのは、少なくとも私には無理です。

>映画のトレーラーの様に興味を持ってもらってコンプリートバージョンへ誘導する方法も検討してみては?

『慰安婦神話の脱神話化』序論は、文字通り「導入(イントロダクション)」として製作したものです。
https://www.youtube.com/watch?v=yEn6Wl_WubE

『慰安婦神話の脱神話化』は、下の四つの動画から構成されるシリーズものの動画です。

多少長くとも、扇情的なもの、人々が群がってわーというものではなく、しっかりした論理と構成で、冷静に、慰安婦問題を網羅的に説明したもの、見る人にじっくり考えてもらえるものを残しておきたいという思いで製作しています。

序論
https://www.youtube.com/watch?v=yEn6Wl_WubE
第1部: 実際に何が起きたのか
https://www.youtube.com/watch?v=_HRz0rWFHrg
第2部: 実際に何が起きなかったのか
https://www.youtube.com/watch?v=CW-srDfFJNc
第3部: 実際に何が起きるべきなのか
(製作中)

No title

動画の要約を箇条書き等でテキスト化して欲しいですね。
これだけ長い動画だと見るのにかなりのモチベーションを必要とします。
テキストで内容説明が無ければ辛いでしょう。
ましてや、外国人相手ともなれば・・・(やはり、あまり再生数稼げてませんね)
それか、3〜5分程度のショートバージョンを作るべきです。短ければ短い程いい。
映画のトレーラーの様に興味を持ってもらってコンプリートバージョンへ誘導する方法も検討してみては?

だめだめわんこさん

>日本を国連(世界政府)の支配下に置き、人権イデオロギーを社会の構成原理として日本社会の隅々まで貫徹させて、伝統や伝統社会や共同体を解体し、

「全体」と「個」が、二項対立的に、絶対的に他を打ち消し合うものならば、一つの「個」たる国家を維持する上で、「人権イデオロギー」も「国連」の勧告も排除しなくてはならないでしょう。しかし、「全体」と「個」を、「多」と「一」の有機的、弁証法的な関係として捉えるならば、「一」が「一」たることによって、「多」を「多」たらしめ、「多」を「多」たらしめることで、「一」を「一」たらしめる事が可能になります。ただし、「多」は、必然的にコンフリクトを生じさせますから、「多・一」的な世界を維持することは、私たちがコンフリクトの存在を受け入れ、それに耐えていかなくてはならないことも意味します。私たち日本人は、問題が存在すれば、それを「解決しよう」としがちですが、「多・一」的世界では、コンフリクトをあえて解消しようとしない所作を、私たちはある程度、身につけなくてはならないのかもしれません。イデオロギーに関しては、日本人は強い精神的な胃袋をもち、たいがいの異物は消化し、無毒化してしまうので、それほど恐れなくてもよいかと思います。二項対立的な意識は、知らず知らず、至る所に忍び込みます。グローバリズムを推進しようとする立場の中にも、またそれを阻止しようとする立場の中にも。

「歴史問題」と「構造改革」は連動している

あらためて"「歴史問題」と「構造改革」は連動している"のです。

http://wondrousjapanforever.blog.fc2.com/blog-entry-272.html

日本人は、「歴史問題」と「構造改革」に板挟みにされており、右翼に傾斜しても、左翼に傾斜しても、国が壊れていくカラクリががっちりと構築されています。

「右翼」も「左翼」も日本を壊す。
http://wondrousjapanforever.blog.fc2.com/blog-entry-241.html

>一方で産経新聞(統一協会や幸福の科学とは仲間)は慰安婦問題では(WJFさんのいうところの左翼と対称的なやり方でですが)積極的に反対活動をしていますが、徴兵制やTPPなど新自由主義経済政策には(他組織や人脈との関係などから総合的に判断するに)賛成です。右翼といっていいでしょう。

