国土強靱化という名の国土脆弱化
日本の脆弱性はどこに由来するか。
今、地震の大きな活動期を日本は迎えています。
現在、熊本や大分で発生している地震は、中央構造線と呼ばれる断層系の上に位置し、今後、同じ中央構造線上の他の地点で、類似した内陸型の地震が連動する可能性があると言われています。

断層のずれが引き起こす、この内陸型の地震は、近い将来、南海トラフにおける海溝型の巨大地震を誘発していくとも言われてます。
現在の日本は、地震の危機に対して、日本の歴史上、最高度に高い脆弱性を抱えています。
たとえば、江戸時代の江戸の町に比較して、現代の東京は、地震に対する、はるかに巨大な脆弱性を抱えています。
人々が竪穴式住居に暮らしていた縄文時代の関東平野の集落と比較すると、現代の東京は、さらに桁違いな脆弱性を抱えています。
つまり、この脆弱性はどこに由来するかといえば、単にこれから起きる地震の大きさによるものではありません。
巨大で複雑な構造物を、日本の都市が抱えるようになったことに由来する脆弱性です。
なぜ、日本は、巨大で複雑な構造物を、その国土の上に抱えるようになったのか。
そのきっかけは、デモス(文明)的な西洋の建築様式を日本が受け入れた、明治維新にさかのぼることができます。
江戸時代までに作られていた日本のエトノス(土着)的な木造建築は、地震で壊れることを前提にした簡易な構造をもっていたり、地震の揺れを巧みに吸収する柔軟な構造をもっていました。
明治以降、日本が受け入れた西洋の建築様式は、地震のない国々で考案されたものであったため、関東大震災は、日本の歴史上、過去に類例のない甚大な被害をもたらしました。
日本の土地柄に合致しない近代的な構造物が,日本の脆弱性を増大させているのならば、「国土強靱化」を叫び、公共事業をふやし、街をコンクリートで固め、近代的建造物の数を増やしていくだけでは、日本の都市や国土の脆弱性をかえって強めることになるでしょう。
現代の建造物の耐震性は、以前に比べて飛躍的に向上していると考えられますが、それでも、現代の都市のあり方と、「地震が多い」という日本の自然は、まだまだ一つに調和しているとは言えません。
この日本の自然(ピュシス)と、その上を覆う都市のあり方(ノモス)との根本的なズレが、現代の日本が抱えている脆弱性の本質です。
ならば、このズレを拡大させていくようなやり方での「国土強靱化」は、日本の一層の「国土脆弱化」をもたらします。
必要なのは、日本が伝統的にそうであろうとしてきたように、文明(デモス)と土着(エトノス)、自然(ピュシス)と人為(ノモス)を、一つに融和させていく。
そういう発想で、日本の国や都市のあり方を、根底から再設計していくことです。
日本の都市が地震に対する大きな脆弱性を持つと言うことは、建築を含めた「近代」を、日本人がまだ十分には、その土着(エトノス)性の中に消化しきれていないことの、なによりの証なのだと思います。
現在、熊本や大分で発生している地震は、中央構造線と呼ばれる断層系の上に位置し、今後、同じ中央構造線上の他の地点で、類似した内陸型の地震が連動する可能性があると言われています。

断層のずれが引き起こす、この内陸型の地震は、近い将来、南海トラフにおける海溝型の巨大地震を誘発していくとも言われてます。
現在の日本は、地震の危機に対して、日本の歴史上、最高度に高い脆弱性を抱えています。
たとえば、江戸時代の江戸の町に比較して、現代の東京は、地震に対する、はるかに巨大な脆弱性を抱えています。
人々が竪穴式住居に暮らしていた縄文時代の関東平野の集落と比較すると、現代の東京は、さらに桁違いな脆弱性を抱えています。
つまり、この脆弱性はどこに由来するかといえば、単にこれから起きる地震の大きさによるものではありません。
巨大で複雑な構造物を、日本の都市が抱えるようになったことに由来する脆弱性です。
なぜ、日本は、巨大で複雑な構造物を、その国土の上に抱えるようになったのか。
そのきっかけは、デモス(文明)的な西洋の建築様式を日本が受け入れた、明治維新にさかのぼることができます。
江戸時代までに作られていた日本のエトノス(土着)的な木造建築は、地震で壊れることを前提にした簡易な構造をもっていたり、地震の揺れを巧みに吸収する柔軟な構造をもっていました。
明治以降、日本が受け入れた西洋の建築様式は、地震のない国々で考案されたものであったため、関東大震災は、日本の歴史上、過去に類例のない甚大な被害をもたらしました。
日本の土地柄に合致しない近代的な構造物が,日本の脆弱性を増大させているのならば、「国土強靱化」を叫び、公共事業をふやし、街をコンクリートで固め、近代的建造物の数を増やしていくだけでは、日本の都市や国土の脆弱性をかえって強めることになるでしょう。
現代の建造物の耐震性は、以前に比べて飛躍的に向上していると考えられますが、それでも、現代の都市のあり方と、「地震が多い」という日本の自然は、まだまだ一つに調和しているとは言えません。
この日本の自然(ピュシス)と、その上を覆う都市のあり方(ノモス)との根本的なズレが、現代の日本が抱えている脆弱性の本質です。
ならば、このズレを拡大させていくようなやり方での「国土強靱化」は、日本の一層の「国土脆弱化」をもたらします。
必要なのは、日本が伝統的にそうであろうとしてきたように、文明(デモス)と土着(エトノス)、自然(ピュシス)と人為(ノモス)を、一つに融和させていく。
そういう発想で、日本の国や都市のあり方を、根底から再設計していくことです。
日本の都市が地震に対する大きな脆弱性を持つと言うことは、建築を含めた「近代」を、日本人がまだ十分には、その土着(エトノス)性の中に消化しきれていないことの、なによりの証なのだと思います。
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