バーニー・サンダースTPP反対演説(テキスト版)

サンダースの言葉の力と、日本人の非力。
WJFプロジェクトが日本語字幕をつけた、バーニー・サンダースによるTPP反対演説が共感や反響を呼んでおり、ツイッターやFacebookで様々な方たちが動画を拡散して下さっています。




「ネトウヨ」と呼ばれる人たちが多数を占めるニコニコ動画政治カテゴリーに転載していただいた同じ動画にも、

「左派は嫌いだが、この人には惚れる」
「TPP賛成だったが考え変わった。ありがとう。」
「TPPの説明で一番判りやすかった、うpありがとう。」


というような好意的なコメントばかりが寄せられており、サンダースを批判するコメントはほとんど見られません。

「ネトウヨ」をも黙らせる、バーニー・サンダースの言葉がもつ力はどこからくるのか。

サンダースは、2010年にオバマ政権が、投資税や相続税を減免する富裕層を優遇した「ブッシュ減税」の延長を決めたときにも、八時間半に及ぶ有名な反対演説を行っています。

アメリカ上院では、伝統的に、少数派が、多数派が目指す法案成立に抵抗する手段として「フィルバスター」(議事妨害)と呼ばれる方法が認められています。

「フィルバスター」とは、議員が長時間演壇を占有して演説を続けることであり、トイレにいったり、座ったりしないかぎり、上院議員は体力の続く限り何時間でも演説を続けることを認められています。

また、演説内容にも制約がないため、審議内容とは無関係なシェークスピアや聖書をひたすら朗読し続けるケースもあるそうです。

しかし、バーニー・サンダースは、中身のない無関係な書物の朗読ではなく、「ブッシュ減税」や、その根底にあるサプライサイドに立つ新自由主義や、グローバリズムの悪弊を、資料を用いながら自分の言葉で切々と語り続けることによって、八時間半に及ぶ「フィルバスター」を行いました。

下の動画が、その時のサンダースの八時間半の演説を収めた動画であり、


このときの演説は、その後、「歴史的なフィルバスター」という副題をもつ本としても出版されました。

Bernie Sanders, "The Speech: A Historic Filibuster on Corporate Greed and the Decline of Our Middle Class"
(バーニー・サンダース『ザ・スピーチ: 企業の欲望と中間層の衰退をめぐる歴史的なフィルバスター』)

このように、サンダースの言葉は彼の強い信念から発せられたものですが、今回多くの人たちが共感を寄せてくださっているサンダースの反TPP演説には、真新しい情報は何も含まれてはいません。

語られているのは、数年前から様々な日本人が口を酸っぱくして警告してきたことと、同じ内容の事柄です。

しかし、これまで日本人の警告の声には、「TPPに反対するのは左翼だ」「TPPに反対するのは反米だ」「TPPに反対するのは陰謀論者だ」と言って耳を貸さなかった人たちが、サンダースの言葉に共感を示す。

これもひとえに、サンダースの言葉がもつ強い説得力のためとは思いますが、これはうれしいことでもあり、同時に残念なことでもあります。

日本人が、外国の権威の力を借りずには物事の是非を自ら主体的に判断ができない、外国人の偉い人に言ってもらわないと正しい考えを自分の力で形成できない人々であるとしたら、それは、ゆゆしい状況であるからです。

それでも、TPPの危険性に関する理解が広まっていくこと自体は歓迎すべきことですし、今は、どんな手段を使ってもTPPの危険性を周知していかなくてはならないと思いますので、引き続き動画をご活用ください。

また、サンダースの演説の日本語訳のテキストも掲載しますので、こちらもご活用ください。

(文章として読みやすくするために少し変更している部分もあります。)

バーニー・サンダースTPP反対演説
「TPPに反対する四つの理由」


2015年5月14日アメリカ連邦議会上院


ユタ州出身の私の友人の演説に対し、謹んで反対意見を述べさせていただきます。私が破滅的であると信じるこの貿易協定(TPP)に反対票を投じるよう、上院議員諸君に訴えます。

