入管法改正に関する事実の整理
千丈の堤も蟻の一穴より。

安倍政権が今年の3月11日に閣議決定をし、5月29日に衆議院で可決した「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」。
参議院法務委員会で審議入りし、その後参議院本会議に提出され、参議院で可決すれば、法案は成立します。
この法改正に関して、「偽装移民法だ」という告発がある一方で、安倍支持者からは、「単なる長期外国人労働者の受け入れに過ぎず、移民ではない」とか、「この法改正を偽装移民法と決めつけるのは事実の歪曲だ」という声が上がっています。
実際には、どうなのでしょうか。
何がどう変わってきたのか、そして何がどう変わっていくのか、あらためて、事実を整理しておきたいと思います。
まず、2009年に麻生政権によって改正され、2012年7月に施行された現行の「出入国管理及び難民認定法」に基づく、現在の在留管理制度を簡単におさらいしておきましょう。
現在、以下の27種類の在留資格が設けられています。
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
---|---|---|
外交 | 外国政府の大使、公使、総領事、代表団構成員等及びその家族 | 外交活動の期間 |
公用 | 外国政府の大使館・領事館の職員、国際機関等から公の用務で派遣される者等及びその家族 | 5年、3年、1年、3月、30日又は15日 |
教授 | 大学教授等 | 5年、3年、1年又は3月 |
芸術 | 作曲家、画家、著述家等 | 5年、3年、1年又は3月 |
宗教 | 外国の宗教団体から派遣される宣教師等 | 5年、3年、1年又は3月 |
報道 | 外国の報道機関の記者、カメラマン | 5年、3年、1年又は3月 |
投資・経営 | 外資系企業等の経営者・管理者 | 5年、3年、1年又は3月 |
法律・会計業務 | 弁護士、公認会計士等 | 5年、3年、1年又は3月 |
医療 | 医師、歯科医師、看護師 | 5年、3年、1年又は3月 |
研究 | 政府関係機関や私企業等の研究者 | 5年、3年、1年又は3月 |
教育 | 中学校・高等学校等の語学教師等 | 5年、3年、1年又は3月 |
技術 | 機械工学等の技術者 | 5年、3年、1年又は3月 |
人文知識・国際業務 | 通訳、デザイナー、私企業の語学教師等 | 5年、3年、1年又は3月 |
企業内転勤 | 外国の事業所からの転勤者 | 5年、3年、1年又は3月 |
興行 | 俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等 | 3年、1年、6月、3月又は15日 |
技能 | 外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機等の操縦者,貴金属等の加工職人等 | 5年、3年、1年又は3月 |
技能実習 | 技能実習生 | 1年,6月又は法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲) |
文化活動 | 日本文化の研究者等 | 3年、1年、6月又は3月 |
短期滞在 | 観光客、会議参加者等 | 90日若しくは30日又は15日以内の日を単位とする期間 |
留学 | 大学、短期大学、高等専門学校及び高等学校等の学生 | 4年3月、4年、3年3月、3年、2年3月、2年、1年3月、1年、6月又は3月 |
研修 | 研修生 | 1年、6月又は3月 |
家族滞在 | 在留外国人が扶養する配偶者・子 | 5年、4年3月、4年、3年3月、3年、2年3月、2年、1年3月、1年、6月又は3月 |
特定活動 | 高度研究者、外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補等 | 5年、4年、3年、2年、1年、6月、3月又は法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲) |
永住者 | 法務大臣から永住の許可を受けた者(入管特例法の「特別永住者」を除く。) | 無期限 |
日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者・実子・特別養子 | 5年、3年、1年又は6月 |
永住者の配偶者等 | 永住者・特別永住者の配偶者及び我が国で出生し引き続き在留している実子 | 5年、3年、1年又は6月 |
