野生と文明の相克の物語(2)

南京虐殺動画シナリオ原案(2)
2. 「野生」と「文明」との絶え間なき抗争
生物が、自然環境によりよく適応しようとすることによって、様々な種に分岐してきたのと同じように、人類は、様々な自然条件の中で生活を営みながら、各地の風土に合致した多種多様な文化や習俗を発展させ、また継承してきた。「野生」に根ざして生きる人類の社会集団は、元来は、多元性・多様性を志向する。

しかし、同時に、すべての人類が抱えもつ理性や合理性は、自然の中に埋蔵されている富を最も効率的な方法で獲得するために、相互の文化的差異を踏み越えながら、一元的な普遍的世界を実現しようとする。統一されたシステムの中に、多様な「野生」を巻き込み、呑み込みながら、自然を支配し管理する普遍的秩序を確立し、拡大させようとする、この力や志向性のことを「文明」と呼ぶ。

人類は、一元的な普遍的秩序を志す性向と、多元的な世界の中に留まろうとする性向の二つを併せ持つ。

それゆえに、人類の歴史を通じて、「一元的な世界」に向かおうとする「文明」の力と、「多元的な世界」の中に留まろうとする「野生」の力とが、互いに尽きることのない闘争を繰り返してきた。

統一的な秩序が誕生しては分裂し、分裂しては再度統一的な秩序を構築しようとするプロセスを、人類は幾度となく反復してきたのである。

紀元前後、ユーラシア大陸の東端で、漢という統一的な「文明」圏が成立した時代、同じ大陸の西端では、ローマ帝国が、一元的な統治システムを完成させていた。

「文明」に根ざすその帝国は,ゲルマン民族という「野生」の侵入によって崩壊した後、現代のヨーロッパ各国の祖型ともなった、いくつかのゲルマン系諸国家へと分裂した。

ローマ帝国という政治的な統一システムを崩壊させたゲルマン系の「野生」の諸国家は、「野生」に留まるよりも、むしろ、「文明」圏の一部たることを願い、皇帝の権力に置き換わる、普遍的(カトリック)教会の権威を受容し、その精神的な統一システムの中に自ら率先して組み込まれることで、いわば「飼い慣らされた野生」(The tamed wild)へと変貌を遂げ、中世西ヨーロッパの一元的な統一世界の実現に力を貸した。

しかし、カトリシズムという普遍的システムによって覆い被された根底に横たわる始原の精神へと遡ろうとするルネサンスや宗教改革の勃興によって、中世の統一的世界は崩壊し、政治的権力を強化したそれぞれの王の下で、ヨーロッパは再度分裂し、互いに覇権を競い合い、新大陸やアジアやアフリカのような世界の他地域へと進出しては、そこに生きる「野生」の人々を支配し、殺戮し、改変し、傀儡とし、奴隷とし、簒奪するようになっていった。

こうして、元来、人類がその理性の力によって自然の中に埋蔵されている富を効率的に引き出すための合理的なシステムだった「文明」は、自然のみならず、自然に根ざして生きる人々をも客体として支配する力へと肥大化を遂げ、ヨーロッパの内部で戦われてきた「文明」と「野生」との闘争の最前線(フロンティア・ライン)は地球規模へと拡大し、ヨーロッパ人と世界各地の原住民との間で、よりラディカルな形で戦われるようになっていったのである。
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

WJFプロジェクトについて
作品リスト
政治的立場
WJFプロジェクトは、日本の主権、伝統、国柄を守る保守的な観点から、安倍政権が推し進めるTPP参加、構造改革、規制緩和、憲法改正、安保法制、移民受入などのグローバル化政策に反対しています。
TPP交渉差止・違憲訴訟の会
YouTube
WJFプロジェクトの動画作品は以下のYouTubeのチャンネルでご覧になれます。

お知らせ
アクセス・カウンター


今日の一言
野生と文明の相克の物語(3)

日本人が、遅ればせながら、「帝国主義」という名の「文明」の所作を、アメリカ人やイギリス人から学び、まねるようになるはるか以前から、アメリカはその建国のはじまりよりすでに「帝国主義」をその本質として標榜する国家だったのである。
最新記事
コメント
<>+-
アーカイブ


RSSリンク
RSSリーダーに下のリンクを登録されると、ブログの記事やコメントの更新通知を受け取ることができます。