この貿易協定は、実際には、十分な賃金が得られる数百万の雇用を私たちから奪い、「底辺への競争」へと導いた他の貿易協定に基づくものです。議長閣下、簡潔に四つの理由について説明させていただきます。理由は他にも多くあるのですが、四つの客観的な理由に焦点を絞ってお話ししたいと思います。なぜ私たち上院は、今回の、ファストトラック法案(※)を否決すべきなのでしょうか。なぜ私たちは、多国籍大企業のCEOではなく、アメリカの労働者に利益をもたらすような、貿易の新たな全面的アプローチ方法を発展させていく必要があるのでしょうか。

(※オバマ大統領がTPP交渉を進める権限を認める法案、別名:TPA・貿易促進権限)

第一の理由

第一の理由ですが、ベトナムやマレーシアや他の10ヶ国と結ばれるこの自由貿易協定(TPP)が、NAFTA、CAFTA、中国との恒久的正常貿易関係、米韓FTAのような過去の破滅的な貿易協定をなぞって作られていることです。客観的に見れば、これらの貿易協定が、十分な賃金が得られる数百万の雇用を私たちから奪い、アメリカの労働者が、1時間1ペニーで働く低賃金の国々の労働者との競争を強いられる「底辺への競争」につながったことは明らかです。

議長閣下。繰り返し、繰り返し、この種の貿易協定の支持者たちは、これらの貿易協定がいかに多くの雇用を生み出し、わが国の中間層や労働者階級にとっていかに有益なものか、私たちに語ってきました。しかし、繰り返し、繰り返し、彼らが私たちに語ってきたことが、実際にはすべて誤りであったことが明らかになってきたのです。にもかかわらず、彼らは再び、今回のTPPで同じ誤りを繰り返そうとしています。

1993年、ビル・クリントン大統領は、NAFTAが、五年間で100万の雇用を創出すると約束しました。しかし、実際には、NAFTAは、70万の雇用の喪失につながりました。

1999年には、中国との恒久的正常貿易関係によって、中国市場がアメリカの製品やサービスに対して開かれていくという約束を私たちは聞かされました。しかし、実際には、買い物に行く人なら誰でも知っているように、私たちが買うものは中国製品ばかりであり、中国との貿易協定はアメリカ人から270万もの雇用を奪い取ってきたのです。私は、中国との自由貿易を賛美するあらゆる言葉を耳にしたことをよく覚えていますが、それらの言葉がすべて誤りであったことが明らかになったのです。

2011年には、合衆国商工会議所は、米韓FTAが28万の雇用を創出すると私たちに語りましたが、これも誤りでした。実際には、米韓FTAは、7万5千の雇用の喪失につながったのです。

なぜこのようなことが起きるのか、その理由は明らかです。アメリカ企業が、自由に海外に出て行くことが許されており、賃金が1時間1ペニーで済み、環境に配慮する必要もないときに、わざわざアメリカ国内に投資をし、アメリカ人労働者に1時間15ドル、18ドル、20ドルもの大金を支払い、保険制度を整え、環境規制に従い、労働組合に対処したりするでしょうか。当然の結果として、これが実際に起きてきたことです。これらの貿易協定はすべて失敗に終わっています。TPPも同じ原則に基づいていますから、同じ失敗に終わることは明らかです。これが、私たち上院が、TPPを否決しなくてはならない一つ目の理由です。

第二の理由

第二の理由ですが、議長閣下、政治においては、様々な集団がどのような人々の側に立っているかを知ることは、常に興味深く重要なことであり、誰がTPPに賛成し、誰がTPPに反対しているかを知ることは、私たちに多くのことを教えてくれます。

では、誰がTPPに賛成しているのでしょうか。

アメリカ国内の工場を閉鎖し海外に移転を進めてきた多数の企業を含む、多国籍大企業がこぞって、TPPは素晴らしいアイディアであると考えています。なぜTPPが彼らにとって素晴らしい計画であるのか、その理由を私ははっきりと理解することができます。TPPによって、企業が、これまで以上に簡単にアメリカ国内にある工場を閉鎖して海外の低賃金の国々に移転できるようになるからです。

私たち上院に、TPPに賛成票を投じるように積極的に働きかけているもう一つのグループが存在します。それは、製薬会社です。アメリカ国民ならどなたもご存じのことと思いますが、わが国の製薬会社は、処方薬剤を世界一高い価格で私たちに販売しています。それなのに、彼らはさらにTPPを望んでいます。なぜならTPPによって、貧しい国々を含む世界中の人々に、彼らの製品を高い価格で売ることができるようになると考えているからです。