定住者 | インドシナ難民、日系3世、中国残留邦人等 | 5年、3年、1年、6月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲) |
(出典: 入国管理局「在留資格一覧表」)
それぞれの在留資格には、それぞれ付与される在留期間が定められています。
2009年に麻生政権が改正した現行の「出入国管理及び難民認定法」には次のように書かれています。
出入国管理及び難民認定法 第二条の二 3
第一項の外国人が在留することのできる期間(以下「在留期間」という。)は、各在留資格について、法務省令で定める。この場合において 、外交、公用及び永住者の在留資格以外の在留資格に伴う在留期間は、 五年を超えることができない。
第一項の外国人が在留することのできる期間(以下「在留期間」という。)は、各在留資格について、法務省令で定める。この場合において 、外交、公用及び永住者の在留資格以外の在留資格に伴う在留期間は、 五年を超えることができない。
つまり、「外交」「公用」「永住者」という三つの在留資格以外の在留資格では、付与される在留期間は最長でも5年でなくてはならないと規定しているのですが、上の表をご覧いただければお分かりのように、実際に「無期限」の在留資格が認められているのは「永住者」のみとなっています。
「外交」「公用」「永住者」の三つをのぞく、通常の在留資格に付与される最長の在留期間は以前は3年だったのですが、麻生政権が改正し2012年7月に施行された現行の「出入国管理及び難民認定法」によって5年に延長されました。
(出典: 法務省入国管理局「新しい在留管理制度がスタート!」)
3年や5年といっても、最初のビザ申請の段階からいきなり最長の在留期間が付与されるわけではなく、多くの場合、最初は長くとも1年間の在留期間が付与され、ビザを更新するごとに問題なく日本で生活していることが在留審査によって確認されることで、より長い在留期間が付与されるようになっていきます。
(出典: 行政書士鈴木澄男氏のホームページ「在留期間・・・期間はどう決まるか?」)
それぞれの在留資格をもつ外国人は、与えられている在留期間が満了する三ヶ月前から「在留期間更新許可申請」を行い、在留期間を更新することができます。
(出典: 法務省「在留期間更新許可申請」)
在留期間を幾度か更新して「最長の在留期間」が認められるようになり、かつ、引き続き10年以上日本に在留すると、今度は「永住者」の在留資格の取得を申請することができるようになります。(「最長の在留期間」は、現行法では「5年」なのですが、2012年7月の改正法施行以降も、移行措置として、従来の「3年」が用いられています。)
つまり、単に在留資格を更新して合計して10年間在留すればいいというわけではなく、問題なく日本で暮らし、幾たびかの在留審査を経て「最長の在留期間」が付与されるようになった品行方正な外国人でないと、「永住者」の在留資格は申請できないということです。
(出典: 法務省「永住許可に関するガイドライン」)
以上が、原則的な規則なのですが、2009年5月に、麻生政権の内閣官房「高度人材受入推進会議」が提言し、2012年5月に、民主党政権によって導入された「高度人材ポイント制」によって、専門職の外国人は、例外的にいくつかの優遇措置が認められるようになりました。
「高度人材ポイント制」とは、専門職につく外国人を、「学歴」、「職歴」、「年収」、「研究実績」などの項目ごとに一定の基準に基づいて評価を行い、ポイントを付与します。その合計ポイントが70点を超えた外国人が「高度人材外国人」に認定されます。「高度人材外国人」には、「特定活動」という在留資格が認められます。(ちなみに「特定活動」という在留資格は、「高度人材外国人」のみに設置されているわけではなく、「高度人材外国人」以外にも、「外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補等」などにもこの在留資格が付与されています。)
「高度人材外国人」に認定されると、下のような優遇措置が認められます。
「外交」「公用」「永住者」の三つをのぞく、通常の在留資格に付与される最長の在留期間は以前は3年だったのですが、麻生政権が改正し2012年7月に施行された現行の「出入国管理及び難民認定法」によって5年に延長されました。
(出典: 法務省入国管理局「新しい在留管理制度がスタート!」)
