北京滞在記(3)

民度の低い中国人はどこだ?
よく中国人の民度の低さを示す証拠として、下のような動画がYouTubeなどに公開されているのを見かけることがあります。
しかし、上の動画に見られるような非常識な行為が、常に北京のいたる処で展開されているかといえば、決してそんなことはなく、北京の中国人たちは、基本的には、ごく普通の秩序だった生活を送っています。

たとえば、上の動画の中で、バスの中で年寄りや子供がいても皆そっぽを向いて席をゆずらない写真が紹介されていますが、地下鉄の中で、若い男性がお母さんに連れられた小さな女の子に席をゆずるところを、私は自分の目で目撃しました。

その光景を見て、「なーんだ、中国人も普通の人間じゃん」と思いました。

また、上の動画の中で、ゴミだらけの天安門広場の写真が紹介されていますが、現在の北京は、地下鉄の駅も、電車の中も、広場や観光地や歴史的遺産も、公共の場所はよく清掃が行き届いています。



ですから、過去の特殊な事例ばかりを集めて、それが現在の中国の一般的な姿であるかのように決して誤解してはならないと思います。

しかし、その一方で、日本ほどはマナーや気配りが行き届いていないのも事実です。

たとえば、日本では電車に乗る人たちは、電車のドアの左右に分かれて、降りる人たちに優先的に道を開け、完全に皆が降りるのを確認してから電車に乗り込みます。

そういうルールがどこかに書かれているわけではなく、暗黙の了解事項として、日本人の間に確立しています。

しかし、日本人が暗黙のマナーとして守っているこの慣習は、北京の地下鉄のホームでは、乗車口の床面に黄色い矢印でルールとして明示されています。



しかも、このルールは完全に守られているとは言えず、他の人たちが電車を降りるのを待たずに、乗車しようとする中国人たちがいます。

ただ、ここでも一般化は禁物であり、北京には、中国各地の農村部から北京見物に来ている人々がいます。

都会生活に慣れていない人たちが、地下鉄の乗り方が分からずに、「民度が低い」とみなされがちな行動をしてしまっている可能性も考えられます。

たとえば、下の様な出来事がありました。

北京の市内から、万里の長城を見に出かけたときのことです。

万里の長城を見ることができる場所は一カ所ではなく、北京の市内からアクセスできる場所が何カ所かあります。

その中でも、北京市内から約130キロ離れた「金山嶺長城」と呼ばれる場所は、観光客がもっとも少なく、また万里の長城が最も美しく見られるポイントなのだそうです。


(写真出典)

私の友人が、職場の中国人の同僚に、「近々、日本人の友達が遊びにくるよ」と話したところ、その同僚は、「ぜひその日本人の友人を『金山嶺長城』に案内したい。『金山嶺長城』こそ、真の長城の魅力を堪能できる場所だからです」と申し出てくれたのだそうです。

しかし、この場所は市内から遠く、滞在時間も限られていましたので、同僚の方には丁寧にお断りをして、今回は、「八達嶺(バダリン)長城」という、北京から一番簡単にアクセスできる、もっとも観光地化された場所に行くことになりました。

北京北駅というところから、わずか六元(90円)、一時間の電車旅で行くことができます。

朝、北京北駅にいくと、駅の待合室にさっそく人々が並んでいます。



東京都民がゴールデンウィークにわざわざ東京タワーに登らないように、北京市民は国慶節の休日期間中にわざわざ万里の長城にでかけたりはしませんから、この人たちは、地方から出てきた人たちであると考えられます。

日本と違い、ホームと待合室の間は扉があり、電車の発車時刻の直前まで、扉は閉ざされたままです。

発車時刻が近づき扉が開放されると、座席を確保するために、人々は電車に向かって猛ダッシュを始めます。



電車は、どういうわけか、待合室からかなり離れた場所に停められています。



電車に乗ると、中国人たちがさっそく座席をめぐって大声でケンカを始めました。YouTubeの動画で見たことがある光景です。



しかし、貧しい農村部の中国人たちが、北京見物を楽しみにしながらはるばる上京してきたことを思えば、一時間の電車旅行の座席のために必死になるのも分からないではありません。



「八達嶺長城」に着くと、れんがの一つ一つに、観光客によるいたずら書きが彫り込まれていました。



参考記事:
niftyニュース万里の長城の『ひどすぎる修復』が話題 「愛してる」とれんがに刻むイタズラも (2016年10月4日)

長城から降りてくると麓の駐車場にラクダがおり写真を撮ったところ、新疆出身とおぼしき男性が、日本語で「20元」と言って手を差し出してきました。



また駅に戻ったところ、数人のタクシー運転手たちがたむろしており、しつこくタクシーに乗れ、タクシーの乗れと絡んできます。断ってもしつこく私たちを追いかけてきて辟易しました。

このように、「民度が低い」と見なされがちな素養の低い行動は、地方出身者や貧しい階層の人々の間では確かに見られるのですが、かといって、これらの事例をもって中国人を一般化し、固定した先入観をもって見下してしまっては、私たち日本人は足元をすくわれることになりかねません。

北京の街は、公共のマナー、サービス業の質、都市の整備など、全体としては大きな改善と前進を続けているからです。
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非対称な勝利

丁度、ミラノで「mal di sushi(寿司病)」なる、欧米では「サバ食中毒」と言われるような、主に保存状態の悪い魚が原因と思われる食中毒が流行っているという、イタリアのニュースサイトの記事に投稿されたコメントに、「どうせ日本人ではなく中国人の経営する激安店だろう」というような指摘が少数ながらあったことや、他の海外の中国系移民の店の悪評などを思い出しながら、一連の滞在記を興味深く拝読しております。
また、(2)の雨天の閑散とした雰囲気の天安門の写真は巷間に出回っているものとはまた異なる印象を受け、しばらく見入ってしまいました。

それから

>政治レベルで行動する中国政府と、非政治レベルで活動する民間の中国人市民とを、区別して捉える必要があると思います。
これは中国以外の他国の人々に対しても言えることですね(私も普段から個人レベルでは対するときはそう割り切るようにはしていますが)。
逆に個人レベルで受けた好印象を国家(の政治)レベルにまで投影するのも危ういことですし。

>これらの事例をもって中国人を一般化し、固定した先入観をもって見下してしまっては、私たち日本人は足元をすくわれることになりかねません。
こちらも、かつて市内のコンビニでアルバイトをしていた中国人留学生が、いつも手の空いている時間にメモ帖を手に勉強している姿を見たときや、その他の事例からも、また韓国に対してもしばしば感じることがあります。

しかし何にせよ、個人においても国家においても、『浅田真央選手を守れ』に出てきた「非対称な勝利」を目指すことに軸足を置いて生きたい、または成長していきたいものだと、あらためて考えさせられた記事でもありました。
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