最も驚くべきことですが(皮肉)、ウォールストリートはTPPが大好きです。好きで好きでたまらない。私たちの誰もが記憶しているように、わずか数年前、ウォールストリートの貪欲で無謀で違法な行為が、大恐慌以降で最大の景気後退を引き起こしました。にもかかわらず、ウォールストリートがTPPに愛着を寄せる理由は、TPPによって、彼らの怪しげで複雑な金融商品を、より簡単に世界中に売りつけることが可能になるからです。

以上が、TPPが素晴らしいものであり、私たち上院がTPPに賛成票を投ずべきであると考えている集団です。

では、TPPに反対している集団や組織はどのようなものでしょうか。

わが国のすべての労働組合、2000万人以上のアメリカ人労働者を代表し、よりよい賃金と保険制度をもたらすために日々戦っている労働組合が、TPPに強く反対しています。労働組合がTPPについて寄せてくださったメッセージを紹介させていただきます。

「ファストトラックによる貿易協定(TPP)は、雇用の減少、賃金の低下、中間層の衰退をもたらします。ファストトラック(貿易促進権限)は、ニクソン政権以来、NAFTAのような貿易協定を推進するために利用されてきましたが、これらの貿易協定は雇用創出の手段であるとアメリカ国民は聞かされています。しかし、世界の巨大企業によって、また世界の巨大企業のために書かれているこれらの貿易協定は、雇用を創出しません。これらの貿易協定の主な目的は、貿易とは無関係であり、企業が海外に投資をすることを簡易にし、グローバル経済に対する影響力を増大させるためのルールを定めることなのです。」(引用終わり)

これが、わが国の労働組合がTPPに関して抱いている考えです。

しかし、TPPに反対してきたのは労働組合だけではありません。実際には、自然保護のための有権者行動連盟、シエラクラブ、天然資源防護協議会、憂慮する科学者同盟、地球の友、グリーンピース、350.orgのようなわが国の主要な環境及び科学団体が、こぞってTPPに反対しています。次に紹介するのは環境団体がTPPについて寄せてくださったメッセージです。

「合衆国の主導的な環境及び科学団体として、私たちはファストトラック、貿易促進権限に強い反対意思を表明し、貿易協定が、社会や、労働者や国民の健康や、環境を益するものとなるようにする連邦議会の能力に制限を設ける法律を否決していただくよう、上院の皆様に訴えます。」(引用終わり)

つまり、2000万人のアメリカ人労働者を代表する労働組合が、わが国はTPPを推進すべきではないと語り、環境問題に取り組む数百万人の人々を代表する団体が、貿易促進権限に反対しているのです。

さらに、米国長老派教会、合同メソジスト教会、シスターズオブマーシーのような宗教団体も、貿易促進権限に反対しています。次に紹介するのは宗教団体の皆様からいただいたメッセージです。

「信仰をもつ人間として、私たちは、すべての国家や政府が、すべての国民の尊厳を維持するように求めます。しかし、近代的な貿易協定は、人々、特に、アメリカ合衆国や世界の最も弱い立場にある人々に害を及ぼしてきました。貿易は、他の経済活動と同様に、人々を貧困から引き上げ、国家が、国民の健康や安全や福祉や、この地球を守る能力を担保する手段でなくてはなりません。国民や政策に奉仕する上院の皆様の神聖な職務に思いを馳せつつ、私たちは皆様が、目下交渉中にある貿易協定を推進するための、ファストトラック貿易促進権限を否決してくださるようにお願い申し上げます。」(引用終わり)

さて、片方には、莫大な金を手にする様々な組織があります。アメリカの多国籍大企業や、ウォールストリートや、製薬会社です。彼らはTPPを可決せよと求めています。他方には、数百万のアメリカ国民を代表する労働組合、さらに数百万のアメリカ国民を代表する環境団体、そして宗教団体が存在します。この人々は「ちょっと待って下さい。TPPはよい考えではありません。否決してください」と求めています。

つまり、片方には、貪欲と利得を目的とする集団があり、他方には、労働者を守ろうとし、環境を守うとし、人間の尊厳に関わる基本的な宗教的価値観を維持しようとする組織があり、彼らは「NO」と言っているのです。さて、私たち上院はどちらの側につくべきなのでしょうか。私たち上院は、労働者の権利と、環境と、倫理的な価値観に配慮する人々の側に立つべきであると、私は皆さんに申し上げます。

