オリンピックに間に合わない新国立競技場に2520億円
安倍政権が未来に残す、もう一つの「負の遺産」。
新国立競技場が物議を醸しています。
2012年11月のコンペで最優秀賞に選ばれたのは、バクダッド出身のイギリス国籍の女性建築家、ザハ・ハディド氏のデザイン。コンペの審査委員長は安藤忠雄。

「バグダッド生まれのイギリス人の女性建築家」
イギリスへの移民であり、いわゆる「高度人材外国人」です。
国境のない世界を志向し、外国人の受け入れ拡大を推し進めるグローバリストの安倍晋三が、いかにも好みそうな人物です。
「ザハ・ハディド氏の無国籍でモダンなデザインは、グローバル経済の中心地として名乗りを上げる、21世紀の多民族・多国籍都市東京にふさわしい」
とでも言いたげです。
プリツカー賞、ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞を受賞し、フランスのルーヴル・ランス(ルーブル美術館新館)の建築も手がけた、著名な日本人の二人組の建築家ユニット、SANAAの作品は、三位に終わりました。

(画像出典: 新国立競技場デザインコンクール受賞作品)
下の二人組がSANAA。妹島和世と西沢立衛の両氏です。

2013年1月に、NHKで「SANAA 建築の冒険」という番組が放送されたとき、私はこの番組をたまたま視聴していたのですが、SANAAの落選にとてもがっかりさせられたのを覚えています。
(下のリンクで番組がみられます)
http://www.pideo.net/video/youku/4a787f306cbbc479/
その後、ザハ・ハディド氏のデザインは、明治神宮外苑の景観や歴史的文脈にふさわしくないという批判を浴びてきました。
批判の声を上げたのは、1993年のプリツカー賞受賞者であり、幕張メッセの設計者として知られる槇文彦氏を初めとする日本の著名な建築家たち。

参考記事:
ザハ・ハディッドによるオリンピック競技場のデザインに槇文彦が抗議
加えて、当初の設計通りに作ると、建築費用が3000億円を超えてしまい、しかも、デザインに含まれている開閉式屋根は、2020年の東京オリンピックには完成が間に合わないことが判明。
当初の計画を、下のようにかなり貧弱なものに縮小し、開閉式屋根はオリンピック終了後に取り付けることになりましたが、屋根をのぞいた費用だけでも、2520億円かかるのだそうです。

さらに、オリンピック終了後は、スタジアム維持のために年間20億円の赤字がでる見通し。(出典)
明治神宮外苑の景観にそぐわない、オリンピック時には未完で屋根のつかない、とってつけたような「近代的」で醜悪なデザインの、赤字を垂れ流す建造物に2520億円。
計画を変更せよとの声も聞かず、安倍政権はこのまま計画を押し切るのだそうです。
日本人らしい感性と思想に裏打ちされた、自然との融和を目指したSANAAのデザインの方が、ずっと明治神宮外苑の景観にふさわしかったのではないでしょうか。


日本人のための記念碑的な建造物に、日本人によるデザインが採用されず、脇に押しやられる。
これも、安倍政権が志向する「グローバルな世界」の特徴の一つです。
安倍政権を支持することによって、自国で暮らしながら、日本人が脇に追いやられ、機会が外国人に奪われるような社会を、日本人自身が志向してしまっているのだから仕方がありません。
今回の世界遺産のみならず、新国立競技場も、安倍政権が将来の日本人に残す、大きな「負の遺産」の一つになりそうです。
2012年11月のコンペで最優秀賞に選ばれたのは、バクダッド出身のイギリス国籍の女性建築家、ザハ・ハディド氏のデザイン。コンペの審査委員長は安藤忠雄。

「バグダッド生まれのイギリス人の女性建築家」
イギリスへの移民であり、いわゆる「高度人材外国人」です。
国境のない世界を志向し、外国人の受け入れ拡大を推し進めるグローバリストの安倍晋三が、いかにも好みそうな人物です。
「ザハ・ハディド氏の無国籍でモダンなデザインは、グローバル経済の中心地として名乗りを上げる、21世紀の多民族・多国籍都市東京にふさわしい」
とでも言いたげです。
プリツカー賞、ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞を受賞し、フランスのルーヴル・ランス(ルーブル美術館新館)の建築も手がけた、著名な日本人の二人組の建築家ユニット、SANAAの作品は、三位に終わりました。

(画像出典: 新国立競技場デザインコンクール受賞作品)
下の二人組がSANAA。妹島和世と西沢立衛の両氏です。

2013年1月に、NHKで「SANAA 建築の冒険」という番組が放送されたとき、私はこの番組をたまたま視聴していたのですが、SANAAの落選にとてもがっかりさせられたのを覚えています。
(下のリンクで番組がみられます)
http://www.pideo.net/video/youku/4a787f306cbbc479/
その後、ザハ・ハディド氏のデザインは、明治神宮外苑の景観や歴史的文脈にふさわしくないという批判を浴びてきました。
批判の声を上げたのは、1993年のプリツカー賞受賞者であり、幕張メッセの設計者として知られる槇文彦氏を初めとする日本の著名な建築家たち。

