グローバル化社会の天国と地獄

タックスヘブン問題について。
2013年9月25日、安倍晋三は、ニューヨーク証券取引所で、次のような有名なスピーチを行いました。

「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」

(出典: 首相官邸「ニューヨーク証券取引所 安倍内閣総理大臣スピーチ」2013年9月25日)


この言葉の通り、安倍政権は、TPP、国家戦略特区、入管法改正などの移民受入政策を、めまぐるしいスピードで推し進めてきました。

参考記事:
「1000万人移民計画」は実行に移されている(2014年6月12日)
1000万人移民計画と自民党に関するQ&A(2014年3月5日)
外国人労働者は移民か?(2014年7月1日)
入管法改正に関する事実の整理(2014年6月2日)
TPPは移民自由化である(2015年9月6日)


今年の4月19日の産業競争力会議では、安倍晋三は、

「永住権取得までの在留期間を世界最短とする」

(出典: 日経新聞 2016年4月19日)


と発言し、4月26日には、自民党の労働力確保に関する特命委員会が、外国人単純労働者の受入を承認しました。

参照記事:
自民特命委「単純労働者」受け入れ容認へ(2016年04月27日)

4月8日には、昨年衆議院を通過したが成立しなかったヘイトスピーチ規制法(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案)が、参議院に提出され、現在審議が行われています。

この法案は、今後、日本国民による移民反対運動が「違法」として禁止の対象とされてしまいかねない危険性をはらむ法案です。

グローバル化された時代では、人・モノ・金が、国籍や国境を越えて、自由に世界を行き来します。

国籍や国境がもはや意味をなさなくなるこの時代に新しく浮上する問題は、一体、誰がどの国の政府に税金を納めるべきなのかという問題です。

海外に移すほどの巨額の資産をもつ人ならば、合法である限り、節税のために、税率の低い国に資産を移そうとするでしょう。

一般のマスコミがなかなか積極的に報じようとしない問題について、しんぶん赤旗が次のように報じています。

日本 超富裕層 税逃れ

ユニクロ・柳井氏、ドンキ・安田氏、ベネッセ・福武氏…

巨額資産を低税率国に移転 本紙調べ

タックスヘイブン(租税回避地)を利用した富裕層の「税逃れ」が世界で問題になっています。日本でも、米誌『フォーブス』の「日本長者番付」上位50人のうち少なくとも4人が税率の低い海外に資産を移していることが本紙の調べで分かりました。

柳井氏は年7億円

資産額約2兆円と日本トップのユニクロの柳井正ファーストリテイリング会長兼社長は、2011年10月に同氏が保有する同社の株式531万株をオランダの資産管理会社(柳井氏が全株保有)に譲渡しました。同国は要件を満たせば配当金が非課税になります。15年の配当(1株350円)で計算すると、531万株の配当金は年18億円以上。日本で株を保有する場合と比べ所得税と住民税を年約7億円「税逃れ」していることになります。

資産額1792億円の安田隆夫ドン・キホーテホールディングス最高顧問も、15年12月と16年1月に保有する自社株あわせて約1550万株をオランダの自らの資産管理会社に約650億円で売却(移転)しました。柳井氏と同じ「税逃れ」の仕組みです。

日本は、租税回避地への資産移転を防ぐため、15年7月1日以降に海外へ移住する人物が保有する株に課税する制度を導入しました。安田氏は、同制度開始直前の6月26日に自らの住所を東京都港区からシンガポールに移転。巨額の課税を逃れたとみられます。その後オランダに株を移したのです。

資産額1383億円の福武総一郎ベネッセホールディングス最高顧問と妻のれい子氏は08年11月、保有する自社の株式1361万株を、総一郎氏が代表を努めるニュージーランド(NZ)の資産管理会社に譲渡。さらに09年12月、総一郎氏は自らの住所も岡山市からNZに移しました。

