皮を剥ぐアメリカ、肉を食らうロシア、骨の髄に食い込むシナ

冷戦的な二極対立の意識は、もはや、日本を救わない。
※この記事は、旧ブログの記事「皮を剥ぐアメリカ、肉を食らうロシア、骨の髄に食い込むシナ」(2013年1月16日)を再掲したものです。冷戦時代の成功体験を引きずって、いまだに「左翼VS右翼」という二項対立的な意識を刷り込まれたままの人々が、安倍政権の国家破壊に加担しています。
アメリカの侵略は資本を押し立てて行われる「資本による侵略」であり、ロシアの侵略は「武力による領土侵略」であり、シナの展開は「民族移住的な侵略」である。
長野朗(ながの・あきら、1888~1975年)という中国専門家が戦前に執筆し、戦後GHQによる焚書の対象となった書物が、西尾幹二先生により『GHQ焚書図書開封7 ~戦前の日本人が見抜いた中国の本質』として再刊されていますが、その書物からの引用です。

アメリカの侵略は「資本による侵略」であり、支那の展開は「民族移住的な侵略である」という指摘は現在のアメリカや中国にそのまま当てはまるのではないでしょうか。

昨日の記事で、中国の問題に対しては、
アメリカVS中国
という冷戦構造の焼き直しのような二極対立を期待して、アメリカ陣営に日本を組み込むことで日本の安全を確保するという方法はもはや有効でないという持論を述べましたが、この点についてもう少し考察を深めてみたいと思います。

元外交官の孫崎享氏(この方は竹島問題や尖閣問題について、ずいぶん知識を欠いた発言をしており、その意見の全てに賛同できるわけではないのですが)、次のようなことを述べています。
今一度何故安倍首相が米国で不人気か整理しよう

多くの人は安倍首相は米国に大歓迎されると思っていた。

少なくとも自民党はそう思っていた。選挙公約では「外交を取り戻す」の標題の下、「日米同盟強化の下、国益を守る主張する外交を展開します」とうたった。

しかし、どうもおかしいのである。

安倍氏が一月訪米を言っても、オバマ大統領は、「はいどうぞ」と言わない。

それだけではない。

安倍首相批判の声が米国等から聞こえてくるのである。

すでにニューヨーク・タイムズ紙等3つの重要な論評が出た。

ニューヨーク・タイムズ紙は1月2日付の社説で、「日本の歴史を否定する今一つの試み(Another Attempt to Deny Japan’s History)と題して安倍晋三首相が従軍慰安婦問題でのいわゆる「河野談話」を見直す考えを示しているとしたうえで、「日韓関係を悪化させる恐れがある深刻な過ち」と非難した。

また発行部数は約160万部、その約半分を北米、主として米国が占める英国エコノミストは1月5日付で、「国(日本)の危険なほどナショナリスチックな新内閣はアジアが必要とする最後のもの(The country’s dangerously nationalistic new cabinet is the last thing Asia needs)」という論評を掲げた。

また13日NYTで米国の著名な経済学者クルーグマンは「Japan Steps up」の標題で論評を書いているが「自民党勝利は何十年にもわたり日本を間違った方向に導いた”(絶滅)恐竜”の復活と広く見られた。日本通は安倍氏を良い人間(good guy)とみるな、彼の外交政策はすごく悪い(very bad)、景気刺激策はばらまきというなどを紹介している(この論文は日本の財政出動が成功する可能性があることを主目的としているが、その中でワシントンの空気を紹介している中で出てくる)。

どうしてこんなことが起こっているのであろうか。

実はオバマ大統領を誤解している。

オバマ大統領は日本にさして関心がない。多くの懸案に忙殺する中で、日本は米国の産軍複合体を中心とするグループに好きなように任せている。このグループは中国の脅威を売り込み、自衛隊の米軍隷属化、軍備費の増大を目指している。尖閣諸島の緊張もそのために作り出された所がある。

しかし、日本との関係が中国など他国に影響を与えるなら話は別だ。

オバマ大統領は基本的に産軍複合体とは別の方向を目指している。イラク戦争の撤退を実現し、今また国防費の削減を意図している。そのなか、ヘーゲル国防長官を指名し、議会と戦う姿勢を見せている。

こんな中、「集団的自衛権をみなおしますよ、イラク戦争やアフガニスタン戦争に自衛隊を送りますよ」と言ってもオバマ大統領が喜ぶはずがない。

従来産軍複合体を基盤とするジャパンハンドラーが日本を扱ってきた。彼らの言うことが米国と思った。しかし、今日米国にとって中国は極めて微妙な問題である。対中政策については、軍事面で対決を主張する産軍複合体と、協力関係の構築を模索する金融・産業グループの均衡の上にある。日本ごときでこのバランスをこわされてはかなわない。