3年や5年といっても、最初のビザ申請の段階からいきなり最長の在留期間が付与されるわけではなく、多くの場合、最初は長くとも1年間の在留期間が付与され、ビザを更新するごとに問題なく日本で生活していることが在留審査によって確認されることで、より長い在留期間が付与されるようになっていきます。
(出典: 行政書士鈴木澄男氏のホームページ「在留期間・・・期間はどう決まるか?」)
それぞれの在留資格をもつ外国人は、与えられている在留期間が満了する三ヶ月前から「在留期間更新許可申請」を行い、在留期間を更新することができます。
(出典: 法務省「在留期間更新許可申請」)
在留期間を幾度か更新して「最長の在留期間」が認められるようになり、かつ、引き続き10年以上日本に在留すると、今度は「永住者」の在留資格の取得を申請することができるようになります。(「最長の在留期間」は、現行法では「5年」なのですが、2012年7月の改正法施行以降も、移行措置として、従来の「3年」が用いられています。)
つまり、単に在留資格を更新して合計して10年間在留すればいいというわけではなく、問題なく日本で暮らし、幾たびかの在留審査を経て「最長の在留期間」が付与されるようになった品行方正な外国人でないと、「永住者」の在留資格は申請できないということです。
(出典: 法務省「永住許可に関するガイドライン」)
以上が、原則的な規則なのですが、2009年5月に、麻生政権の内閣官房「高度人材受入推進会議」が提言し、2012年5月に、民主党政権によって導入された「高度人材ポイント制」によって、専門職の外国人は、例外的にいくつかの優遇措置が認められるようになりました。
「高度人材ポイント制」とは、専門職につく外国人を、「学歴」、「職歴」、「年収」、「研究実績」などの項目ごとに一定の基準に基づいて評価を行い、ポイントを付与します。その合計ポイントが70点を超えた外国人が「高度人材外国人」に認定されます。「高度人材外国人」には、「特定活動」という在留資格が認められます。(ちなみに「特定活動」という在留資格は、「高度人材外国人」のみに設置されているわけではなく、「高度人材外国人」以外にも、「外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補等」などにもこの在留資格が付与されています。)
「高度人材外国人」に認定されると、下のような優遇措置が認められます。
1. 複合的な在留活動の許容
2. 在留期間「5年」の付与
3. 在留歴に係る永住許可要件の緩和
4. 入国・在留手続の優先処理
5. 配偶者の就労
6. 一定の条件の下での親の帯同
7. 一定の条件の下での家事使用人の帯同
2. 在留期間「5年」の付与
3. 在留歴に係る永住許可要件の緩和
4. 入国・在留手続の優先処理
5. 配偶者の就労
6. 一定の条件の下での親の帯同
7. 一定の条件の下での家事使用人の帯同
通常の在留資格では、最初のビザ申請では長くても1年の在留期間しか付与されないケースがほとんどですが、「高度人材外国人」には、最初から「5年」という最長の在留期間が認められます。
この間、親や家事使用人の帯同も許可されます。
また、5年間の在留期間を満了した後は、「永住者」の在留資格の取得を申請できます。
政府の報告によれば、現在の「高度人材ポイント制度」の利用者の56.7%は中国人とのことです。
(出典: 法務省「高度人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度の見直しに関する検討結果(報告)」)
麻生政権によって改正された「出入国管理及び難民認定法」の問題点として、もう一つ言及しておかなくてはならないのは、入管法改正と同時に「住民基本台帳法」が改正され「外国人登録法」が廃止されたことにより、3ヶ月以上日本に在留する外国人も、日本人と同じように住民票を持つようになり、国民健康保険や国民年金の受給対象となっているという事実です。
このことは、日本において、日本人と外国人の区別は既に実質的に消滅し、「日本に暮らす住民」として、日本人と外国人が同列に扱われていることを意味します。
また、外国人は住民票に「通称名」を登録できます。「通称名」には以前は法的な根拠はありませんでしたが、麻生政権が2009年に改正した「住民基本台帳法」により、外国人の「通称名」には法的な根拠が与えられています。
(参照: WJFプロジェクト「安倍晋三は在日と戦っていない」(2014年5月24日)
