「戦後体制」とは何か(1)

政権発足直後から、はっきりとその傾向は現れていた。
※この記事は、旧ブログの記事「「戦後体制」とは何か(1)」(2013年1月3日)に少し修正を加えて再掲したものです。安倍政権発足直後から、安倍政権の掲げる、ダブルバインド的な矛盾した言葉や政策に不信感をもっている様子が伝わってきます。その後、このダブルバインド的な異様な話法が、保守言論人全般に蔓延していることに気づくようになります。またこの頃は、自民党の中に少しは愛国的な政治家がいるだろうと期待していましたが、その期待も後に裏切られるようになります。

かねがね日本の政治家には三つのタイプがいると思っています。

1. 愛国者
2. バカ
3. 売国奴

比率からいえば、1: 5: 4ぐらいでしょうか。正確な数字はわかりません。

国を守ろうという気概と情熱をもった「1. 愛国者」と呼ばれうる政治家は、自民党の中にも外にもいらっしゃいます。しかし、残念ながらその数は非常に少なく、日本の政界には「2. バカ」や、「3. 売国奴」という二つの「」があふれかえっています。これが日本の現状です。

政治家は国民の鏡ですから、国民が愚かであり、自分の利益のことしか考えないならば、政治家の間にこの二つのタイプが蔓延しても、私たちは一方的に彼らを非難することはできません。

愛国的な政治家が増えるためには、私たちが日本のことを愛し、広く深く学び、ものごとを疑い、真剣に考えなければなりません。その度合いに応じて有能で愛国的な政治家の数もこれからもっともっと増えていくはずです。

さて、安倍首相は、この三つの類型のどこに属するでしょうか。

安倍首相は、「戦後体制の脱却」というすばらしい愛国的なスローガンを掲げてくださっています。しかし、その一方で「TPP参加」をほのめかしておられます。「道州制の導入」に至っては、自民党の政策集にはっきりと明記されています。

一体、戦後体制から脱却することと、TPPに参加して日米の国境を実質的に取り除き、アメリカの州制度に似た制度を日本に導入することは、論理的に矛盾したあべこべの事柄だと思うのですが、安倍首相はこの矛盾に気づいておられないのでしょうか。

気づいていないのならば、安倍首相は「2. バカ」ということになります。

気づいていながら、おっしゃっているなら、かなり悪質な「3. 売国奴」ということになります。

安倍首相は、

聖域なき関税撤廃という前提条件が変われば、当然参加ということも検討の視野に入ってくる。これは論理的帰結だろう

(出典: 産経ニュース 2012年12月31日)

とおっしゃっています。

安倍首相は、TPPが関税の問題だけではない。実質的に参加国の国境を取り除くものであり、「国民国家」としての日本のあり方を終焉させてしまうものであるという事実を御存知ないのでしょうか。

総理大臣の立場にありながらこんな基本的なことも御存知ないのであれば、残念ながらこの人は「2. バカ」ということになります。

知っていながら、「聖域なき関税撤廃という前提条件が変われば、当然参加ということも検討の視野に入ってくる」などと言っているのであれば、やはり、この人物は悪質な「3. 売国奴」ということになります。

いずれにせよ、「TPP参加」や「道州制導入」などという政策を恥ずかしげもなく掲げているこの政党や総理大臣のことを、「1. 愛国者」などと呼ぶことは、間違っても私自身にはできません。

私がこの人物を正真正銘の「1. 愛国者」と認定する日がくるとしたら、この人物が「TPPには参加しないこと」、「道州制など導入しないこと」をはっきり国民に対して明示し約束する日が訪れたときです。その日が来たら、私は、この人物のことを「バカ」だの「売国奴」だのと呼んだことを皆様の前できちんと謝罪し、「愛国者」として信頼し、この政権を心から支えていきたいと思います。残念ながら、今はまだその段階ではありません。この政権と政党が「TPP」だの「道州制」だのを政策として掲げ続ける限り、私は何度でも、皆様に危惧の念を申し上げ警鐘を鳴らさざるを得ません。

