日本の農業の死

日本農業のグローバル化と株式会社化。
昨年、2015年7月。

「7月9日に安倍さんが在日を強制送還するぞ」
「7月9日に安倍さんが在日の通名を廃止するぞ」
「在日を通報しよう」

バカウヨどもが、上のような事実無根のデマを垂れ流して大騒ぎしていた裏で、7月8日に、安倍政権が国会で可決成立させていたのは、在留資格のない外国人でも家政婦として働いたり、外国人医師が日本で開業することを可能にした、「改正国家戦略特区法」でした。

参考記事:
WJFプロジェクト「全国に中国人や韓国人の居留地ができる」(2015年7月17日)

そして、今年3月2日。官邸四階の大会議室で開かれた、竹中平蔵も有識者議員の一人として出席する国家戦略特区諮問会議の場で、安倍晋三は、下のように発言し、彼の国家破壊や売国に終わりがないことを宣言。

「安倍政権の規制改革に終わりはない。私が先頭に立ち、今後とも国家戦略特区によって、規制改革の突破口を大胆に開いていく」

(出典: 日本農業新聞 2016年3月3日 )

さらなる規制改革案を追加した、新しい「国家戦略特区法改正案」が、3月11日に閣議決定されました。

その骨子は、大まかには次のようなものです。

国家戦略特区法改正案骨子

・一定の条件を満たす企業に、5年間に限って農地の取得を認める。

・農地が荒廃した場合、自治体による農地買い取りを義務づける。

・過疎地でNPO法人などが料金を受け取り、自家用車で観光客を運べる特例を設ける。

・患者が薬剤師と面会しなくても、テレビ電話で服薬指導が受けられる制度を設ける。

・日本の食文化やアニメなどを学ぶ外国人を積極的に受け入れ、就労機会を増やす具体策を改正法の施行後1年以内に取りまとめる。

(出典: 毎日新聞 2016年3月1日)

特に注目すべきなのは、企業が、農地を直接買い取ることができるようになった点です。

3月2日の国家戦略特別区域諮問会議の配布資料から引用してみましょう。

3.農業の競争力強化等、先進的な地方創生モデルの構築

◇ 攻めの農業への転換、6次産業化・輸出産業化等による農業の国際競争力強化を始め、首長の強力なリーダーシップに基づく先進的な地方創生モデルを構築するため、農業や街づくりに関する以下の規制改革事項について、今国会に提出する特区法改正案の中に、特例措置等の必要な規定を盛り込む。

(1) 企業による農地取得の特例

・ 喫緊の課題である担い手不足や耕作放棄地等の解消を図ろうとする国家戦略特区において、農地を取得して農業経営を行おうとする「農地所有適格法人(旧農業生産法人)以外の法人」について、地方自治体を通じた農地の取得や農地の不適正な利用の際の当該 自治体への移転など、一定の要件を満たす場合には、農地の取得を認める特例を、今後5年間の時限措置として設ける。

(2) 農業の担い手となる外国人材の就労解禁

・ 農業分野における外国人材については、農業経営の規模拡大等 の「強い農業」の実現のために必要な人材を確保するとの観点から、 入国・在留を求める声があることを踏まえ、特例措置を設ける必要性について、生産性の向上、日本人の労働条件及び新規就農に与 える影響、外国人の人権に配慮し適切な管理を可能とする仕組みなどの視点にも十分配慮しつつ、関係省庁で連携して検討を進め、可能な限り早期に結論を得る。

(出典: 国家戦略特別区域諮問会議「国家戦略特区における追加の規制改革事項等について」2016年3月2日)

現行の農地法でも、規制緩和は推し進められており、「農業生産法人」に企業が出資することで、企業による間接的な農地所有は認められていましたが、今回の国家戦略特区改正案によって、兵庫県養父市を皮切りに、企業が、直接、農地を所有することが可能になります。

現在は農地を所有できるのは企業の出資比率が25%以下に制限される「農業生産法人」に限定され、4月に施行される改正農地法で比率が50%未満に緩和される。

これに対し、今回の特区法改正案では、養父市に限って企業などの法人が直接、農地の取得を可能とする。農地は自治体がいったん地権者から買い取った上で法人側に売り渡す。農地が荒らされるなどした場合は自治体が買い戻す。一定以上の面積の農地売買には議会の議決も必要となる。

(出典: 毎日新聞 2016年3月1日)

農地を企業に開放することの問題点は、外国資本が日本の農地を所有することに道を開いてしまう点です。

外国資本が、日本の農地を買い取り、日本の農家がこつこつと築いてきたノウハウだけを吸い上げて、外国人労働者に低賃金で農業に従事させ、日本の「国内」で生産した安価な農産物を、「日本産」のブランドで、低価格で海外に輸出することが可能になります。

