「南京虐殺」問題の難しさ(2)

動画の構想。
つづいて、黒澤明の映画「羅生門」の冒頭部分が引用されます。

黒澤明の映画「羅生門」は、たたき付けるような土砂降りの雨の中、朽ち果てた羅生門の下に、僧侶と並んで座り込む、ひとりの木樵の独白から始まります。



この映画の物語ほど、「南京虐殺」問題に的確に重なるものはないのではないかと思います。

朽ち果てた羅生門を、終戦直後の荒廃した日本の姿に、検非違使の庭を、東京裁判の法廷に、検非違使の庭からの帰りに朽ち果てた門の下に座り込む木樵と僧侶という二人の人物を、松井石根その人になぞらえてみましょう。

「羅生門」における木樵のように、松井石根大将も、攻略後の南京市という現場に居合わせた人物であり、かつ東京裁判の法廷において、南京で起きたとされる出来事に関する様々な証言を耳にすることになりました。また松井大将は、帰国後は、興亜観音を建立し守る僧侶という顔も持つことになりました。
木樵「わかんねえ、さっぱり、わかんねえ。」

そこに、雨宿りをしようと、門の下に一人の男が駆け寄ります。

再びつぶやく木樵。

木樵「わかんねえ、さっぱり、わかんねえ。何が何だかわかんねえ。」

雨宿りの男「どうした?何がわからねえんだ?」

木樵「こんな不思議な話、みたこともねえ。」

雨宿りの男「だから話してみなよ。いい案配に、ここには物知りらしい坊さんもいるこった。」

僧侶「いや、物知りで名高い清水寺のコウニン上人でも、おそらく、こんな不思議な話はご存じあるまい。」

雨宿りの男「へえ、じゃあお前さんも、その不思議な話とやらを知っておるのか。」

僧侶「このお人と二人で、この目で見、この耳で聞いてきたばかりだ」

雨宿りの男「どこでだ」

僧侶「検非違使の庭でだ」

雨宿りの男「検非違使?」

僧侶「人が一人殺されたんだ」

雨宿りの男「なんでい、人の一人や二人。この羅生門の楼の上に上がってみろ。引き取り手のない死骸が五つや六つ、いつでもごろごろ転がってらあ。」

僧侶「そうだ・・・戦、地震、辻風、火事、飢饉、疫病(えや)み・・・来る年も来る年も災いばかりだ。その上、盗賊の群れが津波のように荒し回らぬ夜はない。わしもこの眼で虫けらのように死んだり、殺されたりしていく人をどのくらい見たか分らん。しかし、今日のような恐ろしい話は初めてだ。そうだ、恐ろしい話だ。今日という今日は、人の心が信じられなくなりそうだ。これは盗賊よりも、疫病みよりも、飢饉や火事や戦よりも、恐ろしい。」

雨宿りの男「もしもし坊さん、説教はたくさんだ。なにやら面白そうな話だから、雨宿りの暇つぶしに聞いたまでだ。退屈な屁理屈を聞くぐらいなら、黙って雨の音を聞いているよ。」

雨宿りの男は、二人から離れて、羅生門の板をはがし、たき火を起こして暖を取ろうとします。その男に、木樵が駆け寄ります。

木樵「おい。聞いてくれ。これはどうしたことか教えてくれ。わしにはさっぱりわからねえんだ。三人が、三人とも・・・」

木樵は、彼が森の中で見つけた一人の男の死体を巡って、盗賊、殺された男の妻、殺された男自身が、それぞれ矛盾する異なる証言をするのを検非違使の庭で耳にしたのでした。

(つづく)
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