更に日本の金融政策では円安、財政出動には疑問の声がある。円安は新たな為替戦争に向かう可能性を内蔵している。

米国はちょっと困っているのである。

野田首相のようにすべて丸のみの方が都合がよかった。

「何か変な声が聞こえてくるよ」の戸惑いである。

私は米国から全面的に支持される首相が望ましいといっているわけではない。むしろ批判されるくらいの自主性をもってほしい。

しかし、集団的自衛権など外交・安全保障政策で基本的で従米路線をとり、それを政権の支えとしようとする安倍政権にとってはマイナスであろう。
冷戦体制では、アメリカとソ連の対立は、資本主義と共産主義という絶対的に相容れないイデオロギーの対立に基づいており、米ソは共存することが原理的に不可能な不倶戴天の敵同士でしたが、現在のアメリカにとっての中国は、産軍複合体のように比較的強硬なグループもあるものの、アメリカ全体としては、決して、中国に対して敵対的というわけではなく、むしろ友好関係を維持し、共存共栄の関係を維持したいと願ってます。

アメリカ在住のジャーナリストの冷泉彰彦氏は、アメリカ人のもつ中国観について、2011年に、次のように述べています。
対中強硬姿勢(?)に傾くオバマ、米世論はどうか?

軍事戦略上のアジア重視発言、オーストラリア北部への海兵隊駐留と、オバマ=ヒラリーは対中強硬姿勢を打ち出しているように見えます。では、アメリカの世論は中国に対してどんなムードなのでしょうか?

まず、現在のアメリカは雇用問題に苦しんでいるわけで、政治的にも社会的にも失業率の改善が最優先課題になっています。先週まで全米で続いていた「格差是正デモ」にしても、その要求の核にあるのは雇用、つまり「職寄こせデモ」だったわけです。どうしてアメリカの雇用が失われたかというと、それは空洞化したからであり、その空洞化に伴って雇用が移転していった先として中国が大きい存在だということも広く認識されています。

では、80年代にアメリカが日本のことを「異質論」から見て危険視したような、中国経済脅威論というのはアメリカにはあるのでしょうか? 議会の論戦などを通じた「言葉の綾」としてそうした言い方をする場合はゼロではありません。ですが、中国経済が脅威であり、異質だとか、不公正だというような非難の空気は実はあまりないのです。

というのは、80年代の日本との「貿易摩擦」とは質的に異なるからです。かつての日本は、独自ブランドと独自技術を前面に出して、アメリカのライバル企業を倒して行きました。オイルショック後の低燃費競争に乗じてデトロイトの「アメ車」を斜陽産業に追いやるだけでなく、TV製造というビジネスでは、GEやRCAを追い詰めて「米国産TVゼロ」というところまで持っていったのです。

ですが、現在の米中貿易というのは、例えばアップルが生産を中国企業に委託しているように、ウォールマートなどの量販店が廉価品の仕入先として中国を「世界の工場」として活用しているように、アメリカ側に「ビジネスの敗者」はいないのです。逆に、航空機、自動車、医療機器といったアメリカが競争力を持っている分野については、中国は規模の大きな得意客であるわけです。

その結果として、保守カルチャーの側は、ビジネス界を中心に「ウィンウィン関係」だという認識を強めていますし、今回の共和党の大統領候補選びでジョン・ハンツマンという親中派候補が全米に認知されているということにもなるわけです。

では、中国人や中国系アメリカ人のイメージはどうかというと、これは日本人や日系人に比べて圧倒的に数は多いにも関わらず、存在感は静かです。例えば「顔の見える有名な中国人」というのは、俳優のジャッキー・チェン、バスケットのヤオ・ミン、クラシックのピアニストであるラン・ランぐらいでしょう。カルチャーについて言えば、京劇がたまに公演に来るぐらいですし、中華料理は大変に普及していますが完全にアメリカナイズされており、どちらかと言えば忙しい時に食べる庶民的な食べ物というイメージを持たれています。

周囲を見渡せば、確かに中国系は多いが多くは模範的なアメリカ人だし、中国から来る留学生やビジネス関係の人々も普通に英語を話すので違和感はない、そんなイメージもあります。せいぜいが、「タイガーマム」と言う言葉に象徴されるように、極めて教育熱心な家族が多いということが意識されるぐらいで、取り立てて大きなプラスのイメージも、マイナスのイメージもないように思います。

そんなわけで、中国のカルチャーや人々がアメリカに対して行使している「ソフトパワー」というのは、いわゆる「クールジャパン」現象で日本が持たれているような「プラス」の影響力はない代わり、特段の「マイナス」というイメージも持たれていないように思います。

勿論、南スーダンで見せたような中国の外交姿勢、特にロシアと組んで米欧の動きの足を引っ張るような行動パターンには、かなり頭に来ている人もいますが、そうした声の多くは「ニュース中毒」の一部の人々であり大都市の民主党支持者が中心です。また、中国が「反テロ」の錦の御旗に公然と反抗したり、アメリカの警戒している核拡散に甘い姿勢を取るようですと、アメリカの世論は硬化する可能性は勿論あります。ですが、今現在の動向としては、そうした臨界点はまだまだ先と思います。