以上が、2009年に麻生政権が改正した「出入国管理及び難民認定法」と、民主党政権が導入した「高度人材ポイント制」に基づく現在の在留管理制度なのですが、上記の法改正や規制緩和が既に、移民受入に大きく道を開く「蟻の一穴」であったと言わざるをえません。(「蟻の一穴」どころか「猫の一穴」ぐらいの大きさだったかもしれません。)
自民党と民主党は対立関係にある正逆の政党であるかのように語られてきましたが、麻生政権が改正した入管法が民主党政権によっても修正されることなくそのまま施行されたり、麻生政権が提言した「高度人材ポイント制」が民主党政権によってそのまま実現されていることから、外国人受入拡大や外国人政策の規制緩和に関しては、自民党と民主党は同じ方向を目指しており、単純な対立関係にないことが分かります。
さて、この現行の制度が、安倍政権による今回の「出入国管理及び難民認定法」の改正により、具体的にどのように変わるのでしょうか。
改正の趣旨が次のように明記されています。
この間、親や家事使用人の帯同も許可されます。
また、5年間の在留期間を満了した後は、「永住者」の在留資格の取得を申請できます。
政府の報告によれば、現在の「高度人材ポイント制度」の利用者の56.7%は中国人とのことです。
(出典: 法務省「高度人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度の見直しに関する検討結果(報告)」)
麻生政権によって改正された「出入国管理及び難民認定法」の問題点として、もう一つ言及しておかなくてはならないのは、入管法改正と同時に「住民基本台帳法」が改正され「外国人登録法」が廃止されたことにより、3ヶ月以上日本に在留する外国人も、日本人と同じように住民票を持つようになり、国民健康保険や国民年金の受給対象となっているという事実です。
このことは、日本において、日本人と外国人の区別は既に実質的に消滅し、「日本に暮らす住民」として、日本人と外国人が同列に扱われていることを意味します。
また、外国人は住民票に「通称名」を登録できます。「通称名」には以前は法的な根拠はありませんでしたが、麻生政権が2009年に改正した「住民基本台帳法」により、外国人の「通称名」には法的な根拠が与えられています。
(参照: WJFプロジェクト「安倍晋三は在日と戦っていない」(2014年5月24日)
以上が、2009年に麻生政権が改正した「出入国管理及び難民認定法」と、民主党政権が導入した「高度人材ポイント制」に基づく現在の在留管理制度なのですが、上記の法改正や規制緩和が既に、移民受入に大きく道を開く「蟻の一穴」であったと言わざるをえません。(「蟻の一穴」どころか「猫の一穴」ぐらいの大きさだったかもしれません。)
自民党と民主党は対立関係にある正逆の政党であるかのように語られてきましたが、麻生政権が改正した入管法が民主党政権によっても修正されることなくそのまま施行されたり、麻生政権が提言した「高度人材ポイント制」が民主党政権によってそのまま実現されていることから、外国人受入拡大や外国人政策の規制緩和に関しては、自民党と民主党は同じ方向を目指しており、単純な対立関係にないことが分かります。
さて、この現行の制度が、安倍政権による今回の「出入国管理及び難民認定法」の改正により、具体的にどのように変わるのでしょうか。
改正の趣旨が次のように明記されています。
第一、在留期間に関する規定の整備 高度専門職の在留資格(第十四の一2に係るものに限る。)に伴う在留期間の上限を設けないこと(第二条の二第三項関係)。
(出典:「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案要綱」)
出入国管理及び難民認定法第二条の二 3は、次のように書き換えられています。
出入国管理及び難民認定法(改正案) 第二条の二 3
第一項の外国人が在留することのできる期間(以下「在留期間」という。)は、各在留資格について、法務省令で定める。この場合において 、外交、公用、高度専門職及び永住者の在留資格(高度専門職の在留資格にあつては、別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄第二号に係るものに限る。)以外の在留資格に伴う在留期間は、五年を超えることができない。