第三の理由

議長閣下、三つ目の理由についてお話したいと思います。なぜ私たちはTPPに反対すべきなのでしょうか。これは人々がほとんど注意を向けてこなかった条項なのですが、ISDS(投資家対国家の紛争解決)条項というものがあります。これは極めて専門性の高い用語に聞こえますが、一体、どのようなものなのでしょうか。その意味について説明させていただきます。この用語は、英語では、多国籍大企業が、アメリカ合衆国のみならず世界中の国家や州や地方自治体を、それらの政府が企業が見込む将来の利益に損害を与えるような立法行為を行った場合に、訴えることができることを意味します。

これこそ、まさにTPP全体の本質を表すものであると、私には思われます。TPPは、賃金を引き上げたり、雇用を創出したりするためのものではなく、ひたすら企業の利益をまもるためのものなのです。信じがたいことに、TPPが目論んでいるのは、世界中の地域共同体、アメリカ合衆国の各州、アメリカか他国かを問わず各国政府の基本的な民主主義が、多国籍大企業の利益を侵害する場合に、民主主義を侵害することなのです。これは、極めて異常なことです。

私は、私たち上院や、オーストラリア政府を代表する人々や、世界中で民主的に選ばれたすべての人々の仕事は、最大限、私たちに投票した人々のニーズを代表することであると考えていましたが、どうやら、これは極端でばかげた考えであったようです。なぜなら、民主的に選ばれた人々が法律を可決し、医療制度や環境をまもるためのその法律が多国籍大企業の将来の利益を侵害するならば、提訴され、その国が莫大な罰金を支払わなければならなくなることを、この法案が示しているからです。

これは、医療や環境のみならず、民主主義の基本的な理念そのものに対する、なんという攻撃なのでしょうか。私たち上院の仕事は、企業の将来の利益を気づかうことではありません。私たち上院の仕事は、アメリカ国民のニーズを気づかうことです。それが選挙で選ばれた世界中の政府が当然なすべきことなのです。

いくつかの例を示させてください。私たちはこの問題をこれまで取り上げてこなかったからです。類似した条項(ISDS条項)に基づいて、世界中で既にどんなことが起きているのか、また、TPPに賛成票を投じた場合に、どんなことが起きうるのか、具体例を示させていただきます。

議長閣下、今からお話しするのは、おそらく最も非道な例なのですが、同じ例は他にも多くあります。世界最大のタバコ会社の一つであるフィリップ・モリスは、タバコの表示義務をめぐってオーストラリアやウルグアイを訴えています。ウルグアイは小さな国ですが、彼らが行ったことは、子どもたちや国民を喫煙の害から積極的に守ろうとしたことでした。

みなさん、私はこれはすばらいことだと思いました。子どもたちがニコチンに惹きつけられ、心臓病や癌や肺気腫や喫煙がもたらすあらゆる病気で苦しむことがないように、アメリカや世界中で、私たちは最善を尽くすべきだと思います。アメリカ政府はもっと積極的であるべきだと思います。私たちは、これまでも対策を取ってきましたが、さらに多くのことをなすべきだと思います。ウルグアイという小国、癌について危惧する腫瘍学の専門家を大統領にもつこの小さな国が、子どもたちがニコチンに惹きつけられないようにするために、なしうるかぎりのことをなそうとした。

するとウルグアイに何が起きたでしょうか。ウルグアイは、三人の企業弁護士によって構成される独立した法廷に訴えられました。フィリップ・モリスが次のように述べたからです。

「おいウルグアイ、お前たちは我々の将来の利益に損害を与えている。我々は子どもたちがニコチンに惹きつけられることを望んでいるのだ。我々は、我々の製品をウルグアイの子どもたちや国民に売りたいのだ。その我々に逆らい、子どもたちが喫煙することを困難にするような法律を作ることによって、お前たちは我々の利益を台無しにしているのだ。」

この問題は独立した法廷で目下係争中です。

これは、なんと異常なことでしょうか。子どもたちを癌から守ろうとした国家が、フィリップモリスの利益に損害を与える可能性があるから訴えられる。癌の予防をめぐるこの問題は、単なる医療問題ではなく、民主主義の根幹に関わる問題です。