たとえば、中国の富裕層が出資する企業が、ベトナム人労働者を働かせて、日本の田んぼで生産した「日本産」ササニシキやコシヒカリを、安価なすし米として、世界の人々が食する時代がやってこようとしています。

先日、3月8日に閣議決定されたTPP関連法案には、「国内」農業の保護対策も含まれていましたが、外資や外国人が日本の農業に参入できるようになり、TPPによって「内国民待遇」を外資や外国人労働者にも平等に認めなくてはならなくなれば、「国内」農業の保護対策は、実質的に「国内」の対策としては意味をなさなくなります。

また、企業が、「資本の論理」に基づいて、低賃金の外国人労働者を導入するなどの効率化を推し進めながら行う組織的な農場経営に、従来の小規模農家が太刀打ちできるわけがありませんから、離農の流れに拍車がかかるようになります。生活のために農地を手放さなければならなくなる離農者が増えれば、従来の日本の農地は、今後ますます企業のもとに集約されていき、農業全般の株式会社化が進行していきます。今回の規制緩和は、蟻の一穴であり、ドミノ倒しのように、従来の日本の農業の崩壊を招くことでしょう。

古来より、日本人が、日本の土地で、地域の共同体や文化や祭祀とともに守ってきた日本の農業が、日本の伝統という文脈から切り離されて形骸化され、金儲けの道具として利用され、一人歩きを始めようとしています。

このようなやり方で、日本の農産物が、国際市場においてどんなに大きな競争力をもったところで、それは「日本の」農業の勝利や成功にならないことは、言うまでもありません。

農業が絶えれば、国が滅びる。

大地に根ざして共同体を形成し、共に大地を耕してそこから得られる恵みを分かち合う。

これが「国」というものの最も基本的な姿です。

このことは人類の歴史を通して普遍的な真実ですが、特に「瑞穂の国」という別名をもつ我が国はそうなのであり、「日本」というものの実体は、「日本人が日本の土地を耕して得た恵みを日本人が享受するための体系」であるといっても過言ではありません。

だからこそ、新嘗祭や神嘗祭など、天皇陛下が行われる宮中祭祀は、農業の伝統と深くむすびついています。

政治は、古い言葉では「まつりごと」と呼ばれましたが、それは、政治が、五穀豊穣を願う「祭祀」と表裏一体であったためです。「祭祀」によって媒介されながら、「政」と「農」は密接な関係で結ばれています。

また、武士の存在が荘園開発によって要請されたことからもわかるように、「武」と「農」も、密接な関係で結ばれています。

「農」が、「政」や「武」と密接に結びついているということは、すなわち、「農」は「国」と深く結びついているということです。

正しい政治が必要とされるのも、武力や安全保障が要請されるのも、外国の侵略から国土を守らなくてはならないのも、「日本人が日本の土地を耕して得た恵みを日本人が享受するための体系」を守り、発展させるためです。

どんなに産業化が進展し、大企業や輸出企業が栄えようとも、日本人が祖先から受け継いできた、「日本人が日本の土地を耕して得た恵みを日本人が享受するための体系」は守られなくてはなりません。

実際に、世界の各国も、産業化の進展した国であっても、いや、産業化の進展した国であればこそ、自国の農業を手厚く保護しています。

あらためて、「農業は国の礎」であり、国を守る事の中核を占めるのは、自国の農業を守ることであると言わざるをえません。

さて、安倍政権は、日本の農業を一体どうしようとしているのか。

「JA全中廃止へ、自民が5年程度の猶予で調整」(新聞記事引用省略)

JA全中(全国農業協同組合中央会)は、彼らが運営してきた「考えてみよう"TPPのこと」というサイトから分かる通り、TPPに反対してきた重要な業界団体の一つです。

TPPやグローバル化推進の最大の抵抗勢力であるJA全中を、安倍政権は解体しようとしています。

農協解体は、TPP参加と道州制導入への布石であり、「国を単位とした日本」の終焉にむけての布石であり、「グローバルな世界の一地域としての日本」の始まりに向けての布石です。

安倍は、建国以来受け継がれてきた「日本人が日本の土地を耕して得た恵みを日本人が享受するための体系」を破壊し、「外国に依存しなければ食べ物が手に入らない体系」に日本を組み込もうとしています。

そして、ここでも最後に笑うのは、やはり、竹中平蔵が取締役会長をつとめるパソナのようです。

(出典: WJFプロジェクト「農協解体は国家解体への布石」2014年6月4日)
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日本の農業の死: TPPと国家戦略特区と外国人労働者
https://www.youtube.com/watch?v=n-2cdSPZwSA
http://www.nicovideo.jp/watch/sm28476822

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WJFプロジェクトは、日本の主権、伝統、国柄を守る保守的な観点から、安倍政権が推し進めるTPP参加、構造改革、規制緩和、憲法改正、安保法制、移民受入などのグローバル化政策に反対しています。
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