左派の主張は確かにナンセンスなのですが、産經新聞的、「右翼」的、また、従来の「保守」的な抗弁のやり方は、次のような結果を招きます。

1. 慰安婦問題等「歴史問題」に関する「反日プロパガンダ」への抗弁を「餌」に、日本人を引きつけ、新自由主義やTPPを推進する「右派」の政党、政治家に傾斜させる。

2. 同時に、彼らのやり方で抗弁すればするほど、慰安婦問題等「歴史問題」に関する世界の人々の共感は得られず、日本の主張は孤立し、偏見は強化され、「反日プロパガンダ」はますます勢いづく。

3. 1に戻り、悪循環に陥る。

「歴史問題」と「構造改革」と、どちらがより深刻かといえば、明らかに「構造改革」の方です。「歴史問題」に関して国際社会の糾弾をあびることは、確かに日本人としては精神的にきついのですが、慰安婦問題で死ぬ人はいません。しかし、「構造改革」は、より直接的、実体的な被害を国民生活にもたらし、家族を失う人、家を失う人、命を絶たなければならない人たちも現れます。「構造改革」が進み、移民を受け入れれば、長期的には「民族浄化」の憂き目にも会います。

「歴史問題」が危険なのは、「日本人の名誉が汚されるから」ではなく、「構造改革」を誘発する契機となるためです。このことを防ぐためにも、二元的な見方とは異なる、総合的、俯瞰的、多元的な見方に立って、「歴史問題」に抗弁していく必要があります。

これこそが、WJFプロジェクトに課せられた課題なのですが、残念な事に、このような視点から「歴史問題」に取り組む人々、また、このような取り組みを理解する人々の数は多くはありません。

「歴史問題」といえば、極端な左派の主張か、極端な右派の主張のいずれかに、人々は分岐し、傾斜し、取り込まれていくのが現状です。

「右翼」、「左翼」という二つの立場を、媒介し、止揚し、再統合する考え方、というよりも、「右翼」や「左翼」に分岐する以前の日本の根源に回帰しようとする姿勢が、日本人の間に広まっていかなくてはならないのですが、なかなか困難な課題です。

No title

WJFさんの方法にはもちろん賛成です。


ところで今回のことを書きますと、

私はIWJが、徴兵制や新自由主義経済政策などに反対しているので、少なからず好感を持っていたのですが、

今回の慰安婦の記事を見つけ、ショックを受けました。IWJが左翼だとは知っていましたが、こんな論理の飛躍のある、異常な思考を支持するとは。

日本を国連(世界政府)の支配下に置き、人権イデオロギーを社会の構成原理として日本社会の隅々まで貫徹させて、伝統や伝統社会や共同体を解体し、日本社会を徹底的に改造すること&韓国や北朝鮮への(慰安婦問題を含め、植民地支配そのものの)謝罪と賠償をさせることが目的だったのです。もちろんこれは極左の発想です。断じて保守であるはずがありません。

一方で産経新聞(統一協会や幸福の科学とは仲間)は慰安婦問題では(WJFさんのいうところの左翼と対称的なやり方でですが)積極的に反対活動をしていますが、徴兵制やTPPなど新自由主義経済政策には(他組織や人脈との関係などから総合的に判断するに)賛成です。右翼といっていいでしょう。

そうなると、徴兵制や新自由主義経済政策に反対して左翼を支持すると、慰安婦問題や人権イデオロギーで、日本が貶められ、伝統社会が破壊され、国連(世界政府)主権で日本の主権を失い、