ウルグアイ国民、オーストラリア国民、そしてあらゆる国の国民は、死を招く製品によって子どもたちに害を与えようとする企業から訴えられる心配を抱くことなく、子どもたちや国民の健康を積極的に守ろうとする権利を持っているのでしょうか。これは医療問題ではなく、基本的な民主主義の問題です。もしフィリップ・モリスが勝訴すれば、世界中の政府に、子どもたちを喫煙から守るために積極的な対策を取るべきではないというメッセージを与えることになります。

これは一例に過ぎません。同じぐらい酷い、もう一つの例についてお話させてください。議長閣下、このISDS条項の下で、フランスの廃棄物処理会社ヴェオリアは、フランス・エジプト二国間投資協定に基き、労働法を改正し最低賃金を引き上げたエジプト政府に対して、一億一千万ドルの損害賠償を求めて訴訟を起こしています。

正直に申し上げますが、私はエジプトの最低賃金に関して何も知りません。しかし、私は、エジプトに限らず、地球上のあらゆる国の政府は、正当な理由があると彼らが考えるならば、企業から訴えられる心配を抱くことなく、最低賃金を上げる権利をもっていると考えます。なんという異常なことなのでしょうか。エジプトの国内政治について詳しくは存じ上げないことを再度認めますが、最低賃金をあげるという「犯罪」のために訴えられるということは、私の理解を超えたことがらです。

再度繰り返しますが、これは現在起きているできごとの一例に過ぎず、また私たちがTPPを可決するならば、今後、さらに酷いやり方で起きていくであろうできごとの一例に過ぎないのですが、最後にもう一つの例についてお話させてください。

バッテンフォールというスウェーデンの電力会社は、福島の原発事故を受けて、原発廃止を決めたドイツ政府に対して、50億ドルの損害賠償を求める訴訟を起こしました。最近知ったことですが、選挙で選ばれた政府をもつ独立国であるドイツが、原発を廃止する決定を行いました。賛否両論があるのでしょうが、ドイツ政府と、その政府を選んだドイツ国民が、この決定を行ったのです。選挙で選ばれたドイツの政治家たちは飾り人形ではありませんから、彼らは、国民が望んでいることを行い、その政治的な結果責任は彼らが負うはずです。その選挙で選ばれたドイツの政治家たちが、原発の廃止を決めたのです。しかし、その決定をめぐり、スウェーデンの電力会社バッテンフォールから、50億ドルの損害賠償を求めて訴訟をおこされているのです。

これが現在起きていることなのですが、このことが未来にもたらす意味を考えていただきたい。TPPの下では、世界中のどの政府も、アメリカ合衆国のどの州も、たとえば、環境問題に敏感な私のバーモント州が環境に関する法律を制定した場合、大企業が独立した法廷に行き、次のように言うことが可能になります。

「さあ、我々は10億ドルの損害賠償を求めてバーモント州を訴えよう。なぜなら我々はバーモント州でのビジネスを望んでおり、彼らの環境規制は我々が利潤をあげる能力に被害を与えているからだ。」

これは、バーモント州や、ジョージア州や、他の州の行政行為を侵害するものです。このような種類の貿易協定に賛成票を投じることは、私にはまったく理解しがたいことです。私たちはエジプト国民や、ウルグアイ国民や、私たちアメリカ国民の行為に対して反対の意見をもつことはできるでしょう。しかし、アメリカや他の国で民主的になされた決定を理由に、独立した法廷が、企業に対して数十億ドルの損害賠償を認めることができるようになるということは、私にはまったく理解できない話です。

第四の理由

議長閣下、最後の理由として取り上げたいのは医療問題です。明らかに、アメリカのみならず世界中で私たちが直面している医療危機の一つは、処方薬剤の高額な価格です。私の記憶が正しければ、わが国においては、医師から処方箋を受け取るアメリカ人の25%が、処方された薬を購入する金銭的余裕をもちません。医者に行き、診断を受け、処方箋を書いてもらい、「ありがとうございました」と言って受け取っても、処方箋に書かれた薬を買うお金がない。