この人物が、「戦後体制の脱却」を唱えながら、その一方で「TPP参加・道州制導入」をほのめかすこと。これがどれほど恥知らずな矛盾したことであることを理解するために、私たちはそもそも「戦後体制」とは何なのか、そこから脱却するとは具体的に何を意味するのかを何回かに分けて、改めて整理しなおしてみたいと思います。

今回は、一つのアメリカの公文書からの引用を皆様にお示します。

1945年11月3日、終戦後アメリカによる日本の占領統治が始まってまだ間もない頃、アメリカ本土から、連合国最高司令官ダグラス・マッカーサーの元に送られた、日本の占領をめぐる方針を記した司令文書です。そこには次のように記されていました。

J.C.S 1380/15, BASIC DIRECTIVE FOR POST-SURRENDER MILITARY GOVERNMENT IN JAPAN PROPER

4.e. By appropriate means you will make clear to all levels of the Japanese population the fact of their defeat. They must be made to realize that their suffering and defeat have been brought upon them by the lawless and irresponsible aggression of Japan, and that only when militarism has been eliminated from Japanese life and institutions will Japan be admitted to the family of nations. They must be told that they will be expected to develop a non-militaristic and democratic Japan which will respect the rights of other nations and Japan's international obligations. You will make it clear that military occupation of Japan is effected in the interests of the United Nations and is necessary for the destruction of Japan's power of aggression and her war potential and for the elimination of militarism and militaristic institutions which have brought disaster on the Japanese. With this end in view, and to insure the security of the troops, a policy of non-fraternization may be applied in Japan if and to the extent that you may deem it to be desirable. Your officers and troops, however, should so treat the Japanese population as to develop confidence in the United States and the United Nations and their representatives.

J.C.S 1380/15, 降伏後の日本本土軍政のための基本司令

第四項(e) 適切な手段により、あらゆる階層の日本人に、彼らの敗北の事実を認識させよ。日本人に、彼らの苦難と敗北は、無法かつ無責任な日本の侵略によって引き起こされたこと、また、軍国主義が日本人の生活と制度から除去されたときはじめて、日本が国際社会に受け入れられることを理解させなくてはならない。他の国々の権利や日本の国際的な義務を尊重する非軍国主義的で民主的な日本を発展させることが期待されていることを日本人に告げなくてはならない。日本の軍事占領は、連合国の利益のため、日本の攻撃能力と潜在的戦争遂行能力の解体のため、また、日本人に惨禍をもたらした軍国主義と軍国主義的諸制度の除去のため必要であることを認識させよ。この目的のため、また部隊の安全を確保するため、もし貴君が必要と思われる場合は、日本において交歓禁止令が採用されなくてはならない。しかし、貴君の部下や部隊は、日本人が、合衆国と連合国また代表者たちを信頼するように取り扱わなくてはならない。

今日はこの資料の紹介にとどめ、次回に続きます。
*
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

WJFプロジェクトについて
ご寄付のお願い
作品リスト
政治的立場
WJFプロジェクトは、日本の主権、伝統、国柄を守る保守的な観点から、安倍政権が推し進めるTPP参加、構造改革、規制緩和、憲法改正、安保法制、移民受入などのグローバル化政策に反対しています。
TPP交渉差止・違憲訴訟の会
YouTube
WJFプロジェクトの動画作品は以下のYouTubeのチャンネルでご覧になれます。

お知らせ
アクセス・カウンター


今日の一言
蓮舫の二重国籍問題のジレンマ

違う入り口を選んだハズなのに、ドアを開けると、同じ出口につながっている。
最新記事
コメント
<>+-
アーカイブ


RSSリンク
RSSリーダーに下のリンクを登録されると、ブログの記事やコメントの更新通知を受け取ることができます。