土着神話の勝利

グローバルなものへの無意識の拒絶反応。
以前、下のように記したことがあります。

「政治」が「政治」を糾し得る時代は過ぎ去りました。

一つの「政治」が、他の「政治」に置き換わる、「政権交代」と呼ばれる小手先の療法によっては、現代の日本の政治の病根は根治できません。

「あれがだめだからこれ、これがだめだからあれ」という既成のカタログからの取捨選択によっては、もはや日本はどうにも救われません。

必要なのは、どの陣営であれ「政治」そのものが、「非政治」の広さと深みと「根底」から、圧倒的な力で、批判され、否定され、粛正され、解体され、新しく塗り替えられていくことです。

そのために求められるのは、「非政治」のエネルギーの結集です。

ここで「非政治」とは、時には無邪気に遊ぶ子どもの笑顔であり、時には魂の内奥からわきあがる感情のざわめきであり、時には大地に這いつくばって暮らしを営む人々の怒りであり、時には国家の安寧と五穀豊穣を願ってやまない天皇陛下の祈りであり、時には安倍晋三の体内に潜むがん細胞であり、時には事実をあるがままに語る人々の群れであり、時には火山からの水蒸気の噴出であり、時には大地にふりそぞぐ雨であり、時には太古から語り継がれる神話であり、時には連綿と受け継がれる伝統であり、時には人々の心を打つ音楽であったりします。

つまり、「非政治」とは、「自然」からわき起こり立ち上がるすべてのものの総称ですが、そうしたものの連携と結集が、今や「政治」を圧倒し、浄化しなくてはならない。

この、日本を浄化しうる「非政治」の広さと深みと「根底」を、私は「多元性」と呼びます。

(出典: WJFプロジェクト「『非政治』に『政治』を圧倒せしめよ」2014年10月10日)

「政治」のレベルでは、ほとんどの日本人はTPPのようなグローバリズムの進展に対して、ほとんど無反応であり、鈍感に振る舞っているように見えますが、「非政治」のレベルでは、グローバリズムに対する無意識の拒絶反応を、多くの日本人が示している事例を、最近しばしば目にします。

その一例として、次のような興味深いニュースが報じられています。

世界が驚愕!「スター・ウォーズ」が「妖怪ウォッチ」の特典商法の前に敗北

18日の18時30分に全国一斉公開され、NHKのトップニュースにも取り上げられるなど、メディアを巻き込んだお祭りとなった「スター・ウォーズ フォースの覚醒」。入場料を通常の1800円から2000円に値上げした一部のシネコンでも、値上げなんのそのとばかりに多数のファンが詰め掛けた。

ところが19日、20日の公開最初の土日も「スター・ウォーズ」が興行をぶっちぎるものとメディア関係者は見ていたが、まさかの事態が発生した。

「事前の予約数から一部では危惧されていましたが、19日に公開されたアニメ『妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』の猛烈な集客力に“フォース”が大苦戦。いわゆる特典商法というやつですが、当日の入場者先着順に配られる非売品の『エンマ大王メダル』に全国の妖怪ウォッチファンが親子連れでこれでもかと殺到。特に郊外や地方のシネコンなどでは圧倒的で、土日とも午前中に『スター・ウォーズ』の倍以上を集客し、午後以降に猛追する『スター~』が一度も動員数で抜けないまま土日が終了。まさに世界規模の番狂わせが起こってしまいました」(エンタメ誌記者)

正確な動員数が発表される前の概算で、「スター・ウォーズ」の土日の動員数は「妖怪ウォッチ」の90%程度と見られている。観客に大人が多くチケット単価の高い「スター~」が興行収入では圧倒しているのは間違いないが、国内で公表される映画ランキングは基本的に「動員数」。つまり、世界配信される各国の週末興行ランキングで「スター・ウォーズ フォースの覚醒」が世界唯一2位となる国、それが日本となりそうなのだ。

「金曜の初日公開を入れれば『スター・ウォーズ』が断然1位ですし、冬休み前の平日は『妖怪』はガラガラ。最終的には『スター~』が集客数も興収も突き放すはずですが、なんといっても、あれだけの宣伝と煽りで公開週に1位を取れないとは、関係者も顔面蒼白でしょう。ジャパニーズアニメの特典商法、恐るべしです!」(前出・エンタメ誌記者)

「ストーリーに目新しさゼロ」「昭和のオッサンの映画」「メディアが持ち上げすぎ」など、その内容にも観客から批判も多い「スター・ウォーズ」だが、正月映画らしいイベント感は十二分に伝わったことも確か。はたして日本でフォースが妖怪を打ち破るのは、オッサンも休みに入る来週以降になるのだろうか!?