第一項の外国人が在留することのできる期間(以下「在留期間」という。)は、各在留資格について、法務省令で定める。この場合において 、外交、公用、高度専門職及び永住者の在留資格(高度専門職の在留資格にあつては、別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄第二号に係るものに限る。)以外の在留資格に伴う在留期間は、五年を超えることができない。
5年を上まわる在留期間が認められる在留資格として、従来の「外交」「公用」「永住者」という三つの在留資格以外に、新しく「高度専門職(第二号)」という在留資格が加わっています。
つまり、「高度専門職(第二号)」という新しい在留資格を設置して、この在留資格をもつ外国人にも、「永住者」と同じ、無期限の在留資格を付与しようというのが今回の改正の大きなポイントです。
「高度人材外国人」に認定される外国人に、新しく「高度専門職(第一号)」という在留資格を付与し、「高度人材ポイント制」と同等の優遇措置が認められます。
(出典: 法務省入国管理局「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の概要」)
次に「高度専門職(第一号)」の在留資格を得た「高度人材外国人」は、3年間の在留歴の後に、「高度専門職(第二号)」という在留資格が取得できます。
この「高度専門職(第二号)」という在留資格は、「永住者」と同じく在留期間は無期限ですが、「永住者」には就労内容に制限がないのに対して、「高度専門職(第二号)」の在留資格を保持する外国人は、あくまで「高度人材」としての活動を継続しなければならないという制限があります。
しかし、そのような制限がある一方で、「永住者」には認められず、現行制度では「高度人材外国人」が「特定活動」の在留資格を保持する期間だけに認められている、両親や家事使用人の帯同という優遇措置が、「高度専門職(第二号)」という無期限の在留資格を手に入れた後も認められるようになります。
なおかつ、現行の「実子・実親条件」は撤廃され、子の養育を名目に帯同が認められる「親」は本当の親でなくともよく、「子」は本当の子でなくともよいというように、条件が大幅に緩和されています。
(出典: 法務省入国管理局「高度人材ポイント制の見直しの概要」)
特に、中国人の在留者は、仲間を本国から呼び寄せてコミュニティーを拡大していくことで知られていますが、現行の「高度人材ポイント制」の利用者の過半数が中国人であるときに、どうして安倍政権は、わざわざ本当の親でない他人であっても帯同できるなどという不可解な規制緩和を行おうとするのでしょうか?
以上をまとめますと、
つまり、「高度専門職(第二号)」という新しい在留資格を設置して、この在留資格をもつ外国人にも、「永住者」と同じ、無期限の在留資格を付与しようというのが今回の改正の大きなポイントです。
「高度人材外国人」に認定される外国人に、新しく「高度専門職(第一号)」という在留資格を付与し、「高度人材ポイント制」と同等の優遇措置が認められます。
(出典: 法務省入国管理局「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の概要」)
次に「高度専門職(第一号)」の在留資格を得た「高度人材外国人」は、3年間の在留歴の後に、「高度専門職(第二号)」という在留資格が取得できます。
この「高度専門職(第二号)」という在留資格は、「永住者」と同じく在留期間は無期限ですが、「永住者」には就労内容に制限がないのに対して、「高度専門職(第二号)」の在留資格を保持する外国人は、あくまで「高度人材」としての活動を継続しなければならないという制限があります。
しかし、そのような制限がある一方で、「永住者」には認められず、現行制度では「高度人材外国人」が「特定活動」の在留資格を保持する期間だけに認められている、両親や家事使用人の帯同という優遇措置が、「高度専門職(第二号)」という無期限の在留資格を手に入れた後も認められるようになります。
なおかつ、現行の「実子・実親条件」は撤廃され、子の養育を名目に帯同が認められる「親」は本当の親でなくともよく、「子」は本当の子でなくともよいというように、条件が大幅に緩和されています。
(出典: 法務省入国管理局「高度人材ポイント制の見直しの概要」)
特に、中国人の在留者は、仲間を本国から呼び寄せてコミュニティーを拡大していくことで知られていますが、現行の「高度人材ポイント制」の利用者の過半数が中国人であるときに、どうして安倍政権は、わざわざ本当の親でない他人であっても帯同できるなどという不可解な規制緩和を行おうとするのでしょうか?
