日本を映す鏡、台湾(3)

「戦略的曖昧性」、 アメリカ外交の二面性。
これまで、日本と台湾の間には、地政学上の共通点があり、台湾が置かれてきた政治的状況を理解することは、日本が置かれてきた政治的状況を理解することにつながること、また、アメリカと中国が、「文明」に基づく全体秩序を拡大させようとするグローバル国家であるのに対して、日本はあくまで「自然」に立脚した「民族」国家であるという点で、米中二国とは質的に異なるというお話をしてきました。

今回は、台米関係から垣間見える、日米関係の実態を明らかにしていきたいと思います。

連合国の一員として第二次世界大戦を戦った中華民国は、戦後1971年まで、国連安保理常任理事国の座についていました。

ところが、1971年7月15日、アメリカ合衆国のニクソン大統領が、全米に向けたテレビ放送で、それまで冷戦状態にあった中華人民共和国との国交樹立のために水面下で交渉中であり、近く大統領自らが中華人民共和国を訪問する予定であることを発表しました。世界に衝撃を与えたこのニュースは、その後、「ニクソンショック」と呼ばれるようになります。

その三ヶ月後の1971年の10月、国連総会で「アルバニア決議」(第26回国際連合総会2758号決議)が採択され、中華人民共和国が中国の唯一の合法的な代表であることが認められ、中華民国(台湾)は国連から追放させられてしまいます。

国連総会は、国連憲章の原則を思い起こし、中華人民共和国の合法的権利を回復させることが、国連憲章を守り、かつ国連組織を憲章に従って活動させるためにも不可欠であることを考慮し、中華人民共和国政府の代表が国連における中国の唯一の合法的な代表であり、中華人民共和国が国連安全保障理事会の5つの常任理事国の1つであることを承認する中華人民共和国のすべての権利を樹立して、その政府の代表が国連における中国の唯一の合法的な代表であることを承認し、蒋介石の代表を、彼らが国連とすべての関連組織において不法に占領する場所からただちに追放することを決定する。

(出典: 第26回国際連合総会2758号決議


その後、1972年2月に中華人民共和国を訪問したニクソン大統領は、周恩来首相に対して「台湾に関しての5原則」を約束しました。

「台湾に関しての5原則」

1. 中華人民共和国を唯一正当の政府として認め台湾の地位は未定であることは今後表明しない
2. 台湾独立を支持しない
3. 日本が台湾へ進出することがないようにする
4. 台湾問題を平和的に解決して台湾の大陸への武力奪還を支持しない
5. 中華人民共和国との関係正常化を求める


その7年後の1979年1月に、アメリカ合衆国は、中華人民共和国と正式に国交を樹立すると共に、中華民国(台湾)との国交を断絶し、1954年に調印した米華相互防衛条約を破棄し、米軍は台湾から撤退しましたが、それとほぼ同時に、名目上はアメリカの国内法である「台湾関係法」を制定して、外交関係の維持と軍事支援の継続を行うことを決めました。

実際に、李登輝が推進した台湾民主化の成果として、1996年に最初の中華民国総統選挙が行われた際には、総統選挙を台湾独立につながる動きと見なした中華人民共和国によって、台湾北部の周辺海域に威嚇のためのミサイルが打ち込まれましたが、アメリカは、このとき、ニミッツとインディペンデンスという二隻の空母を中心に編成された二つの空母打撃群(空母戦闘群)を台湾海峡に派遣し、台湾を防衛する姿勢を示しました。(第三次台湾海峡危機)

つまり、アメリカは台湾に関して、次のような二重の態度をとり続けています。

1. 台湾の独立を認めない
2. 中華人民共和国による軍事力を使った台湾の統一を認めない


アメリカが台湾問題に関してとり続けているこの二重の外交姿勢のことを、「戦略的曖昧性」(Strategic ambiguity)と呼びますが、アメリカは、台湾問題のみならず、尖閣諸島問題に関しても、同じ「戦略的曖昧性」の態度をとり続けています。

また、アメリカの日本に対する外交姿勢は、台湾に対するそれと同様に、次のような二面性をもっています。

1. 周辺国の軍事的脅威から日本を防衛すること。
2. 日本を監視化におき、日本の独立を阻止すること。


次回、これまでの論点の裏付けのために、2001年に機密解除された、1971年のニクソンショック時に、キッシンジャーと周恩来の間で行われた極秘会談録の内容をご紹介して、このシリーズを締めくくります。
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