(出典: アサ芸プラス 2015年12月22日)

『スターウォーズ』という、ディズニーが巨大な資金を投じて世界的に大々的な宣伝を展開している「グローバルな神話」が、『妖怪ウォッチ』という、日本の「土着の神話」の人気に太刀打ちできなかったというのです。

『妖怪ウォッチ』は、妖怪という日本の昔ながらの「神話の思考」を題材に作られたゲームソフト、およびアニメ作品です。

妖魔界のメインキャラクター、「ジバニャン」の名前は、地縛霊の「ジバ」+猫の鳴き声「ニャン」から来ているそうです。

妖魔界へは、神社の御神木の中に封印されている、専用のエレベーターを使って降りていくのだそうです。

まさしく、「根の国、底の国」に生息する妖怪たちは、「地祇的な原理」を象徴する存在です。

一方、『スターウォーズ』の物語の舞台は、太古の宇宙、大地から遠く隔たったところにある「天」です。

『スターウォーズ』が、「垂直方向上方」から日本に投下された作品ならば、『妖怪ウォッチ』は、妖怪という作品内に登場するキャラクターたちと同様、日本人の足もとにある「垂直方向下方」から這い出してきた作品であると言えるかもしれません。

このように、日本人の大衆が、身体的な無意識のレベルで、グローバルなものに背を向ける事例は、今回にとどまりません。

たとえば、東京オリンピックのエンブレムや、新国立競技場をめぐる騒動。

海外のデザインの「剽窃(ぱくり)」や「巨額の建築費用」が騒動のきっかけになっていますが、徹底して「日本らしさ」(土着性や大地性)を排除した、無機質でグローバルなデザインに対して国民が抱いた嫌悪感が、その根底にはありました。

また、マクドナルドというグローバルな外食企業の日本への土着化を進めた藤田商店との契約を切って、アメリカ本社が経営の主導権を直接握るようになってからの日本マクドナルドの大きな凋落。

特に、サラ・カサノバが新しいCEOとしてアメリカ本社から派遣されてからの日本マクドナルドは、右肩下がりで売り上げを落とし、とうとうアメリカ本社は、最近、彼らの手による再建をあきらめ、カサノバを退任させ、日本マクドナルドを売却する決断を行いました。

この問題も、期限切れ原料の使用や異物混入事件がきっかけになってはいますが、その根底には、顧客を置き去りにして極端な経営合理化を推し進めてきたマクドナルドの「上から目線」な立ち居振る舞いから垣間見える「グローバルな経営戦略」への日本人の拒絶反応があったのだと思います。

日本人は、意識的な言語知のレベルで、TPPのような政治問題を理解したり、批判の声をあげたりするのは苦手ですが、視覚や味覚といった、身体的・無意識的なレベルでは、グローバルなものを頑ななまでに拒絶する、保守的な頑固さを備えています。

日本人が、身体的なレベルでこの頑固さを発揮しだすと、もう誰にもどうにも手のつけようがなくなり、オリンピックや大企業を運営するグローバルな秩序に属するパワフルな人々も、最後はあきらめて、方向修正をせざるをえなくなります。

ここに、グローバリズムから日本が守られていく、かすかな希望があるのではないかと、私は考えています。
*
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

WJFプロジェクトについて
ご寄付のお願い
作品リスト
政治的立場
WJFプロジェクトは、日本の主権、伝統、国柄を守る保守的な観点から、安倍政権が推し進めるTPP参加、構造改革、規制緩和、憲法改正、安保法制、移民受入などのグローバル化政策に反対しています。
TPP交渉差止・違憲訴訟の会
YouTube
WJFプロジェクトの動画作品は以下のYouTubeのチャンネルでご覧になれます。

お知らせ
アクセス・カウンター


今日の一言
蓮舫の二重国籍問題のジレンマ

違う入り口を選んだハズなのに、ドアを開けると、同じ出口につながっている。
最新記事
コメント
<>+-
アーカイブ


RSSリンク
RSSリーダーに下のリンクを登録されると、ブログの記事やコメントの更新通知を受け取ることができます。