そんなわけで、平均的なアメリカ人の対中イメージというのは、非常に冷静だということが言えると思います。対中イメージが冷静であればこそ、オバマ=ヒラリーは南シナ海を舞台に「節度ある冷戦もどき」のゲームが可能になるということが言えます。

その「節度」ということについて言えば、今回ヒラリーがミャンマーを電撃訪問したあたりに見て取ることができます。ミャンマー軍事政権がスー・チー女史の復権を認めたり、軟化を見せている背後にはスポンサーである中国の意志があるわけですが、ヒラリーがミャンマーを訪問したというのは、中国の合意の下で進んでいる「軟化」を評価するという姿勢がハッキリあるわけです。

つまり、中国を全面的な「封じ込め」の対象として見ているのではなく、様々な面で国際的なルールに則した行動をというメッセージを中国に対して送り続ける、それがオバマ=ヒラリーの立場だということなのです。アメリカの対中国戦略は、冷静な世論に支えられた原則論が中心であり、危険なレベルまで緊張が拡大するという可能性は少ないと思われます。

冷戦の時、アメリカがソ連から核の傘で日本を守ってくれた、そのときの成功体験が、私たちの意識の中に染み付いており、今回も、アメリカが中国から日本を守ってくれることを期待しがちですが、以上のように、それほど反中的ではない米国の世論を考慮にいれても、
アメリカVS中国
といった冷戦構造に似た二極対決を期待し、アメリカに経済的な利益を差し出すことと引き換えに、日本を守ってもらおうとすることがもはや有効な策ではないことは、明らかであると思います。

対米従属的な日米関係を維持していくことが、今後、長期的には、日本の国益につながらないもう一つの理由として、中国による「民族移住的な侵略」という点が挙げられます。現在、中国系アメリカ人の数は、380万人。アメリカの人口の約1.2%に過ぎませんが、この数は、10年で約100万人ずつ増えてきています。今後も中国系アメリカ人の数は増え、それに従いアメリカの要職に就く中国系アメリカ人の数もじわじわと増えていくことでしょう。それにともない中国本土とアメリカのつながりも深まりこそすれ、敵対的な関係にはますますなりにくくなっていくでしょう。

ちなみに、韓国系アメリカ人の数は、170万人。10年で35万人増えました。一方、日系アメリカ人は、76万人。この数は年々減少してきています。1945年ごろのアメリカの白人アメリカ人の比率が約90%を占めていたのに対し、現在は72%まで減少しています。現在でさえ、中国系、また韓国系アメリカ人がアメリカで展開する反日プロパガンダに私たちは悩まされているわけですが、中国人や韓国人の人数が今後増加していくにつれて、アメリカが反日国家化していく傾向は今後ますます強まっていくと思います。

移民国家であるアメリカやカナダやオーストラリアが、多かれ少なかれ中国化していくのは時間の問題であり、私たちがアメリカやオーストラリアのつもりでつきあっていたこれらの国が、いつのまにか「中国」になっているという可能性は、50年や100年という時間のスパンで考えるならば十分起こりうる現実であると思います。そのとき日本を待っているのは、中国人による「民族移住的な侵略」によって、いつのまにか「中国」と化した「アメリカ」や「オーストラリア」によって、東からも西からも南からも囲い込まれているという笑えない未来です。この点からも、中国の脅威を理由に、アメリカへの傾斜を強めていく戦略が有効でないことは明らかであると思います。
アメリカVS中国
このような単純な二極対立を期待する人たちは、アメリカ自体が中国化しつつあるという現実をどのように理解しているのでしょうか。50年後、100年後までの人口動態を考慮に入れているでしょうか。

次第に中国の一極支配が進んでいくであろう、これからの世界情勢の中では、二極対立ではなく、
一極VS多極
という構図を描き、これを保持することが周辺諸国としては必須の課題であり、そのために日本に求められるのは、対米従属的な悪しき外交慣習を捨て、二項対立的な図式で中国を煽ることなく、平和裏に粛々と軍備の増強を押し進めること、そしてアメリカにも中国にも加担することなく、中立的に、静かにしかし毅然として立ち続けるのに必要十分な核武装も含めた武力を手に入れ、国家としての独立をなるべく早い段階で実現すること、国家としての障壁を取り外すのではなく逆にこれまで以上に高くしていくことであると思います。

そのためには、いかに私たちが、戦後体制的な対米従属の意識、また冷戦構造的な二極化した世界を描こうとする意識を抜け出して、独立国の国民としての気概をとりもどすことができるかにかかっていると思います。

日本には中国にない多くの美徳と長所がありますが、一つだけ中国にあって日本が決定的に欠いているものがあります。それは国家としての独立です。
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