一瀉千里の奔流となり得る日(11)

「はじまりのグローバリズム」から、「おわりのグローバリズム」へ。
「神話の思考」に根ざし、国家を作ろうとしなかった環太平洋の文化圏と、
「文明の思考」に根ざし、国家を作り出してきたユーラシア大陸の文化圏。

このふたつの文化圏のはざまで誕生し、はぐくまれてきた結果、両生類のように、二つの文化圏に生きる特質を、現代に至るまで保持しつづけてきた日本人。



神道が、

1. 地祇的原理(土着の文化や伝統や自然に根ざす原理)
2. 天神的原理(国家や現実社会の形成に関わる原理)


という、二つの特質を帯びているのも、そのためです。

現在、元来は国家を作ることを知らなかった人々の故地であった環太平洋地域に、TPPという国家の存在を有名無実化する経済協定が結ばれ、日本もその中に組み込まれようとしています。

「神話の思考」も、「文明の思考」も、単独ではグローバリズムを志向するものであることは、以前にも述べました。

「神話の思考」は、国家が誕生する以前の時代に遡行しようとすることによって、「はじまりのグローバリズム」を目指そうとしますし、

「文明の思考」は、国家の統合をかさねて、やがては世界統一政府を作り出すことによって、「おわりのグローバリズム」を実現しようとします。

TPPは、環太平洋地域という、国家を作ろうとしなかった人々の暮らす、「はじまりのグローバリズム」が存在した地域に、「おわりのグローバリズム」をもたらそうとする試みです。

当然のことながら、「はじまりのグローバリズム」から、これから実現しようとする「おわりのグローバリズム」まで、一足飛びに移り変わったわけではなく、この間に、いくつかの歴史的な段階を経て、現在の事態を迎えています。

では、「はじまりのグローバリズム」から「おわりのグローバリズム」の間に何が起きたのか。

単純に述べれば、ユーラシア大陸から、「文明の思考」の持ち主であるヨーロッパ人が、「神話の思考」が広がる南北アメリカ大陸や、オーストラリアのような環太平洋地域に移り住んできたのです。

そのときに発生したことは、アメリカ原住民やアボリジニーなどの原住民たちの虐殺と支配と同化でした。

「国家を作ろうとしなかった」原住民たちは、ヨーロッパ人の作り出した人工的な植民国家に、力なく取り込まれていきました。

この間、「文明の思考」と「野生の思考」が、一つに融和するような事態は生じませんでした。

ひたすら、「文明の思考」が支配の側に立つ優勢な原理として、「野生の思考」を圧倒し、消滅させていったのです。

このように、「文明の思考」が、「野生の思考」に打ち克ち、根絶やしにした荒涼とした土地こそが現在の環太平洋地域であり、その結果誕生した、植民国家群の統合・拡大ヴァージョンがTPPです。

その証拠に、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、ペルーなど、TPP参加国のほとんどは、ヨーロッパ人たちの入植によって生まれた植民国家です。

参考記事:「TPP、太平洋を超えてやってくるもの」(2013年10月6日)

今度は,日本民族という、古代においてすでに、「文明の思考」と「野生の思考」の二つを併せ持つ両生類として進化した「原住民」が、圧倒的な「文明の思考」の支配する、この人工的な植民国家の枠組みの中に取り込まれようとしています。

この事態は、日本文明や日本社会に、どのような影響をおよぼすでしょうか。

考えられる事態は、明白です。

日本文明や日本社会の中で渾然と一つに結ばれてきた「文明の思考」と「神話の思考」の絆がほどかれ、分離されていくのです。

この事態はすでに発生しており、日本人としての「根」を忘れ、ひたすら合理的な「文明の思考」(グローバル・スタンダードとやら)に自分を適合させて生き、グローバルな枠組みの受益者たらんとする人々の集団と、現実社会に背を向けて「神話の思考」の中に退避する力なき人々の二つの集団に、日本人は分離しつつあります。

日本人は、両生類としての伝統的なあり方を捨てて、完全に陸に上がって獣として生きることを選ぶグループと、陸上生活を捨てて魚として水中で生きることを選ぶグループに分かれようとしているのです。
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