以上をまとめますと、
●通常は10年以上の在留歴がないと「永住者」の在留資格は申請できないが、「高度人材外国人」は5年で申請できる。
●「高度人材外国人」は、親や家事使用人の帯同が認められるが、在留資格を「特定活動」から「永住者」に切り替えた後は不可。
●子どもの養育を名目として帯同できる両親は実親でなくてはならないし、子は実子でなくてはならない。(実子・実親要件あり)
※訂正: 実子・実親要件は、昨年の12月に「高度人材上陸告示」が改正され、既に撤廃されています。
(出典: 高度人材外国人に対するポイント制に係る出入国管理上の優遇制度に関する関係告示の改正について(意見募集)、高度人材上陸告示)
●「高度人材外国人」は、親や家事使用人の帯同が認められるが、在留資格を「特定活動」から「永住者」に切り替えた後は不可。
※訂正: 実子・実親要件は、昨年の12月に「高度人材上陸告示」が改正され、既に撤廃されています。
(出典: 高度人材外国人に対するポイント制に係る出入国管理上の優遇制度に関する関係告示の改正について(意見募集)、高度人材上陸告示)
この現行制度が以下のように変更されます。
●「高度人材外国人」は、3年の在留歴で「高度専門職(第二号)」という新設される在留資格を取得し、無期限の在留期間が付与される。
●現行では「永住者」の在留資格に切り替えた後は不可である親や家事使用人の帯同が、「高度専門職(第二号)」という無期限の在留資格に切り替え後も可能になる。
●子どもの養育を名目として帯同できる両親は本当の両親でなくともよく、子は本当の子でなくともよい。(実子・実親条件の撤廃)
※訂正: 実子・実親要件は、昨年の12月に「高度人材上陸告示」が改正され、既に撤廃されています。
(出典: 高度人材外国人に対するポイント制に係る出入国管理上の優遇制度に関する関係告示の改正について(意見募集)、高度人材上陸告示)
●現行では「永住者」の在留資格に切り替えた後は不可である親や家事使用人の帯同が、「高度専門職(第二号)」という無期限の在留資格に切り替え後も可能になる。
※訂正: 実子・実親要件は、昨年の12月に「高度人材上陸告示」が改正され、既に撤廃されています。
(出典: 高度人材外国人に対するポイント制に係る出入国管理上の優遇制度に関する関係告示の改正について(意見募集)、高度人材上陸告示)
麻生政権と民主党政権による「蟻の一穴」は、「救国政権」と信じられてきた安倍政権によって塞がれるどころか、さらに拡大されているわけですが、
さて、「高度専門職(第二号)」という無期限の在留資格を新しく設置し、無期限の在留資格取得後も、本当の親や子でない他人の帯同を認める今回の「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」の改正は、「移民」受入でしょうか?
それとも安倍支持者が主張するように、「長期外国人労働者」の受入にすぎないのでしょうか?
答えは明白ですが、私たちが直視しなければならないのは、上記の法案が一日で衆議院で可決したことからわかるように、「蟻の一穴」の拡大を阻止しようとする勢力は国会内に全く存在しないという恐ろしい現実であり、マスコミが報じない間にいつのまにか日本人と外国人の区別が取り除かれているという事実であり、「蟻の一穴」の拡大に抵抗しようとする国民の勢力は多くはなく、それどころか、「蟻の一穴」を拡大しようとする安倍グローバル政権をいまだに熱烈かつ盲目的に支持している人々が存在するという絶望的な現実です。
さて、「高度専門職(第二号)」という無期限の在留資格を新しく設置し、無期限の在留資格取得後も、本当の親や子でない他人の帯同を認める今回の「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」の改正は、「移民」受入でしょうか?
それとも安倍支持者が主張するように、「長期外国人労働者」の受入にすぎないのでしょうか?
答えは明白ですが、私たちが直視しなければならないのは、上記の法案が一日で衆議院で可決したことからわかるように、「蟻の一穴」の拡大を阻止しようとする勢力は国会内に全く存在しないという恐ろしい現実であり、マスコミが報じない間にいつのまにか日本人と外国人の区別が取り除かれているという事実であり、「蟻の一穴」の拡大に抵抗しようとする国民の勢力は多くはなく、それどころか、「蟻の一穴」を拡大しようとする安倍グローバル政権をいまだに熱烈かつ盲目的に支持している人々が存在するという絶望的な現実です。
安倍信者のためのワンポイントレッスン1
Q 日本を外国人だらけにしようとする政権を、国民が熱烈に支持したらどうなりますか?
A 日本は外国人だらけになります。
Q 日本を外国人だらけにしようとする政権を、国民が熱烈に支持したらどうなりますか?
A 日本は外国人だらけになります。
(出典: WJFプロジェクト「安倍信者のためのワンポイントレッスン」2014年2月24日)


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