日本文明はどこまでもしぶとく生き延びるのDEATH

質問にお答えして。
コメント欄で下のような質問をいただきました。

BabyMetalが欧米で受けたから
日本のアイコン、という考えには
乗れません。それは日本そのものでは
なく、欧米に向けられた輸出品です。

「やり方さえ間違わなければ
成功する」文化とは、TPPなどの
グローバル化を前提にしたものでは
ないのですか?


以下は上の質問に対する、私の返答です。(記事にするに当たり少し修正を加えています)

国境を越えた文物のやりとりをグローバリズムと呼ぶのならば、アフリカで誕生したといわれる人類が、あまねく地球上に拡がった段階からグローバリズムは始まっています。人類がグローバルな移動を拒絶する生き物であったなら、アフリカ大陸に留まったまま、いつまでも日本列島に到達することはなく、日本という国も生まれなかったでしょう。逆説的な話ですが、日本というローカルな国家は、人類のもつグローバルな性向のゆえに誕生したのです。ユーラシア大陸の東の端に位置する日本列島は、アフリカを出発しユーラシア大陸を踏破した人々が最後に到達した土地であり、日本人は、地球を半周するようなグローバルな旅の労をもっとも惜しまなかった人々の子孫であるということになります。外来文化に対して貪欲な好奇心を寄せてきた日本人の中に、グローバルな冒険家という日本人の始祖たちの血が脈々と受け継がれきたとは言えないでしょうか。

縄文文明は、環太平洋地域の新石器文明と共通する痕跡が確認されていますし、古墳時代には糸魚川産の翡翠を使った勾玉が、朝鮮半島に輸出されています。古代には、多くの渡来人が日本にやってきて、律令制という中国の政治制度や、漢字を導入することによって国作りを行っています。日本書紀や古事記は、ポリネシアや東南アジア、ギリシアやスキタイの神話と同じエピソードを共有していますし、日本人の精神文化に多くの影響を与えてきた仏教は、インドや中国から渡ってきたものです。鎖国を行っていた江戸幕府すらも、朱子学という中国の思想を官学としていました。明治時代に西洋の文明を取り入れて、近代的な国民国家となり、現代、私たちは太陽暦とキリスト紀元を組み合わせたグレゴリオ暦というキリスト教のカレンダーを使って生活しています。日本人は、新暦の元旦に初詣を行い、現在の神社の祭祀は基本的にはキリスト教の暦に合わせて行われています。食事はすっかり欧米化し、毎日のようにコーヒーを飲んだりパンやパスタを食べて暮らしています。

グローバリズムに反対しようといって、欧米の文物に背を向けて江戸時代の風習にもどろうとしたところで、江戸時代の文化を成り立たせていた漢字や仏教がもともと日本のものではない。では漢字や仏教も廃止して縄文時代の生活にもどせばそれが真に日本らしい日本かといえば、縄文時代の暮らしすらも日本列島を超えた環太平洋的な共通の広がりをもっています。日本らしさの本質を探そうとして、タマネギの皮をむくように、日本が受け入れてきた外国の文物を一つ一つ取り除いていったところで最後には何も残らないでしょう。日本らしさの本質とは、特定の時代の「これ」というように、具体的に目に見える形で指し示すことができるものではないからです。

しかし、外国の文物を取り入れたから日本は日本らしくなくなったかといえば、不思議なことに、外国の文物を取り入れることで、日本らしさが一層増し加わっているようにも見えます。古代における律令制や漢字文化の導入がなかったら、今の日本は存在しないでしょうし、仏教の導入がなかったら、茶道や華道や若冲の絵画のような日本らしい精神文化も存在していません。明治維新で西洋の文物を受け入れていなかったら、現在のユニークな日本文化も存在していません。

ということは、グローバリズムに反対するということは、多くの人たちが誤解しがちなように、単に外国との文物のやりとりを拒絶するということではないということです。

日本らしさの本質とは、日本が受け入れてきた「文明」の側や、日本にもともとあった「自然」の側に存在するのではなく、両者の独特の結びつき方にあるのだと私は考えます。

メタルとアイドルを結びつけたBABYMETALの音楽やパフォーマンスには、日本らしい「文明」と「自然」の結びつきが、典型的な形で現れています。

グローバリズムの危機の本質は、単に「文明」が圧倒的になることにあるのではなく、日本が長く保持してきた「文明」と「自然」を結びつける独特の絆を断ち切ってしまう点にあります。

そのようなことが本当に可能だとしての話ですが。

BABYMETALの音楽は、「そんなことは可能ではない」という、力強い反証のように思えます。

だからBABYMETALは日本の希望なのDEATH。

日本文明はどこまでもしぶとく生き延びるのDEATH。
*
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ミルティリおばさんさん

語尾にDEATHをつけるのは、BABYMETALによる独特の自己紹介のスタイルに由来する、BABYMETALファンの合い言葉のようなものです。

BABYMETALの自己紹介がカワイイのでまとめてみた
https://www.youtube.com/watch?v=m7yWP0Y0ucA

"BABYMETAL DEATH"(BABYMETALです)という自己紹介の歌もあります。

"たとえばファースト・アルバムの「BABYMETAL」は、「BABYMETAL DEATH」という歌から始まるのですが、"DEATH DEATH DEATH DEATH DEATH"という、ガテラルボイスでの連呼の上に、「スーメタルです(DEATH)、ユイメタルです(DEATH)、モアメタルです(DEATH)、ベビーメタルです(DEATH)」というダジャレによる自己紹介がかぶせられるだけの曲です。冒頭からメタルを笑い飛ばしており、メタルに媚びようとしない。しかし、同時にバックバンドは、圧倒的な超絶技巧で、一般のメタルファンにあなどられるような隙をみせない。徹底してメタルをやりながら、メタルを笑い飛ばす。そのような姿勢こそ、まさにメタル的でもある。メタルに対してアイドルとしてしかけるレジスタンスが、同時に、そのままメタルを体現しているという二律背反に、世界の人たちがやられてしまっています。人間の心を虜にするのは、やはり、単一のメッセージよりも、ダブルバインド的なメッセージです。"

http://wjf-project.info/blog-entry-1198.html

礼儀正しさをあらわす日本語の敬語の「です」と、メタルの破壊的な"DEATH"という言葉のミスマッチな組み合わせがBABYMETALの本質をよく表しており、おもわずくすりと笑ってしまう歌なので、この歌もぜひ聴いてみてください。

No title

今日は。
「しぶとく生き延びるのDEATH」
何故、語尾を「死 DEATH」になさったのですか?
疑問です。
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