量的金融緩和バブル終了へ

ダウ、史上最大の下げ幅を記録。
昨年の元旦、私は次のように記しました。

安倍支持を煽り立てた政治評論家もまったくいい加減ですが、昨年12月のFEDの金利引き上げ後も、株高・ドル高という景気の楽観論を煽り立てている経済評論家も相当いい加減であり、彼らは、拡大する日米の金利差がドル高をひきおこし、ドル高が株高を引き起こすと主張するのですが、リーマンショック後の景気回復と株価の上昇が、長期的なゼロ金利・金融緩和政策によってもたれされたものであるという単純な事実を無視しています。

FEDは、すでに遅きに失したと言われている金利引き上げを余儀なくされている一方、金利の上昇とドル高はアメリカの実体経済に強い引き締め効果を及ぼします。また、「トランプ相場」に付随して生じた長期金利の上昇は、株のような投機的な資産から、債券や金といった安全性の高い資産への資金の移動を引き起こす可能性があり、すでにそのような動きが一部で観測されています。

FEDは、長期金利の急速な上昇を抑えるために、日本やヨーロッパの金融緩和政策の継続に期待せねばならず、そのためにドル高容認のメッセージを出さざるをえない一方で、政策金利引き上げとドル高が、アメリカ経済にもたらす引き締め効果も当然理解していることでしょう。しかし、ドル高を招いてでも、今、金利を引き上げておかないと、FEDは将来のバブル崩壊の際に講ずる対策手段を失うというジレンマに立たされています。

(「アメリカが、国内の自動車業界などからあげられているドル高牽制の要求を無視してでも、ドル高・円安を容認しているのは安倍外交の成果だ」と述べる経済評論家もいますが、そうではなく、日本やヨーロッパが金融緩和をやめて利上げに転ずれば、アメリカの長期金利が上昇し、バブル崩壊の引き金を引いてしまうことをアメリカ政府が認識しているからだと考えるべきです。「親切にドル高を容認してくれている」のではなく、金利引き上げという逃げ道をアメリカが着々と準備する肩代わりに、アメリカの長期金利抑制のために、マイナス金利という、逃げ場のないどん詰まりの金融緩和政策を続ける損な役回りを日本が引き受けさせられているのです。)

また、大型減税と財政出動というトランプ政権の掲げる財政政策は、低金利での資金調達を前提とするため、FEDが今後も推し進めようとしている政策金利引き上げとは真っ向から対立します。

これらのジレンマが飽和に達するきざしは、1月20日のトランプ大統領就任前に、すでになんらかの形で表出するかもしれません。

バブル崩壊が時間の問題であるならば、トランプは、自分の大統領就任後にバブルが崩壊して支持率を下げるよりも、就任前にバブルが崩壊したところに、颯爽と経済の救世主として自分が登場する方が望ましいと考えているはずだからです。

株価は暴落し、アメリカは再び、金利引き下げどころか量的緩和をも復活させなくてはならなくなり、ドル・円相場が再び100円を割る、円高・ドル安の時代がやってきます。

リーマンショック後の世界的な金融緩和と景気回復の流れを前提とし、その中に組み込まれていたアベノミクスは、その前提を失って完全に崩壊し、安倍政権の支持率も大きく低下することでしょう。

リーマンショックの時と異なるのは、ヨーロッパはいまだ金融緩和政策を続けており、アメリカもまだ低金利の状態からしっかりと抜け出してはいないため、バブルが崩壊しても、リーマンショックの時には功を奏した量的緩和政策が、景気回復の特効薬としてはもはや役に立たないことです。中でも打つ手を完全に奪われているのは、マイナス金利という金融緩和政策の最先端をひた走っている日本です。

深刻な景気後退とナショナリズムが世界を覆う、不穏な時代がやってこようとしています。

大変な危機を迎える一年ですが、同時に、日本人が惰性としてひきずってきた従来のパラダイム(自民党の一党独裁)を一掃して、ゼロから新しい時代を組み上げるチャンスの年でもあります。

(出典: WJFプロジェクト「2017: バブル崩壊の一年」2017年1月1日)

リーマンショック以来、アメリカ、イギリス、欧州、日本で行われた量的緩和政策の結果、右肩上がりで上昇を続けてきた株価ですが、ダウ平均株価が、本日、市場最大の下げ幅を記録して、取引を終了しました。

(現在の株価が大幅に上昇しているため「下げ幅」では今回が史上最大ですが、「下げ率」では過去にもっと大きな暴落が起きています。)

米国株、急落 ダウ1175ドル安で史上最大の下げ幅、調整局面入りとの見方

5日の米株式相場は急落した。ダウ工業株30種平均は大幅に3日続落し、前週末比1175ドル21セント(4.6%)安の2万4345ドル75セントと昨年12月8日以来ほぼ2カ月ぶりの安値で終えた。下げ幅は史上最大となり、指数の全構成銘柄が下げた。米長期金利の急速な上昇が投資家心理を冷やし、相対的に運用リスクが高い米株の持ち高を手じまう売りが膨らんだ。

ダウ平均は朝方から大幅に下げて始まった。米長期金利の指標である10年物国債利回りが5日未明に一時2.88%と前週末から水準を切り上げた。金利上昇で企業の資金調達コストが増すうえ、個人消費も抑制し米景気の足かせになるとの警戒感が広がった。投資家が運用リスクを回避する姿勢が急速に強めた。

9年近く続いた米株式相場の上昇が「調整局面に入った」との見方が広がり、幅広い銘柄に利益確定や手じまいの売りが膨らんだ。航空機のボーイングや建機のキャタピラーなどが下落した。前週末に発表した四半期決算で1株利益が予想に届かなかったうえ、原油価格が下落したのを受けシェブロンやエクソンモービルなどエネルギー株も大幅に下落した。

(出典: 日経新聞2018年2月6日)

ダウの下落の要因は、日経新聞の記事も述べているように、アメリカ長期金利の上昇です。

世界に先駆けて金融緩和の終了に踏み切ったアメリカの中央銀行、連邦準備理事会は、昨年、三回の政策金利(短期金利)の引き上げを行いましたが、アメリカ長期金利は、政策金利と歩調を合わせて上昇せず、むしろ下落していました。

政策金利の引き上げにも関わらず、アメリカの長期金利が低く抑えられてきたのは、アメリカ以外の国、欧州や日本の中央銀行が金融緩和を続けていたためです。

アメリカ長期金利が低水準で推移しつづけために、「ゴルディロックス相場」と呼ばれる、 景気が過熱も冷却もしないほどよい金融環境となり、アメリカ株を筆頭に、世界の株価は、昨年、大きな調整を受けることのないまま上昇を続けました。

ところが、昨年秋になって、欧州中央銀行が量的金融緩和の縮小を発表。日本銀行は、黒田総裁が金融緩和の継続を言葉では表明しているものの、市場は、黒田総裁の言葉を鵜呑みにはせず、日本の早期の金融緩和終了を織り込み始めたため、今年になって、アメリカの債券価格が下落し、長期金利が、株価にとっての危険水域と言われてきた2.7%を超えて、上昇を続けました。

これが、今回の大幅な株価の調整の要因です。

今回の株価の下落がどれほどの余波をもたらすかは、まだ未知数ですが、リーマンショック時と異なり、アメリカを除く世界各国が、金融緩和の状態から脱さないままバブルが崩壊すれば、各国の政府や中央銀行は打つ手がなくなり、世界経済が深刻な不況を招く可能性もあります。
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