慰安婦問題に反対して右翼を支持すると、徴兵制や新自由主義経済政策で、日本人の生活が破壊され、TPPで日本の主権を失い、

どちらの陣営も日本にとって良い政策と悪い政策を組み合わせ、しかも良い政策の方はかなわなず、両陣営の悪い政策(新自由主義化+人権社会化)の方だけが実現するのです。

それこそが最初からの目的なのでしょう。

つまり、ある連中が自分達にとって都合の良い「新自由主義化+人権社会化」という極悪な社会改造を実現したいと考えた場合、国民に反対されるのはわかっているので、

いくつかに分割し、分割したものを良い政策(餌)と組み合わせて、右翼と左翼に振り分け、国民を吊り上げるわけです。

どの陣営を支持しても罠・落とし穴があり、しかも安倍政権でわかるように、餌の政策は実行・実現されず、国民が望んでいない本命の政策の方だけが実行・実現されるのです。

政権が変わっても、一度実現されたことは取り消されず、ガチガチに法律や既得権益で固められ、

そうしてそれぞれの大尉rつ陣営で実現された政策を組み合わせていくと、

当初の究極目的が完成するのです。

このように私は、世界のカラクリを解釈しています。





慰安婦問題のよりよい定式化

「慰安婦は性奴隷である」という左派が掲げる全称命題に対抗して、
「慰安婦は売春婦である」という全称命題をぶつけるのではなく、

反例を提示することで、「自発的な慰安婦」「強制された慰安婦」と、慰安婦の集合を分割する楔をいれていき、かつ、「強制された慰安婦」の集合を、その事例によって、より細かく分割することで、「一般化」を解体する。

同時に「強制された慰安婦」という、日本軍に限定して語られている「特殊化」された女性の悲劇を、日本の慰安婦制度を超えた問題として再提起することで、「一般化」させていく。

このように「一般化」されたものを「特殊化」し、「特殊化」されているものを「一般化」する、
そして慰安婦問題の全体の俯瞰図を示す。

「慰安婦神話の脱神話化 第2部: 実際に何が起きなかったのか」で採用しているこの方法こそ、慰安婦問題をわかりやすく世界に伝えるための最も適切な定式化ではないかと改めて思います。

「慰安婦神話」のカラクリ、一般化と特殊化。

>http://iwj.co.jp/wj/open/archives/90389#more-90389

>皆、これを読んでほしい。
>こいつらはやはり頭がおかしいわ。

「『慰安婦神話の脱神話化』第2部、制作の留意点(4)」より引用します。
http://wondrousjapanforever.blog.fc2.com/blog-entry-371.html

「一般化」と「特殊化」。

「慰安婦神話」はこの二つによって成立しています。

1. 韓国人の活動家たちは、日本の慰安婦制度の中で起きたいくつかの特殊な事例が、まるで慰安婦全体にあてはるかのように、慰安婦問題を「一般化」します。

2. 同時に、活動家たちは、あらゆる国や時代の性産業の現場や軍隊の中で起きてきた普遍的な問題としての女性の悲劇が、あたかも日本の慰安婦制度にのみ発生していたかのように、慰安婦問題を「特殊化」します。

ですから、「慰安婦神話」を「脱神話化」させるためには、「一般化」されている問題を「特殊化」し、「特殊化」されている問題を「一般化」させることが必要であり、『慰安婦神話の脱神話化』という動画もその点に留意して制作しています。

しかしながら、多くの場合、日本側の反論はそのような形では行われていません。

1. 日本の従来の「保守」は、日本の慰安婦制度の中で起きたいくつかの事例(「高給取りの売春婦」としての慰安婦像など)が、まるで慰安婦全体にあてはるかのように、慰安婦問題を「一般化」します。

2. 同時に、彼らは、女性の悲劇は、あらゆる国や時代の性産業の現場や軍隊の中で起きてきた普遍的問題であるにも関わらず、日本の慰安婦制度の中でのみ女性の悲劇は一切起きていなかったかのように語り、慰安婦問題を「特殊化」します。

つまり、韓国人の活動家たちも、日本の従来の「保守」も、一見対立しているように見えますが、実際には、両者は、鏡写しのように、類似した方法で慰安婦問題を扱っています。

このアポリヤを抜け出す道は、日本が直面するあらゆる問題と同様、あれかこれかの二項対立をするりとすり抜けて、「第三の道」に果敢に踏み出す以外にはありません。

No title

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/90389#more-90389

皆、これを読んでほしい。

こいつらはやはり頭がおかしいわ。
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