土人と呼ばれたい

土人とナショナリズム。
最近、沖縄県東村高江のヘリパッド移設工事現場に派遣された大阪府警の機動隊員が、工事に反対する高江の住民を「土人」と呼んだことが問題になっています。
高江のヘリパッド移設問題がどのようなものか、簡単におさらいしておきましょう。


(画像出典: 辺野古浜通信)

東村 高江は、沖縄県の北部、ヤンバルとよばれる亜熱帯森林のなかにある約160人の住民が暮らす小さな集落です。この集落をかこむように米軍のヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)を6つ作る工事が、はじまっています。高江は米軍のジャングル訓練センターの真横にありますが、これでは訓練センターの中に高江があるかのようになります。高江では昼夜を問わず、米軍ヘリが飛びます。ヘリパッドが増設され、これ以上ヘリが飛んだら、しかも新型機オスプレイが飛んだら、高江に人が住めなくなる!と考えた高江の住民が、『自分の家で普通に暮らすため』に2007年7月から工事現場の入り口で、非暴力の抗議 説得活動として座り込みを始めました。

(出典: 高江ヘリパッド問題ってなに?)


「土人」という言葉の意味は、辞書によれば「もとからその土地に住んでいる人、原住民」のことですから、沖縄高江の人々のみならず、先祖代々、日本列島に暮らす私たち日本人は皆、この国の原住民であり「土人」です。

TPPが批准され、日本の土着の農業が解体されて株式会社化され、移民国家へと作り替えられようとしている現在、「土人」としてさげすまれ、制圧され、先祖から受け継いできた生活の場所を破壊されようとしているのは、沖縄高江の住民だけではなく、日本列島の原住民である日本人全体がそうです。

沖縄の米軍基地が、イラク戦争という中東の「土人」制圧のための出撃拠点となったことからわかるように、グローバリズムを推進する勢力による「土人」制圧の試みは世界規模で展開されており、TPPやヘリパッド問題はその中の一つのエピソードにすぎません。

自民党と同様、TPPのような、日本の「土人」を効率的に飼い慣らすための構造改革を推進する立場を標榜する維新の会の代表であり、大阪知事を務める松井一郎が、沖縄高江の「土人」制圧の職務を与えられた大阪府警機動隊に対して「ご苦労様」と言ったそうですが、彼は、日本の政治家が「土人」の側に立つ人々ではないことを正直に表明したのです。



このようにグローバルな勢力の側に立つ日本の政治家の姿勢とは対照的に、日本の「土人」の一人として、「土人」と共に歩んでこられた天皇陛下は、常に沖縄の問題に心を痛め、自ら琉歌を学び、沖縄の人々に心を寄せてこられました。

昭和50年(1975年)7月、沖縄国際海洋博覧会の開会式に出席するため、皇太子ご夫妻(現在の明仁天皇と美智子皇后)は初めて沖縄を訪問されました。その際に、ハンセン病療養所「沖縄愛楽園」を訪れて入所者一人一人と交流されました。愛楽園からの帰り際、入所者から自然に合唱が起きたそうです。歌われたのは船出を祝う沖縄民謡「だんじょかれよし」。皇太子ご夫妻は真夏の炎天下に立ったまま、その歌に聞き入られたそうです。後に、そのときの光景を皇太子殿下(明仁天皇)は琉歌(八八八六の三十音の琉球の定型詩)に詠まれ、妃殿下(美智子皇后)はその琉歌に相応(ふさわ)しい曲を付けられました。こうして「歌声の響」という曲が生まれました。

●皇太子殿下の琉歌

だんじよかれよしの 歌声の響
見送る笑顔 目にど残る

(謹訳)私たちの旅の安全を願うだんじよかれよしの 歌声がひびき、
見送ってくれた人々の笑顔が、いつまでの目に残っています。

だんじょかれよしの 歌や湧上がたん
ゆうな咲きゆる島 肝に残て

(謹訳)私たちが立ち去ろうとすると だんじよかれよしの歌声が湧き上がりました。
ゆうなの花が、美しく咲いている島の人々のことがいつまでも心に残っています。

(出典: 生きる918「明仁天皇の最初の沖縄訪問 (1/4) 琉歌『歌声の響』」)



(天皇陛下が詠まれた琉歌に皇后陛下が曲をつけた「歌声の響」が演奏された皇宮警察コンサート)

私たちは「土人」と呼ばれることに腹を立てるよりも、むしろ土に着く「土人」(native)としての自覚と誇りをもって、土着(native)の生活と文化を守るために、抗うべきです。

それこそが、真のナショナリズム(nationalism)であると思います。

注: native(原住民・土着)もnation(国家)もnature(自然・性質)も、natus(生まれる)というラテン語を語源に持つ言葉です。
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土人といえば水木サン

高江の件は詳細まで調べていなかったのでさておき、「土人」で、故・水木しげる氏を思い出してしまいました。
(彼の『戦争と日本』等にはあの年代らしい誤解・誤認なども含まれるといえ)

■ 『水木しげるの戦記選集』(192-193ページ)・宙出版
>土人サンとはよくいったもんだと水木しげるはいう。本当に土の人、大地の人で、これを現地人などと書こうものなら東南アジア的になって、まったくダメだともいう。すなわち、木や鳥のように、本当に自然の人間で、これこそ人間の生活だと認めているのだ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/水木しげる
>水木は彼らを指して「土人」と呼んでいる。近年では土人という用語は差別用語と見なされるようになっているが、水木はそれも承知の上で土と共に生きる人、大地の民という意味合いで親しみを込めて使用している。

それから、「歌声の響」のご紹介有難うございました。以前から気になっていたのですが、これを機にCDを購入したく思います。
(沖縄を考えるときの心の支えにしたいので。)
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