参考記事:
ザハ・ハディッドによるオリンピック競技場のデザインに槇文彦が抗議
加えて、当初の設計通りに作ると、建築費用が3000億円を超えてしまい、しかも、デザインに含まれている開閉式屋根は、2020年の東京オリンピックには完成が間に合わないことが判明。
2020年の東京オリンピックは、メイン会場となる新国立競技場の屋根の建設が間に合わないことが判明した。
下村博文・文部科学相が5月18日、東京都の舛添要一知事と都庁内で会談した際、建設コストの抑制や工期短縮を目的に、新国立競技場の整備計画を見直すことを明らかにした。その際に「屋根なしなら間に合う」と伝えたという。朝日新聞デジタルなどが報じた。
新競技場は19年ラグビー・ワールドカップの会場としても使われる。下村文科相は「19年春には、競技場そのものは間に合わせるが、全てをやっていると間に合わない。屋根なしなら間に合う」と説明。
■ザハ・ハディドさんの当初案から迷走
新国立競技場は当初、2012年にコンペで選ばれたイギリスの建築家、ザハ・ハディドさんがデザインした。この当初案では天候にかかわらず使用できる開閉式屋根と、約8万人を収容できるスタンドを備える施設となっていた。
国立競技場の建て替えは、当初の予算は1300億円の予定だったが、ザハ・ハディドさんの設計通りに作ると3000億円まで工費が膨らむことが判明。
日本スポーツ振興センター(JSC)はハディドさんの原案のまま建設することを諦め、原案のテイストを残しつつ、大幅に規模を縮小し、総工費1692億円の修正案で建設することを決めた。
しかし、資材の値上がりで総工費が上回る可能性が出来たことで、整備費の減額や工期短縮を図るために、さらに建設プランを変更することになった。下村文科相は5月18日の舛添知事との会談で、新国立競技場の屋根の建設はオリンピック終了後となる見通しを示した。また、当初計画していた8万人収容の一部を仮設スタンドとし、オリンピック後に5万人規模へ縮小されるという。
下村文科相は舛添知事に、周辺整備にかかる費用500億円の負担を要請。これに対し、舛添知事は整備費用が膨らむことが予想されることなどに触れ、「協力は惜しまないが、もっと都民や国民に情報開示をしてほしい」と話し、詳細を聞いた上で検討する考えを示した。
以前の国立競技場は5月までに、本体の解体作業がほぼ完了した。10月から新競技場の建設が着工される予定だ。
(出典: The Huffington Post 2015年5月18日)
当初の計画を、下のようにかなり貧弱なものに縮小し、開閉式屋根はオリンピック終了後に取り付けることになりましたが、屋根をのぞいた費用だけでも、2520億円かかるのだそうです。

新国立競技場、「特殊だから」という理由だけで765億円 スタジアムだけでも通常の3倍
新国立競技場は「特殊だから」という理由で765億円も高くなっていた――東京オリンピックのメーン会場となる新国立競技場について話し合う有識者会議が開かれ、2520億円の総工費が認められた。2014年5月に計算されていた1625億円という予算より約900億円も高い額だ。
この日の会議で、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は、資材や人件費の上昇で350億円、そして消費増税分で40億円増えたと説明。さらに、アーチ2本で建物を支える「キールアーチ」というデザインの特殊性によって、765億円がかさんだことも明らかになった。
過去のオリンピック主会場の総工費と比較すると、北京大会(2008年)が約500億円、ロンドン大会(2012年)が約800億円で、新国立競技場が突出。特殊性だけで750億円も高くなることについて、批判が出ている。
「キールアーチ」を採用したのは、建築家の安藤忠雄氏を委員長とする審査委員会だったが、この日、安藤氏は有識者会議を欠席。JSCの河野一郎理事長は特殊性によって費用が増えたことについて「予測できなかったこと」と弁明した。遠藤利明オリンピック・パラリンピック担当相は、「建物の特殊性という意味で『費用が高い』と言われれば確かに高いと思うが、ある程度はやむをえない。後ろ向きではなく逆にPRして世界に発信していくという思いで造ったほうがよい」と述べた。
一方で、キールアーチ部分を除いても、費用が高過ぎるという批判もある。
新国立競技場はもともと、約1300億円の整備費で建設されることになっていたが、コンペで選ばれたザハ・ハティド氏の案では3000億円以上かかることが明らかになり、2014年にJSCが大幅に規模を縮小し、1625億円規模の修正案を公開。しかし資材高騰などが影響し2520億円かかることが判明したが、結局、このまま建設されることが決まった。
なお、今回発表された費用計画では、大会後に整備が予定されている開閉式の屋根や、仮設席約1万5000席の設置費用は見積ができないなどとして2520億円に含まれておらず、最終的には3000億円近い費用がかかる可能性が高いとみられている。
(出典: The Huffington Post 2015年7月8日)
さらに、オリンピック終了後は、スタジアム維持のために年間20億円の赤字がでる見通し。(出典)
明治神宮外苑の景観にそぐわない、オリンピック時には未完で屋根のつかない、とってつけたような「近代的」で醜悪なデザインの、赤字を垂れ流す建造物に2520億円。
計画を変更せよとの声も聞かず、安倍政権はこのまま計画を押し切るのだそうです。
菅義偉官房長官は8日の記者会見で、2020年東京五輪・パラリンピックに向けた新国立競技場(東京都新宿区)の総工費が当初設計を大幅に上回る2520億円となったことに関し、主な増額要因となっている現行のデザインについて「変更は我が国の国際的信用を失墜しかねない」と述べ、維持すべきだとの考えを示した。
(出典: 毎日新聞 2015年7月8日)
日本人らしい感性と思想に裏打ちされた、自然との融和を目指したSANAAのデザインの方が、ずっと明治神宮外苑の景観にふさわしかったのではないでしょうか。


日本人のための記念碑的な建造物に、日本人によるデザインが採用されず、脇に押しやられる。
これも、安倍政権が志向する「グローバルな世界」の特徴の一つです。
安倍政権を支持することによって、自国で暮らしながら、日本人が脇に追いやられ、機会が外国人に奪われるような社会を、日本人自身が志向してしまっているのだから仕方がありません。
今回の世界遺産のみならず、新国立競技場も、安倍政権が将来の日本人に残す、大きな「負の遺産」の一つになりそうです。

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