これはわが国の問題点ですが、世界の貧困国では、状況は明らかにさらにひどいものです。TPPが可決した際に生じることは、製薬会社が彼らのブランド名を冠した薬品が、より安価なジェネリック薬品として製造されるのを阻止できるようになることです。その結果、世界中の貧しい国々では、十分なお金をもたない人々が薬の価格に悩まされるようになることでしょう。

実際、これこそが国境なき医師団が次のように語った理由なのですが、国境なき医師団とは、皆さんご存知のように、世界のどこかでアフリカのエボラ熱のような医療危機が発生したときに命がけで現地に赴く英雄的な医師たちの集団です。実際に、世界の最も貧しい人々に最も困難な状況下で治療を行おうとして、亡くなった医師たちが存在します。彼らは実に英雄的な人々なのです。その国境なき医師団が、次のようなメッセージを寄せていますので紹介させていただきます。

「TPPは、発展途上国の医療アクセスにとって、これまでで最も有害な貿易協定になろうとしています。」(引用終わり)

結論

議長閣下、私たちが短期間で行おうとしている今回の投票の答えは明白であり、考える必要すらないものだと私は思います。

私たち上院は、間違った貿易政策をこのまま続けていくほど愚かなのでしょうか。そうではないと思います。既に、過去の貿易協定を利用して数百万の雇用を海外に流出させ、TPPも素晴らしいものだと考えるアメリカ企業の側に上院は立つべきでしょうか。際限のない欲望を抱くウォールストリートの側に上院は立つのでしょうか。薬をより高い価格で世界中に売ろうと考えている製薬会社の側に上院は立つのでしょうか。それとも私たち上院は、労働組合や、環境団体や、宗教団体の側に立つのでしょうか。私たち上院は、環境や、子どもたちの医療や福祉のために立ち上がろうとする各国の民主的な権利を企業が侵害することを認めるような貿易協定に関与するのでしょうか。上院は、世界の貧しい人々が、彼らが必要とする薬を手に入れるのを困難にするのでしょうか。議長閣下、その答えは、考える余地もなく明らかです。

合衆国上院議員の諸君が、企業世界に対して、TPPは受け入れられないという、響き渡る「NO」の声を突きつけ、労働世帯や、中間層や、世界中で苦しむ人々を保護するような貿易協定こそを通過させ、ファストトラック法案を否決し、TPPを否決してくださることを希望します。
*
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日本政府というものは

どう考えても、歴史的には
「特別な位置付けの外資系企業」
だと思っています。

No title

バーニー・サンダース氏は右か左かというより、常にアメリカの(そして世界の)多くの国民(弱者)の立場、労働者の立場に立って、一貫した発言・行動を何十年も続けて世論に訴えてきた実績があります。
アメリカや日本だけではありません。彼の人間的な器と信用は、世界中の人々を惹きつけ世界中から多くのファンを得ているのだと思います。

バーニーが問題としているのは、TPPだけではありません。

政府の構造的な問題(富裕層による議員の買い占め、億万長者だけが大統領となる仕組み、富裕層に有利な政治、企業ロビイスト問題、投票不正)

※この方の記事は重要なアメリカの問題を非常に的確且つ真摯に捉えられていると思います。
http://blogs.yahoo.co.jp/jrfs20040729/28350575.html

米国内の企業ロビイスト(多国籍企業だけではありません)とその背後に存在する超富裕層(経営層、資本家)による様々な弊害
保険・医療高騰、土地高騰、学費高騰、最低労働賃金の低さなど

労働組合弱体化と資本家(起業、企業幹部)の歪んだ力関係

行き過ぎた資本主義への懸念

富裕層による租税回避と富の買い占め

戦争と権力の問題

国民の生活苦の問題

No title

この演説を日本共産党が発言してたらニコニコでぼこぼこに叩かれてたろうね。

余計なことを言うメキシコ

『米国抜きのTPP発効も=11カ国で条項見直し-メキシコ経済相』
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016111100334&g=int

・メキシコのグアハルド経済相は10日、ロイター通信に対し、米議会が環太平洋連携協定(TPP)を承認しなければ、米国を除外して11カ国で協定を発効する道が検討されると語った。

・グアハルド氏は、米議会の承認が遅れれば、「他国と(発効条件に関する)制約条項の見直しを協議すべきだ」と語り、米国の批准を待つ必要はないとの考えを示した。

____________

やっぱり、そう簡単にはTPPは死んでくれそうにないですな。
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