資産額1564億円の岡田和生ユニバーサルエンターテインメント(パチンコ機器製造)会長は、自社株5445万株を香港の資産管理会社に保有させています。

日本貿易振興機構によればNZは贈与税、相続税がなく、個人の所得税率は最高33%(日本の最高税率は45%)。配当金への源泉徴収税は法人の場合28%です。香港の法人税は16・5%で株式配当は対象外です。

オランダの「資本参加免税」 オランダに居住する法人が、同国または外国の事業体の発行済み株式の5%以上を継続保有すれば、配当と売却益が非課税となる制度。柳井氏は自社株の5・01%、安田氏は同9・81%をオランダの資産管理会社に保有させています。

(出典: しんぶん赤旗 2016年5月9日)


富裕層の人々が、国境の外側に資産を移すことで節税した穴埋めをするのは、国境の内側に留まって、地に這いつくばって生きなければならない貧しい人々です。

消費税は、地に生きる人たちから、税金を確実に徴収するために最も効果的な税制です。

そして、貧しい国民がせっせと納めた税金を、国内に投資せず、海外に出かけては湯水のように垂れ流して歩いているのが安倍晋三です。

参照記事:
なぜ安倍は日本人の金を海外にバラまくのか(2016年1月12日)


国内でお金が循環しないので、国民経済はどんどん疲弊していきます。

さらに、単純労働者を含む外国人労働者の受入によって、日本人の賃金は今後ますます下がっていきます。

労働コストの削減によって富裕層はますます富を蓄える。そして、その富を節税のために、さらにせっせと国外に移します。

その穴埋めのための負担を貧しい人たちが負わされるという悪循環がどこまでも進んでいきます。

このように、グローバル化が進行し、国籍や国境を越えて人・モノ・金が自由に行き来するようになる度合いが増すことによって、グローバルな秩序に参加して大きな利益を得る人々と、グローバルな秩序に参加できずに地に留まって負担を強いられる人々に、国民はくっきりと二分化されていきます。

以前、「グローバリズムがもたらす社会」(2013年2月23日)でも述べましたが、グローバル化していくこれからの日本は、中華体制というグローバリズムの中に組み込まれながら時代を重ねた朝鮮と、そっくりの社会になっていきます。





その一方、朝鮮のようなグローバル秩序に組み込まれた国家では、為政者は、自らの民の利益は二の次、三の次にしてでも、グローバル秩序の利益のために政治を行うことを余儀なくされます。

今、日本は、中華体制に組み込まれた朝鮮のように、TPPを通して、国家の枠組みを超えた、グローバルな秩序に組み込まれようとしています。

為政者は、すでに、国民の利益ではなく、グローバル秩序の利益のために、政治を行いつつあります。

そのことは、現在の政治家の行動を見ればはっきりと見て取ることができます。

この傾向は、現在の安倍政権にも、如実に現れています。

TPPや道州制のように、国民にとってはなんのメリットもない政策を、どうして、日本の政治家は執拗に導入しようとするのでしょうか。

それは、彼らが、既に、「国民」の側ではなく、「グローバル秩序」の側に立っているからに他なりません。

国家の機能を弱め、国民に犠牲を強いてでも、グローバル秩序の利益のために、政治を行おうとする立場を「新自由主義」と言います。

安倍政権は、この傾向を強く帯びています。

安倍政権の閣僚は「新自由主義者」で固められています。

安倍総理自身が「新自由主義者」であることは、安倍総理自身の過去の来歴や発言をしらべれば、簡単に確かめられる事実です。

日本がグローバルな秩序に完全に組み込まれてしまったとき、待ち受けているのは、朝鮮と同じく、国民の「良民」と「賤民」への徹底した二分化です。

この階層差は、小泉政権以来、すでに「正社員」と「契約社員・派遣労働者・パート」などの二分化として私たちの社会に現れていますが、この傾向は、今後、ますますひどくなっていきます。

社会のごく一握りの人が、たとえばグローバル企業の社員のような「グローバル秩序」の一員として、その恩恵に預かり、他の国民は、「グローバル秩序」の利益のために、奴隷のように虐げられた生活を送らざるを得なくなっていきます。

(出典: WJFプロジェクト「グローバリズムがもたらす社会」2013年2月23日)
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