移民自由化への起爆剤としてのTPP

日本は一年で永住権が取得できる国になった。
WJFプロジェクトは、これまでTPPが移民自由化であることをお伝えしてきました。

WJFプロジェクト: 「TPPは移民自由化である」(2015年9月6日)
WJFプロジェクト: 「アメリカはTPPをどう見なしているか(6)」(2016年11月8日)

WJFプロジェクトの主張に対して、「それはデマである。TPPは移民自由化を含んでいない」と批判される方がいました。下の記事は、その批判に対するコメントを記事として再掲したものです。 論点を要約すると、TPP協定文には「移民を自由化しよう」と明示的に定めた条項は存在しません。むしろ、TPP協定文は、労働力の「Temporary(一時的な)」移動について定めたものであることを強調しているように見えます。しかし、それにも関わらずTPPは「実質的に」移民自由化への道を開くものであると、TPPに反対するアメリカの保守層の人々によっても、また逆にTPPを推進する経団連や安倍政権によっても解釈されてきました。また、実際に、TPPを推進してきた安倍政権は、TPP推進と並行して、高度人材の永住権取得の条件となる滞在年数を従来の5年からわずか1年へと短縮し、移民自由化への扉をこじ開けつつあります。


>とりあえず、貴方は「TPPは無制限の移民を含んでいる」と吹聴していたはずですが。

では、TPPが移民の自由化を含むという主張が単なるデマなのか、事実なのか、調べていきましょう。

まず「移民」の定義を明確にしておきましょう。国際連合広報センターのHP上にある「難民と移民の定義」というページによれば、国連経済社会局による移民の定義は次の様なものだそうです。三ヶ月以上「定住国の変更」した人々は、国連によって「移民」と見なされています。

移民

国際移民の正式な法的定義はありませんが、多くの専門家は、移住の理由や法的地位に関係なく、定住国を変更した人々を国際移民とみなすことに同意しています。3カ月から12カ月間の移動を短期的または一時的移住、1年以上にわたる居住国の変更を長期的または恒久移住と呼んで区別するのが一般的です。

―国連経済社会局

(出典: 国際連合広報センター「難民と移民の定義」)


では政府自民党は「移民」をどのようなものと解釈してきたでしょうか。2008年6月、自由民主党・外国人材交流推進議員連盟が作成した「人材開国!日本型移民政策の提言」によれば「移民」の定義はつぎのようなものとされています。

【日本が受け入れる移民のカテゴリー】

1 高度人材(大学卒業レベル)
2 熟練労働者(日本で職業訓練を受けた人材)
3 留学生
4 移民の家族(家族統合の権利保障)
5 人道的配慮を要する移民(難民、日本人妻等北朝鮮帰国者、その他日本が人道上受け入れを考慮すべき人々)
6 投資移民(富裕層)

(出典:自由民主党・外国人材交流推進議員連盟「人材開国!日本型移民政策の提言」2008年6月)


TPPに参加するように日本政府に圧力をかけてきた経団連は、TPPを移民の自由化であると理解してきました。

経団連会長、TPP「人口減少で影響、移民奨励すべき」

日本経団連の米倉弘昌会長は8日の定例記者会見で、環太平洋経済連携協定(TPP)に関連して「人の流れが変わり、必ずや労働力や需要を作り出す消費人口の減少という影響を受ける」と指摘した。その上で「補強のためには移民しかない。移民法がないのは先進国の中で日本だけと言われており、長期的な安定のために日本に忠誠を誓う移住者をどんどん奨励すべきだ」との持論を主張した。

(出典: 日経新聞 2010年11月8日)


TPP協定文第十二章のタイトルが、"Temporary" ENTRY FOR BUSINESS PERSONSと銘打たれているにも関わらず、TPPが移民の自由化を含むと解釈しうる論拠を、共和党のアメリカ上院議員であり、トランプ大統領によって第84代アメリカ合衆国司法長官に任命されたジェフ・セッションズが次の様に演説しています。(あなたも英語に堪能のようですから翻訳は不必要でしょう。)ジェフ・セッションズによる、推論はもっともなものであると思います。

Sessions Warns Against Ramming Through Unpopular Trans-Pacific Partnership
https://www.youtube.com/watch?v=-rT5svvp9T8 (動画は現在削除されています)

TPPを推進してきた安倍晋三が、昨年9月に次の様に語り、「TPPは、移民拡大へ改革を進める起爆剤になる」という趣旨の発言を行っています。

「ここニューヨークで活躍している皆様のような方が、日本でも力を発揮している事例が増えています。プロフェッショナルとして日本に滞在している外国人は、直近の3年間で2割増加しています。こうした動きを加速化するよう、世界最速級の「日本版高度外国人材グリーンカード」を創設します。

(中略)

TPPは、このような改革を進めるための起爆剤です。」

(出典: 首相官邸HP「対日投資セミナー安倍総理スピーチ」2016年9月19日)


安倍晋三は同じく2016年9月、ニューヨークで金融関係者に対して次の様に語り、「日本を世界最速で移住権を得られる国にする」と約束すると共に、このような「開放性」とTPPを結びつけて論じています。

2点目は「開放性」です。申し上げます。日本は「開放性」を推進する立場です。貿易自由化を推進する立場です。そして投資の自由化を推進する立場です。例えば、一定の条件を満たせば、日本は世界最速級のスピードで永住権を獲得することができる国になります。現在、詳細の詰めを行っています。乞う御期待です。最も重要な課題は、もちろん、TPPです。皆様、私たちは、できるだけ早い国会承認を求めていきます。それは、TPPが、自由で、公正で、開かれた貿易に貢献するからです。

(出典: 首相官邸HP「安倍総理と金融関係者との対話」 2016年9月21日)


TPPは頓挫しましたが、安倍晋三が約束したとおり、日本では、今年の3月から、外国人はわずか1年で永住権が取得出来るようになります。

外国人の永住権、最短1年で付与へ 高度人材の確保狙う

研究者や企業経営者など高い専門性を持つ外国人が最短1年で永住権を取得できる「日本版高度外国人材グリーンカード」が3月から始まる。現在は5年間日本で暮らせば永住許可を申請できるが、学歴や年収などを点数化し、条件を満たした場合は取得に必要な在留期間を短縮する。1年での永住権取得は国際的にも最短クラスで、獲得競争が激しくなっている外国人の人材を呼び込む狙いだ。

(出典: 朝日新聞 2017年1月18日)


以上の点から、TPP協定文の「Temporary」の一語をもって、「TPPが移民自由化をもたらす」可能性を否定し、「TPPと移民自由化は無関係である」と主張することはあきらかな虚偽であると判断します。
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